具合悪く、熱を出した翌朝、
快方に向かっているところへ
息子のC君が私の部屋へ来ると
『パパと借金と離婚について話した』
と、言い出したのだ。


「ちょっ、ちょっとどういう事?」

息子からの爆弾発言に驚く私。

「いや〜、パパは何も話さないし、
 ママは倒れちゃうし、
 どうすんだよ!と思って(笑)。」


息子は苦笑いしながら話してきた。


「え?C君から話したの?」
「うん。」
「で、何をどう話したの?」

私は恐る恐る息子に聞いてみた。

「僕の事、どうでもいいの?って聞いた。
 これからだってお金が必要だし、
 家族でいたいのに、
 パパがどんどん壊してる感じがするから。

 僕の将来、考えてないのか?って言った。」

真っ直ぐだ。
子供らしい、というか、
人間味がある。
ごまかしもない、真っ直ぐな言葉。

「そっか。
 そうだよねー。
 それでパパは何て言ってたの?」

「最初は黙ってた。
 でも、大切だって。

 僕の事、大切に思って、将来も考えてるって。
 ママの事も、大切だって。
 借金はバイト代から払うって言ってた。
 だから離婚なんてすんな。」

えー、気持ちはわかるけど…

「ママはもう疲れちゃったよ…」
「分かるよ。でも、パパ反省してる。」

こんな繰り返しの話が続いた時、
ガチャッと部屋のドアが開いた。

「C君、ご飯できたよ。
 はい、Aちゃんもスープ作ったから。」

Mさんが朝からスープと柔らかいパンを作り、
私の部屋のテーブルに置くと、
「熱はない?」と言いながら
私の額や首を触り出した。


以前は、触られると不快に感じたが
今はそうでもない。

これが時間解決というのだろうか。

いやいや、論点はそこではなく、
今は借金についてだ。


「僕もご飯食べようっと!」
そう言って、C君は部屋から出て行った。


Mさんと2人。
私はスープを飲みながら話した。

「手持ちのお金がなくて借金したなら
 私にも責任はある。
 でも遊ぶお金とか、
 誰かと一緒に過ごす為とか、
 不透明な理由の借金に
 私が処理するつもりはないよ。」
「分かってる。
 バイトを増やしたから。
 それにもう不透明な使い方しない。」


信用はできない。
本気なのかもしれないけど、
私は、もうMさんを信じる事はない。


ただ、借金と過去の不倫を除けば、
この暮らし、悪くはないのだ。


誰かに聞いて欲しい。背中を押して欲しい。
誰かに相談する時は、
既に自分の中で答えが出ていると言う。
今の私もそうかもしれない。

体調が回復したら、故郷に帰ろう。



関係ないが……

スープ、うまっ。