ではお見せしよう、大人の決闘を!
第99話『デッキマスター深海の戦士』
「私達に勝てば、諸君をこのバーチャル空間から解放しよう。
だが対戦を拒否すれば、残念だが諸君らをここから帰す訳にはいかない」
「下衆の考えそうな事だ」
「やってやろうじゃねぇか。まずはこのオレが相手だ!う、わわぁ!」(無言のボッシュート)
「今のお友達の言葉を決闘承諾と理解させてもらうよ」
合意とみてよろしいですね?
一同バーチャル世界の各地に転送され、バラバラに。
「さて、第一試合は武藤遊戯と、BIG5一人目の使者『深海の戦士』」
BIG1、大下幸之助。格言おじさん。
「私はKCの忠実なる部下として、あらゆる会社を乗っ取り、奪い、喰らってきた。
その手腕と能力をイメージしたのが、『深海の戦士』をデッキマスターとするこの姿だ。
つまりこの私自身がデッキマスターという訳だ」
深海の戦士にそんなイメージはないが……
「もう電脳世界を彷徨い続けるのは沢山だ。早く体を取り戻したいからな。
お前の若い肉体でもう一度青春を謳歌するというのも一興だ。
フッフフフフフ、お前のお友達もすぐに私の仲間がお相手を始めるだろう」
『まずいぜAIBO、杏子や静香ちゃんが狙われたら……』
「うん。こんな決闘する理由なんて無いけど、早くあいつをやっつけて、杏子たちを探しに行かなきゃ!」
『うん。この決闘、受けて立つしかなさそうだな!』
自然な流れでデュエル!
「お前らの身勝手な復讐に付き合う理由は無いが、さっさと始めようぜ!かかってきな!」
「ほほぅ、お前はタイプBの遊戯だな。
武藤遊戯、お前の思考パターンが2種類ある事は研究済みだ。まるで別人の様な2つの頭脳を持つ決闘者。
事前の調査は基本だからね。『敵を知り己を知らば百戦殆うからず』と言うだろう?」
孫子。
「お前のデッキはこの世界では使えない。まず新たなデッキを組んでもらおう。
KCのカードデータだ、その中から必要なカードを選び指で触れたまえ」
キョロキョロwww
無造作に並んでるしめんどくさそうwww1キル組もうぜ!
「いいぜ、デッキを組んだぜ!」
「では、その中からデッキマスターを選びたまえ」
(選べ!と言われても、デッキマスターとして使った時、どのカードにどういう特性があるのかは分からないぜ……)結局王様が組んだのは大体いつものデッキ。
デッキマスター能力は使ってみるまで分からない。やっぱりフェアなんかじゃなかった。
(ガゼルにバフォメット……マスターにしては不利か。ならば使い慣れたブラックマジシャンか。
うん。やはりここは『ブラック・マジシャン』で――
<クリクリー
「えっ?」
<クリークリー!
「クリボー!?」
「ほぅ、『クリボー』に決めたのかね」
「ちがう、クリボーが勝手に!!」
「残念だが、一度出現したデッキマスターを変える事は出来ない」
日ごろ碌な扱いをされてないクリボーの復讐www
王様ガチ焦りwwww
遊戯 vs BIG1(深海の戦士)
「決闘を開始する。私のターンから、ドロー!モンスターを守備表示で召喚!
まぁ、最初の手というのはこういうものだ。思い描くフォーメーションを組み立てる為の一手。
(そして、それが巧妙な罠でもある)ターンエンド!」
(どんな手で来るかと思えば、モンスターを守備表示で出しただけの平凡な一手。
だがヤツは確実に何かを企んでいるはずだ!)
アニメで裏守備とか怪しすぎるぜ!
リバース効果が来るぞ、遊戯!
(事前の調査によれば、このような場合、タイプBの遊戯の行動は8割以上の確率で先制攻撃を選択。
怪しいと思っても、手を出さざるを得ないその性格が命取りとなる!)
(ヤツが組み上げようとしているフォーメーションを組ませる訳にはいかない!守備モンスターは倒させてもらう!)
完全に性格を読まれてる王様。
「オレのターン、ドロー!『翻弄するエルフの剣士』を召喚!」
リメイク版かませの剣士デター!
さっき普通のエルフの剣士も入れてたけど使い道ある?
「リバースカードをセット!続いてバトルだ!
翻弄するエルフの剣士で、守備モンスターを攻撃!よしっ!」
「(まさに事前の調査通り。子供は単純でいい……)この瞬間、リバース効果発動!
相手プレイヤーは手札から1枚を捨てなければならない」
「なにっ!くっ……!」
つ『エクスチェンジ』
いきなりハンデス。
手札悪いしエクスチェンジは残しておこうぜ。
「さらに『アシニグライ』が倒された時、デッキに『アシニグライ』があれば、裏守備表示で出す事ができる。
そしてデッキをシャッフル。どうだね武藤遊戯?倒したはずのアシニグライは元のまま。この戦略読めるかね?」
「……ターンエンド」
ショットガンシャッフルはカードを炒めるぜ!と言ってやる余裕もないみたいだ。
まぁバーチャル世界だから実物じゃないんだけど。
『アシニグライ』 ☆3 ATK500 DEF500
・リバース:相手は手札を1枚捨てる。
・このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時、デッキから『アシニグライ』1体を裏守備表示で特殊召喚できる。
優秀なハンデス効果持ちリクルーター。
「よくできたバーチャル空間だね、ニーソマン」
「ふぅん、今までのバーチャル空間よりは数段リアルだが、所詮俺のソリッドビジョンのコピーだ」
「何者なんだろう?あの乃亜ってやつ」
「この巨大な機動要塞といい、バーチャルシステムといい、あのガキ1人に用意できるものではない。
ましてBIG5のクズ共にそんな力があるはずもなし。
KCを乗っ取ろうとする巨大な資本がバックについていると考えるのが、妥当な所か」
「ニーソマン、ここから出られる?」
「安心しろ、システムの基本は分かっている。何処か脱出の為の非常口がプログラムされているはずだ。
例えば窓とか扉とかの形でな」
頼もしいニーソマン。
他の面々もそれぞれバーチャル世界を満喫中。「私の番だ、ドロー!(ほう、『イピリア』か)中々良い流れだ。
かつてルネッサンス・イタリアの政治思想家は言った。
『勝ち続ける為の条件は3つ――」
(なんだ、コイツ……)
「『その1、チャンスを身につける事』
『イピリア』召喚!この召喚の成功により、カードをドロー」
はぁ?なんだこいつwwww
『イピリア』 ☆3 ATK500 DEF500
・このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、1ドロー。
こいつも優秀。通常召喚時のみならず、特殊召喚にも対応してるとは。
「更に裏守備表示でセットしていた『アシニグライ』を攻撃表示に。
そして、『勝ち続ける為の条件その2!技量を保有する事』。
このフォーメーション変化により、リバース効果発動!」
「またか……」
つ『魔法除去』
フォーメーション変化(表示形式変更)
「このアシニグライはね、攻撃力こそ少ないが、使い方によっては百万の兵にも匹敵する働きを見せるのだよ」
(アシニグライもイビリアも攻撃力500。攻撃を誘っているのか?)ハンデスは強い。
着実にアドを稼いでいく堅実なBIG1。
(誘っているのか、それともただのハッタリか!?
くそっ、ヤツのペースに巻き込まれて必要以上に深読みをさせられている)
精神攻撃は基本。
「オレのターン、ドロー!『融合』か。よし、一気に勝負だ!
バフォメットと幻獣王ガゼルを融合!融合召喚!『有翼幻獣キマイラ』!
さらに魔法カード『速攻』を発動!有翼幻獣キマイラでイピリアを攻撃!」
バフォメットとガゼルを手札に残した甲斐があった。
伏せてたのも融合召喚酔いを消す速攻と、融合を引くのをわかっていたかのようなプレイング。
「『勝ち続ける為の条件その3。敵を自滅の道に誘い込む事』。
かかったな!デッキマスター能力発動!!私の特殊能力は、リフレクターホール!」
『深海の戦士』 デッキマスター
▼相手の攻撃宣言時、自分の場のモンスター2体を生贄にする事で、
その攻撃を無効にし、攻撃モンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。
つまりマジックシリンダー。
コストはやや重めだが、4000ライフルールでこれを何度も撃てるのは強いな。
「痛いだろう?このバーチャル空間では、自分の身に起こった事を脳が現実と判断し、心臓に負担がかかる」
バーチャル闇のゲーム。
自分たちが手に入れる予定の肉体にダメージを与えていくスタイル。
続く!