「ホクロは、悪性化しますか?」
という質問を、よくされます。
答えは
「ホクロは悪性化することはありますが、極めて稀」
です。
ホクロは、ミーシャ、ウンナ、スピッツ、クラークの4種類にわかれますが、すべての種類で、悪性化することは、1枚買った宝くじが、1等に当たる位の確率です。ただ、日本人の場合、足の裏のホクロは、これよりは、確率が高いという報告があります。
悪性化するものは、ホクロのように見える色素斑で、悪性黒色腫、基底細胞上皮腫、有棘細胞がんなどがありますが、いずれも、稀な疾患で、ホクロから変化するものではありません。
例えば、悪性黒色腫ができる可能性でさえ、数万人に一人程度です。私の、40年間の診療で、お目にかかったのは4人ほどです。
例えば、写真の方は、眼のふちに小さなホクロができ(実際はホクロでなく、黒い色素斑)、カミソリで取ろうとして、3月後には、このようになってしまいました。
(写真の使用には、本人の了解を得ています)
下眼瞼の縁に潰瘍を生じ、皮ふから粘膜にかけて、黒い色素斑が、広がっています。典型的な悪性黒色腫の像で、その日のうちに大学病院に紹介しました。これは、極めて危険な状態で、リンパ節に転移をしていれば、予後が不良となります。
ホクロや色素斑が、悪性かどうか見きわめるには
① 左右対称でない
② 辺縁が、ギザギザである。
③ 色がまだらである。
④ 急に(数か月位で)大きくなった。
⑤ 結節になったり、ビラン(ただれている状態)や潰瘍になっている。
です。③と④の場合、早めに、皮膚科か形成外科を受診しましょう。
ダーモスコープがあるかどうか確認して、受診されるのが良いでしょう。経験を積んでいる先生なら、99.9%の確率で、悪性かどうか判断することができます。悪性の疑いが少しでもあるなら、大学病院などを紹介してもらえるはずです。
結論: ホクロは、悪性化することはありますが、極めて稀で、大きさの変化がなければ、心配する必要はないでしょう。
ホクロの悪性化を心配するより、暴飲暴食で、胃がんになったり、肝臓を傷めたり、糖尿病になるのを心配した方が、人生、はるかに、お得ですよ。