冷蔵庫が壊れたかもしれない夜の事。

「ただいまー」
Mさんが帰宅した。
冷蔵庫が壊れたかもしれない状況を説明して
とあるサイトも確認させた。
「よし、その方法をやってみよう。」

と、Mさんは言うが、動かない。

「ん?」
「うん?」
2人して、意味不明の確認。

「えーっと、誰がやるのかしら?」
「あー、うん、誰がやるのかな?」
また2人して、変な確認。

「もちろんMさんだよね?」
「やっぱり、俺だよね?…うん…」

あれ?私にやらせようとした?
冗談じゃない。
死ぬのはあなたですよ。

「大丈夫だよ。冷蔵庫、壊れたら壊れたで。」
私がMさんを励ますように言うと
「いや、冷蔵庫の命ではなく…」
と、もじもじしながら脚立を広げている。

あ、そういう事?自分の命?

「大丈夫だよ。感電したら感電したで。」
私は更に励ましの言葉をかけた。


「え?…感電する前提?」
「いや、死ぬ前提。」
不安そうに聞いたMさんに死の宣告する私。

「いやいや、殺さないでよ〜!冗談キツっ」
なんて、苦笑いをするMさん。

いやいや、冗談じゃないですよ〜






と、そこに追い打ちをかけるかのように
C君がMさんに声をかけた。
「最後にお風呂へ入っておく?」
「な、なんで、最後なんだよっ!」
「そうね♡それがいい。
 風呂上がりに体も拭かずに
 濡れた手で制御基盤に触れるとか。」
と、私も思わず参戦。
「それ一番やっちゃいけないやつだから!!」
Mさんが興奮しながら抵抗。

「ママが誰かが犠牲にならないとって
 言ってたよ。
 パパが冷蔵庫の為に感電死するって
 カッコいいじゃん。」
と、ポツリと言う息子。
「そ、そうかな。
 でもみんなの為にもパパは死ねないな。」
なんて、キザに言うM。

「……えー、死なないの?」
側で聞いていた私は、つい心の声が漏れた。

「・・・」
「・・・」
「・・・」

この空気、誰がクリアする(笑)?