2つ以上の隣り合う土地をくっつけて、
1つの土地に変更することを合筆といいます。
逆に、1つの土地を区切って、
2つ以上の土地に切り分けることを分筆といいます。
※合筆や分筆の登記は、不動産の表示に関する登記の一種で、
土地家屋調査士の先生のお仕事となります。
尚、土地をくっつけたり、切ったりするだけで、
所有権等の権利関係は変わりません。
よくある事例としては、
不動産業者が購入したA土地(180㎡)とB土地(20㎡)を
合筆・分筆して、C土地とD土地(各100㎡)の2つの綺麗な土地にし、
それぞれ販売する、というケースがイメージし易いかと思います。
所有権移転登記を申請する際に納める登録免許税は、
対象不動産の評価額(固定資産税評価額)をもとに計算するのですが、
年度中に合筆・分筆をした不動産については、
合筆・分筆後の土地(C土地・D土地)としての評価額はまだありません。
(毎年1月1日時点での状況をもとに評価額が決定されます。)
なので、そういう場合には、
合筆・分筆前の土地の評価額をもとにして計算することになっています。
具体的な計算式は次の通りです。
(「A土地の評価額」+「B土地の評価額」)
÷(「A土地の地積」+「B土地の地積」)=「㎡単価」
「㎡単価」×「C土地の地積」=「C土地の課税価格」
さて、
A土地とB土地の各単価がほぼ同じであれば、
感覚的にも、この計算でしっくりくるのですが…
今回、私が担当した案件では、
A土地とB土地の単価が大きく異なりました。(↓数字は仮です)
・A土地 180㎡ 宅地 評価額5400万円 ⇒㎡単価30万円
・B土地 20㎡ 宅地 評価額 100万円 ⇒㎡単価 5万円
※どちらも「宅地」として課税されていました。
この辺りの宅地としては、単価30万円が相場で、
単価5万円は宅地としては不自然に安すぎます。
さらに、今回の所有権移転の対象となるC土地(100㎡)は、
位置関係としては、もともとA土地だったところの一部というのもあり、
原則通りの計算式に当てはめていいものかどうか迷ったわけです。
具体的に計算してみると、
(1)原則通りの計算方法だと…
(5400万円+100万円)÷(180㎡+20㎡)=27万5000円
27万5000円×100㎡=2750万円
⇒登録免許税は、41万2500円
(2)位置から考えて、宅地単価30万円で計算してと言われたら…
30万円×100㎡=3000万円
⇒登録免許税は、45万円
登録免許税の税額で比較してみても、
けっこうな誤差が生じてしまいます。
いくつか計算方法が考えられるケースで、
数百円程度の誤差しか出なそうな場合だったら、
そのまま自分の判断で申請してしまうケースが多いのですが、
(最近は法務局に照会をかけるのも手間がかかるので…)
さすがに、もしイレギュラーな判断をされたら、
万円単位の誤差が生じる可能性を考えると、
事前に照会しないわけにもいかず、
管轄の法務局に、照会書を提出して判断を仰ぐことにしました。
で、結果としては…
「先生のご意見の通り(原則通りの方法)でいいですよ」とのことでした。
ということで、原則通りの方法で良いことに安心したし、
登記費用も最初に提示した見積より安くなったしで、
結果オーライでした。
※ちなみに、こういうケースだと、
最初にお客様に提示する見積は、高い方で提示します。
(法務局に照会かける旨は説明したうえで)
最終的に、安くなる分には予算への影響が少ないので。
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司法書士 黒川雅揮
司法書士黒川雅揮事務所HP⇒http://k-legal.jp/