いないけどいる、あなたへ
「愛してる」
そう言葉少なに言ったあの人はもういない。
その、ただ一度のその言葉が、
わたしの生涯の宝もので。
あの人の面影も、
いつかは薄れていくのかなぁ。
それでも、あの人の笑った顔は、困った顔は、
声は、香りは、肌の感触は、
わたしの中に 深く深く沁み込んでいて。
身体はもうない。
身体で感じることはなくとも、
あなたはいつも、わたしといる。
わたしはいつも、あなたを知る。
日ごとに、時間ごとに、秒ごとに。
あなたがいなくて寂しい。
けれどもあなたがいて嬉しい。
もういないあなたに、
わたしは何を言ってあげたらいい?
何を言ってあげられただろう。
好きだった。愛していた。
当たり前だった。
でも、、 わたしの想いは言葉にはならない。
言葉になるような愛じゃなかった。
それをあの人も、、
わかっていてくれたろうか。
いないあなたに、 それでもここにいるあなたに、
そっと問い続けている。
「あなたはわたしといて、幸せでしたか?」
わたしはね、、、、 限りもなく幸せでした。
いつかどこかで、
たとえどのような命として生まれ直しても、
どんなことがあっても、またわたしはあなたを探してしまう。
その時はまた、 続きからお願いね。
見つけてくれなきゃ、いやだよ。
その時までの、さよなら。
その時までも、ずっと一緒。