急に入院と言われて、あたふたする私。
しかも、食事は食べられないと
明るく話す医師。

困った。
ここは全力で断る事にしよう!


「…自宅で安静にしてますので…
 子供もいますから…」
そう言って入院を断ると、
「そうだね、お子さんいると
 それがまた心配でストレスになるかな(笑)
 じゃあ、点滴をして、
 しばらくは投薬治療だね。」
医師はアッサリと受け入れてくれた。

もっと、グイグイ来るのかと思っていたが…

良かった!


病名は腸炎。
何か悪い物でも食べたのか?
……覚えがない。
ストレスか何かか?
……それは日々ある。
不安や心配事?
……それもある。
まだ、Mさんの会社の女の子の事、
ちゃんと聞いてない。






横になって点滴を始めたが
どうも吐き気が治らず、
私は起き上がると、ベッドに座り
腕を放り出したまま、
ぐったりと壁に寄りかかった。

看護師さん達は何事か?と、
慌ただしく医師を呼んできた。

「どうした?気持ち悪いか?泊まるか?」

だから、泊まらないって!

「だ、大丈夫です。
 すみません…ご迷惑をかけて…」
お詫びするだけで精一杯。


やっと点滴も終わり、
受付まで看護師さんが付き添ってくれて、
Mさんにバトンタッチされた。

先に会計を済ませてくれていたMさんは
「もう会計したから、すぐに帰れるよ。」
そう言って、私を支えながら歩いた。


車に乗り、走り出してから
私はMさんに語りかけた。
「泊まれって、しつこく言われたの。
 でも断った…」
私がそう言うと、Mさんが強く反発した。
「えー!入院?
 なんで言われた通りにしなかったの!?」
「だって…投薬で大丈夫だって言うし、
 ご飯のない、素泊まりって言うから…」
「え?そこ?……ま、いいか。
 ご飯食べられないの?」
Mさんが心配しながら聞いてきた。
「しばらくはお粥だって。
 それくらいなら食べていいって。」
私がそう答えると、Mさんが笑いながら
「ご飯食べられないのは地獄だね。
 Aちゃんは食べちゃダメって言われても、
 お粥を3杯くらい食べそうだな(笑)」
そんな冗談を言って和ませてくれた。


家に着くと、C君が玄関に飛び出してきた。
「ママー!どうしたの!?大丈夫!?」
「ごめんね、心配かけて(^^)

 パパからLINEで聞いたの?」

「うん、病院にいるから遅くなるよって。

 ママ、またお腹痛くなったんだ?」

「うん、でも、もう大丈夫だからね。」



家に入ると、
「お粥作るから、待ってて。」
そう言って、Mさんが張り切り出した。
「先にお風呂入りたい。いいかな?
 吐いたり、下血したり、汚れてるから。」
そう言いながら、
私がお風呂を作りに洗面所へ行こうとした時、
「一人で入れる?一緒に入ろうか?」
Mさんがサラ〜と言ってきた。

一緒に?誰と誰が?

「・・・」
私は聞こえなかった事として、無視した(笑)