6月18日
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麻酔科の問診
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執刀医の診察(術式の最終確認)
麻酔科は手術室のフロアにある。
出産も自然分娩だったので初めて受けるも同然の手術(生後10ヶ月で脱腸の手術経験があるらしいが、もちろん私は覚えていない)であるから場所の雰囲気にちょっと気圧される。
個室に案内されオペ看さんにまずは問診。
アレルギーの有無や麻酔で異常が出たことがあるかとかグラグラしている歯がないかとか……。
すごくいろんな質問をされたが正直あんまり多すぎて よく覚えてない。ただ、父が麻酔でショック状態になったことがあったのでその旨伝えると「どんな薬を使ったかわかるか」とか「その時高熱が出なかったか」
とか「どんな対処をされたか」とかものすごくいろいろ聞かれた。
「熱が出たという話は聞いていませんが、どんな薬だったのか、どんな状況だったのかはすみませんがわかりません。」
と答える。稀に麻酔をかけたとたんにどんどん熱が上がってしまう体質の人がいるらしく、それは危険で、遺伝するものなのだとか。父の場合はそうではなかったようなので他のどんなアクシデントにも対処できるよう万全の準備で臨むと宣言された。
オペ看さんが退出し、次に麻酔科のドクターがおでまし
先ほどとおなじような内容のチェック。
まだ30代後半くらいの、穏やかなお顔の男性ドクターが麻酔の手順を説明してくれる。
麻酔が完全にかかると自発呼吸も止まってしまうため酸素を送り込む管を送還するが、これは麻酔がかかってからするので患者に苦痛はないとか。それを抜くときは麻酔を切ってからになるので意識が回復しているかもしれないが、酸素の管を抜くときに咳き込んだり、タンが絡んだりすることがあるとか。なんだかちょっと怖そうな話しもされ
「痛いのはイヤですね~」と漏らすと
「まぁ、ちょっと脅かすような話もしましたが、実際に手術を終えられた患者さんはみなさん『たいしたことなかった』とおっしゃいますよ。患者さん自身に何か頑張っていただくようなことはございませんのでご安心ください。」
とニコニコしながら言っていた。そりゃそうだ。頑張るのは私ではなく先生方だ。
麻酔科を出ていつもの乳腺外科にもどり夫と落ち合う。
大した待ち時間もなくすぐに名前を呼ばれ診察室へ。いよいよ真打ち登場。
部屋に入るとすぐに執刀してくださる先生は立ち上がって自己紹介と挨拶をして下さり、私たちも丁寧に挨拶をした。最近テレビでよく見るタレントさんによく似たH先生。まるでプロのナレーションばりの流れるような、よどみない術式説明を聞く。しかも超笑顔(^∇^)
「浸潤性乳管癌。ステージⅡA。腫瘍径2.4センチ。核グレード(悪性度)は1でKi67(癌の増殖率)は7.9%。ホルモンレセプターはエストロゲン、プロゲステロン共に陽性。HER2はマイナス。部分切除で術後は放射線30回とホルモン療法。注射が2年と内服が5年。
非常に顔つきの良い、おとなしいタイプの癌ですからね、心配はいりませんよ
部分切除ということで術後は放射線が必須になるけれども、これをすることで再発率が5%に下がります。やらなければ10%。仮に左乳房を全摘する
と2~3%の再発率になりますがそれほど違いはない感じですね。抗癌剤についてはセンチネルリンパ節生検と癌組織の病理結果を診てということで現時点ではプラスマイナス。
胸にボリュームがありますね。腫瘤は2.4センチですが安全のためにそれよりも大きめに取ります。そうするとその部分が空洞になるので他から乳腺などを集めてなるべくバランスよく形を作っていきますけど、胸にボリュームがあるのでね~もしかしたらすこーし窪みがでるかもしれませんね~。でもなるべく目立たないようにしますからね
センチネルリンパ節生検が陽性だった場合はその場で腋窩郭清(腋の下のリンパをごっそり取る)をしますが陰性だった場合はそこは何もしません。
何か質問があったら遠慮無くなんでも聞いてくださいね。」
と言われ、何を聞けばよいか思いつかず、『何もない』というのもなんだか悪い気がしたので、とっさに
「えーと……乳首は残りますか?」と聞いてしまう。
H先生は満面の笑みで
「もちろん」
と言って下さったが、心の中ではきっと『唯一の質問がそれ!?』と突っ込んでいたのではないかな。
さぁ。次の予約はいよいよ入院&手術だ