Mさんと2人で買い物へ行ったが、
私は体調を崩してしまい、
Mさんに助けてもらう事になったのだ。


店内のトイレに行き、吐き気と腹痛に苦しみ、
トイレで紅く染まった水を流した。
でも、鮮血ではないような…
深みのある赤い血。


私がゆっくりとトイレから出ると
Mさんが心配そうに待っていた。
「あ、Aちゃん!大丈夫?」
「ごめんなさい。
 洋服…吐いて汚してしまったわ…
 それから下血した…お腹が痛いの…」
そう言い終わらないうちに
どちらからともなく、寄り添った。


『大丈夫。大丈夫。』
Mさんから心の声が聞こえてきた。


「あ…また吐きたい。」
私はもう一度トイレへと入り、
Mさんはすぐに予備のマスクを
車へ取りに行ってくれた。


トイレへ迎えに来てくれたMさんと一緒に
ゆっくりと歩いて車へと戻ると
「Aちゃん、近くにある病院へ行こう。
 さっき病院へ電話したから。
 このまま行くよ。
 救急車呼ぶより早いからね。」
と、Mさんは言って、車を走らせた。 





今日は土曜日。
総合病院の外来はやっていない。
救急外来に行っても専門医がいなければ
また詳しい検査をせずに終わってしまうという
Mさんなりの機転だったのだろう。
着いたのは専門の病院だった。

看護師さん達が車椅子を用意して待っていた。
私はそれに乗り、すぐに診察室へと向かった。


中に入ると、高齢の優しそうな医師が
「痛いね、つらいね、すぐに調べるからね!」
と、何回も声をかけてくれた。


問診をしてから、血液検査を行ったのだが、
寒くて寒くて身体が冷たい私は
顔も手も真っ青。
指先から少し血を取りたいと言う看護師さんも
さすがに困惑していた。

コロナ禍のお約束で、
換気対策として窓が開いていて
私の身体はちっとも温まらなかったのだ。


なんとか採血が終わり、次はCT。
今はまな板の鯉だ。
言われるがまま、脱いで寝て…ドームの中へ…


検査が終わり、結果が出るまで
待機室らしき部屋で寝かせてもらっていた。

病院側の配慮は有難いが、
意識は朦朧とし、横になると逆流しそうだし、
凍えるような寒い部屋で
耐えるのに必死だった。


しばらくして診察室へ呼ばれ、
椅子へ座ると、優しい医師が言った。
「Aさん、腸炎だね。
 今日、泊まれる〜?」
「・・・?」

はい?
お泊まりのお誘い?
いつからこの医師と私は友達になったんだ??

「えーっと…泊まれるとは?」
私が聞き返すと、医師が笑いながら言った。
「あ、ごめん、ごめん(笑)
 1日入院した方がいいかなと思って!
 自宅で安静でもいいけどね。」

なるほど。
この病院…入院施設もあったのか。

「…急だし、病院側も食事とかベッドとか…
 大丈夫なんでしょうか?」
何とか入院を回避したい私は
やっとの意識の中、聞いてみた。
「大丈夫、大丈夫(^^)
 ご飯、食べられないから!」
と、医師は明るく答えてきた。
「・・・?」


ご飯がない?
食事なし?

えーっと…素泊まりプラン…ですか?

旅行でもないのに、

変なところが気になってしまったのだ(汗)