C君の体育祭。
リレーに出て、1位を取ると張り切っていたが
まさかのバトンミス。

前走の女の子がバトンを渡そうとした時、
別のチームとぶつかり、
女の子は転倒してしまったのだ。

「あっ!」
私とMさんは思わず声を上げてしまった。


転倒した女の子に大した怪我はなく、
すぐに起き上がった。
C君は急いでバトンを拾うと、
女の子に何か声をかけて走り出した。


『大丈夫?』
そんなところではないかな…


走り出したC君だが、
前方の走者との差は縮まらなかった。
練習まではずっと1位だったらしい。


悔しいだろうな。

まだまだ続くリレーを見ながら
私の瞳はゆっくりと涙が溜まってきた。


でも、これは良い経験だ。
アクシデントも予期せぬ事も起こらず、
良い事ばかりで成長するより、ずっと良い!


全ての競技が終わり、総合得点の発表。
3チームの中で、最下位だった。


帰宅したら何て声をかけようか…
私は学校からの帰り道、Mさんに話しかけた。
「言葉が見つからないよ。」
「……うん、まぁ、普通でいいよ。
 家族なんだからさ。」


いやいや、貴方が家族を語らないでよ。






「ただいまー」
しばらくして、C君も帰宅した。
「腹減ったー!」
「おかえりー!回るお寿司に行く?」
私は、笑顔いっぱいで出迎えて、
外食に誘ってみた。
「行く!行く!行きます!イェーイ!」

回るお寿司なんですが…
そ、そこまで喜ぶとは(笑)
毎日でも食べたいという寿司好きの息子。


お寿司を食べながら体育祭の話をしてきた。
「みんな僕のせいだって言ってさっ」
「そっか。みんながバトンを渡すルールを
 きちんと分かってなかったんじゃない?
 それで揉みくちゃになったとか?」
「うーん。かもね。」
「女の子は怪我してない?」
「うん、大丈夫だよ。
 大丈夫か?って聞いたから。」

やっぱりね。
C君らしい(笑)

「誰がC君を責めても、
 パパとママはC君を応援してるから。
 家族なんだからね。」
突然、横からMさんがカットインしてきた。


だからっ、
お前が家族を語るなっ(笑)