どうやら安倍政権は、TPP交渉に参加するためだけに、米国との事前協議で無条件降伏した後は、NZとの事前協議で無条件降伏するしかないようである。

おそらくNZは、米国の事前協議の結果を固唾を呑んで見守っていたはずである。
そこで、日米の合意内容を踏まえると「日本の完全敗北」を認識したはずである。

参考記事:日米事前協議は自動車と保険以外に非関税も譲歩が必要、TPP前哨戦は米国に完全敗北

つまり安倍政権は米国の要求に100%譲歩して日本の要求を放棄したのである。

まず自動車分野では、日本車の輸入関税を5年~10年超維持する、日本が書類審査だけの輸入車を2000台以下から5000台以下に拡大することである。

次に保険分野では、日本郵政グループの「かんぽ生命」が米国企業の得意分野となるがん保険などへ参入について新商品の認可を当面凍結することである。

この結果を見れば、NZが日本のTPP交渉の承認せず強気になるも当然である。

NZが強気になる背景には、TPP交渉参加国において日本とのEPA締結国やEPA交渉国を除けば、11カ国で米国とNZしか残っていないからである。

つまり、米国とNZにとって日本と初めて自由貿易協定の交渉となるからである。

米国がTPP交渉前の事前交渉で日本に100%要求を呑ませたとなれば、初めて交渉するNZも国益のために100%要求を呑ませようと必死となろう。

その結果、TPP交渉参加前にNZは農業で日本の譲歩引き出しに出たのである。

[4月16日 時事通信]TPP関税撤廃「例外認めず」=ニュージーランドが強硬
日本の環太平洋連携協定(TPP)交渉参加に向けた事前協議で、米国政府の承認後もニュージーランドが関税撤廃の例外を一切認めない方針であることが16日、明らかになった。コメをはじめ重要品目を例外としたい日本側は、こうしたニュージーランドの姿勢について「絶対にのめない」(政府関係者)と譲歩する考えはなく、ニュージーランドの承認が得られる見通しは立っていない。

おそらく、NZはTPP交渉前の承認で、日本の農業の例外品目を無くして関税撤廃で120%、関税大幅引き下げで100%となる完全勝利を目指している。

対する日本は、TPP交渉に参加するタイムリミットが目前に迫っているため、TPP交渉に参加するだけに前のめりとなり、国益そっちのけの形相を呈する。

もはや、NZが日本のTPP交渉参加の承認を引き延ばせは引き延ばすほど日本から譲歩を引き出る展開であり、米国に続きNZにも完全敗北が確定である。

あとは日本が全品目の関税撤廃か関税大幅引き下げかで条件闘争するだけである。

現状で日本がTPPに参加して全品目の関税を撤廃することになれば、政府試算による農業の生産額の減少は3兆円減少となっているが、地方自治体による個別の農業の生産額の減少と関連産業の経済損失は下記となる。

●TPP参加で農業の生産額減少と関連産業の経済損失(北海道試算に基づく)
北海道 :約5241億円生産額減少、約1兆6000億円以上経済損失
岩手県 :約1015億円生産額減少、約  3000億円以上経済損失
群馬県 :約 635億円生産額減少、約  1900億円以上経済損失
栃木県 :約1088億円生産額減少、約  3300億円以上経済損失
茨城県 :約1174億円生産額減少、約  3500億円以上経済損失
埼玉県 :約 433億円生産額減少、約  1400億円以上経済損失
滋賀県 :約 249億円生産額減少、約   800億円以上経済損失
鳥取県 :約 246億円生産額減少、約   800億円以上経済損失
島根県 :約 272億円生産額減少、約   850億円以上経済損失
岡山県 :約 407億円生産額減少、約  1200億円以上経済損失
香川県 :約 178億円生産額減少、約   600億円以上経済損失
徳島県 :約 213億円生産額減少、約   700億円以上経済損失
愛媛県 :約 306億円生産額減少、約  1000億円以上経済損失
高知県 :約 158億円生産額減少、約   500億円以上経済損失
大分県 :約 332億円生産額減少、約  1000億円以上経済損失
宮崎県 :約1254億円生産額減少、約  3700億円以上経済損失
熊本県 :約 869億円生産額減少、約  2600億円以上経済損失
鹿児島県:約1372億円生産額減少、約  4400億円以上経済損失
沖縄県 :約 581億円生産額減少、約  1800億円以上経済損失

これらより、全品目の関税撤廃で10兆円近くの経済損失、50%の関税引き下げで約5兆円の損失、80%の関税引き下げで約8兆円の損失となる。

現実的に米国で日本車の輸入関税を5年~10年超維持の合意に即せば、日本の求める「例外品目」は少なくとも80%以上の関税引き下げとなるのだろう。

TPP交渉に参加する前から約8兆円前後の地方の経済損失が確定するのである。

そして、この巨額の経済損失も「経済自由化のルール作り」のため、「日米同盟の強化」のために止むを得ないとするのが安倍政権と自民党になるのである。

もはや、自民党もTPPで国益を守るという大原則を蔑ろにしつつあるのである。

参考記事:重要5品目の税率を1%でも守れば聖域に、石破幹事長はインチキ公約で国民を騙すのか

そして、NZの関税撤廃の例外を一切認めない方針が明らかになって、改めて石破幹事長が農業の重要5品目について関税の引き下げに言及したのである。

[4月16日 毎日新聞]TPP交渉:「農産品関税下げも」石破氏、一定程度なら
自民党の石破茂幹事長は16日、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉で、コメ、麦など重要5品目の関税について「最初から1%も下げないという議論をしても仕方ない」と述べ、一定の関税引き下げはあり得るとの認識を示した。東京都内で記者団に語った。同時に、「国内の産品を守れる水準は死守しなければならない」と強調した。

自民党は同日、全国幹事長会議を党本部で開いた。安倍晋三首相は「同盟国の米国とともにルールを作り、世界の繁栄の中で主役になるべきだ」と説明。17日の党大会で決定する運動方針案に新たに「特に農林水産分野をはじめとして国益がしっかりと守られるよう、政府と一体となって強い姿勢で交渉に臨む」との文言を盛り込むことが報告された。

質疑では「反対の立場を取らざるをえない」(北海道連)との反発もあり、石破氏は「(聖域維持の)公約は絶対に守る」と理解を求めた。

これに関連し、高市早苗政調会長は16日の読売テレビの番組で「(協定締結を決める)閣議決定直前に厳しい審査がある。国益が最大化できず不利な交渉をしてきたらどうしようもない」と述べ、大幅な譲歩は容認しない意向を示した。

つまり、安倍政権も自民党も何があろうともTPP交渉参加が最優先なのである。

現状に恐怖を覚えるのは、与党もマスコミも財界も既得権の誰もが「TPP参加すれば日本が成功する」と信じ切っており、国民を扇動していることである。

しかし、現実にはTPP交渉に参加前の日米事前協議で完全に敗北したのである。
そして、NZにもTPP交渉に参加の承認と引き換えに完全に敗北するのである。

その結果、日本はTPPに参加しても自動車で日本車の関税維持により輸出が伸びず、保険で外資に新分野の開拓を許して、農業で地方が壊滅するのである。

これでは、日本にとってTPPは百害あって一利なしという自由貿易協定となる。
この結果に対して、なおも日本はTPP交渉に参加すべきの意見は気が知れない。

安倍総理は、日本の国益が守れなければTPPから離脱すると宣言すべきである。
そして国益を守れない結果を踏まえて、どう上手く撤退するか考えるべきである。

でなければ、安部総理は「嘘つき総理」でなく「売国総理」としてその名が轟く。



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