『現場に飛び込み、声なき声を聴く!』 しげとく和彦のブログ -6ページ目

『現場に飛び込み、声なき声を聴く!』 しげとく和彦のブログ

S45年生れ。衆議院議員候補(愛知12区岡崎・西尾)。元総務省職員。H16年新潟県中越地震で崖崩れ現場からの2歳男児救出に従事。22年愛知県知事選(次点)。H24年に初当選。H26年、H29年無所属で3選。

2021年6月3日(木)午後、「領域等の警備及び海上保安体制の強化に関する法律案」を衆院事務総長に提出しました。

 

 法案の主な内容は、領域等における公共の秩序を維持し、国民の安全を確保するため、(1)領域等の警備に関する基本原則を定める(2)領域警備基本方針及び海上保安体制強化計画を策定する(3)その他の領域等の警備に関する施策の基本事項を定める(4)領域警備・海上保安体制強化会議を設置し、領域等の警備において警察機関及び自衛隊が事態に応じて適切な役割分担の下で迅速に行動できるようにする――などというもの。

 

 法案手交後、記者団の取材に応じ、法案のポイントについて説明しました。「何よりも目的・基本原則にある通り、領域等の警備では警察機関が中心になり、警察権の行使を適切におこなうことによって領海等を守る」と強調しました。その上で「警察機関と自衛隊が事態に応じて適切な役割分担のもとで迅速に行動できるようにする」ことが法案の基本精神であると述べました。

 

 具体的施策としては、(1)政府が5年に一度定める「領域警備基本方針」に基づいて、海上保安庁の人員や装備を計画的に強化する(2)国土交通大臣から海上保安庁の警備行動を補完するよう防衛大臣が要請を受けた場合、自衛隊の部隊が海上保安庁の警備行動を補完するための「海上警備準備行動」をとれるようにする――の2点がポイントと解説しました。

 

法案手交者:篠原豪議員、中川正春議員、小宮山泰子議員、阿久津幸彦議員、重徳和彦議員、渡辺周議員、小熊慎司議員、広田一議員、城井崇議員、亀井亜紀子議員の各衆院議員、小西洋之参院議員

 

 

2021年6月3日(木)午前、「低所得である子育て世帯に対する緊急の支援に関する法律案」

(「子育て世帯給付金」再支給法案)を衆院に提出しました。

 

この法案は、政府が3月に支給を決定し、ひとり親世帯だけでなく困窮しているふたり親世帯を対象とした「子育て世帯生活支援特別給付金」(子育て世帯給付金)と同じ内容の給付金を9月末までに支給するものです。

 

法案提出後、私は初当選以来、子どもを産みたい、育てたいと自然に思える、温かい地域社会づくりを『増子化社会』と称して取り組んできた。夢をもって子育てができる環境をつくっていかなければいけない」と記者団の取材に応じました。

 

提出者:池田真紀議員、長妻昭議員、山井和則議員、川内博史議員、大西健介議員、重徳和彦議員、早稲田夕季議員、岡本あき子議員、山川百合子議員、中谷一馬各衆院議員。

 

家庭医制度の整備の推進に関する法律案(日本版家庭医制度法案)を衆院に提出しました。

 

 

 

ワクチン接種をめぐり「かかりつけ医」が、がぜん注目され始めています。
しかし実は、日本には「かかりつけ医」の明確な制度はありません。
  
この点を問題視してきた、同期の中島克仁議員(山梨1区)は、医師として「かかりつけ医(家庭医)の制度化」を訴え続けてこられました。
3年半前、無所属議員として中島さんと本会議場の隣同士で話したことをきっかけに、直諫の会、会派(社会保障を立て直す国民会議)や議連で賛同者を増やし、この度ついに党の政策として打ち出すことができました。
  
「予防医療のためには、日頃から体調管理や相談に応じるかかりつけの『家庭医』を誰もが持つことが不可欠。」
「患者が増えれば増えるほど医者が儲かる、現行の医療制度はおかしい。」
「コロナ検査やワクチンも、基礎疾患などを把握する家庭医が受け持てばスムーズに行くはず。」
  
野党第一党たる立憲民主党は、自民党には絶対できない、政権ビジョンがなければなりません。
コロナ禍で脆弱さが露呈した日本の医療制度は、半世紀前にできたものであり、すでに制度疲労を起こしています。
健康長寿をめざし、予防医療を重視する「かかりつけの家庭医制度」を選挙の争点として、国民に寄り添った医療制度への改革を訴えていきます!
https://www3.nhk.or.jp/…/html/20210531/k10013059671000.html…

 

 

2021年5月21日(金)午前、内閣委員会にて重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案(内閣提出第62号)について質疑しました。

 

 

重要土地法案等調査法案

 

1.      農地や水源地に関する安全保障上の問題意識

2.      報道等の事実関係

3.      既存法令での対応

4.      地方の取組みとの関係

 

答弁者:小此木 八郎 国務大臣、

      中尾 睦 内閣官房 領土・主権対策企画調整室 土地調査検討室長

      小坂 善太郎 林野庁森林整備部長

      土谷 晃浩 大臣官房審議官

      若林 伸幸 水管理・国土保全局 水資源部長

 

 

【議事速報】

重徳委員 

  立憲民主党の重徳和彦です。大迫力の本多委員の後で、少し切り口の違う質問をさせていただきたいと思います。私、実は、二年前の二月十五日の本会議におきまして、こんな質問をしました。我が国の国境離島や北海道の過疎地、山林、農地、水源地などが外国資本に買収されていることについて、国防上はもちろん、食料や水資源といった日本人の生存にも関わる安全保障上の致命的な問題になりかねないという指摘をさせていただきました。当時の安倍総理が、必要な施策について検討を行っていく考えだという答弁をされまして、それから二年。今回の法案の提出は、安全保障の観点から、外国資本による土地買収の問題意識、これを政府との間で共有できたという点については評価をさせていただきたいと思っておりますが、問題は中身です。もちろん、やはり法律のたてつけ上、外国資本とか外国人と、日本資本、日本人、そういう区別ができないというたてつけになってしまっているものですから、日本人に対してもいろいろな規制や調査がかかるんじゃないかといった疑念が生まれる、こういう問題ももちろん一つあるんだと思いますので、そういうところに広く罰則をかけるのが本当にいいのかどうかといった議論も我が党の中では行われているところです。一方で、私が指摘をしたいのは、当初から指摘をしておりました森林とか農地がこの法案の対象外になっているということであります。小此木大臣には何遍もこれまで委員会でも質問させていただきましたので、基本的にどんな答弁が返ってくるかということは一応理解をした上で、少し深めてみたいというふうに思います。まず、少し、大きな総論として、この法案の基本的な、これは立法事実というか、あるいは法目的というかなんですけれども、確認をしてみたいと思います。安全保障という言葉がありますね。第一条の終わりのところですが、「我が国の領海等の保全及び安全保障に寄与することを目的とする。」こういう法案になっております。この安全保障というのが、多分この法案の中では、防衛施設を守るとか、国境を守る、原発を守る、こういったことが基本的に想定されているんですが、安全保障というのはそれだけじゃないんじゃないかという問題提起でございます。国家というのは領土と国民と主権から成り立つものでありますが、安全保障というのは、俗に言われるのは軍事面の話が多いんですけれども、やはり主権を持つ我々国家国民が我が国領土を維持すること、これはもう基本的な安全保障だと思います。ですから、今、経済安全保障とか食料安全保障とか、いろいろな安全保障の言葉があふれているという状況でございます。今回の法案における安全保障、この言葉の定義を大臣から聞かせていただきたいと思います。
○小此木国務大臣 

  二〇一三年の十二月に閣議決定された国家安全保障戦略というのがございまして、この国家安全保障戦略は、守るべき国益を、「我が国自身の主権・独立を維持し、領域を保全し、我が国国民の生命・身体・財産の安全を確保すること」としております。我が国の防衛関係施設等の周辺や国境離島等で外国資本が土地の買収を行っていることは、安全保障の観点から長年問題視されてきた課題であり、国会や地方議会でも議論されてきたのは、今日の議論の中でもございました。全国各地の地方公共団体からは、安全保障の観点から、土地の管理を行うための法整備を求める意見書が提出されていることも、これまでの議論のとおりであります。こうした状況を踏まえ、政府としては、土地等の利用に関する安全保障上のリスクに対応するため、本法案を取りまとめたところであります。
重徳委員 

  余り、安全保障の定義というお答えじゃなかったようにも聞こえますが、ちょっと次の質問に入りたいと思います。私の問題意識は、やはり、日本の国土の三分の二は森林、山であるということなんです。山が荒れてしまうと、昨今、雨もよく降りますので、大きな災害で、平野に住む都市住民の生活あるいは命に関わることになるということであります。ですから、水源地であります森林、そしてその森林をいかに管理をきちんとするかということによって、豊かな平野、そして豊穣の海というものが維持されるということだと考えています。その意味で、なりわいとしての林業とか中山間地域における農業を守るということは、非常に、国土の安全保障という意味で、広い意味での安全保障につながるんじゃないか、こういう考え方でございます。ちょっとここでお聞きしたいんですが、要するに、最近、山とかあるいは農業地域が、過疎化が進んでもう人が住まなくなってくる、あるいは高齢化で後を継ぐ人たちがいなくなってきている、こういう全国的な問題があるんですが、究極的には、山間地においてもう集落が消滅をしてしまっている。私も、広島県、中国山地の山の中に、その集落がここにあったんだという石碑を見たことがあります。石碑の裏側には、元々誰々さんが住んでいたんだということがその地図と一緒に刻まれている。こういう石碑が中国山地にあるのを一度見たことがあります。過去、何年と取るか分かりませんが、集落で消滅してしまったものが全国にどれほどあるかというのをどのように政府は把握をされていますか。
○中尾政府参考人 

  お答えいたします。所管外ではございましたので、総務省と国土交通省に問合せを行い、過疎地域を始めとした条件不利地域に対する集落の状況に関する調査により、確認できる限りで最も過去の調査起点である昭和三十五年から平成三十一年四月一日現在までの間に消滅した集落数を確認したところ、二千三百五十であると承知いたしております。
重徳委員 

  二千三百五十もの集落が消滅をしているということであります。消滅まで至らなくても、要するに、その地域の森林というのは基本的に二束三文、そして耕作放棄地となっている農地もいわばお荷物というような状況になってしまって、そこを外国人だろうと何だろうと買ってくれるという人が出てきたら、それは、跡取りもいないし、売りましょうかねということになる誘因はあるというふうに思います。ただ、気をつけなきゃいけないのは、一方で、今年に入ってから特に顕著になっておりますが、ウッドショックという状況が始まりました。オイルショックならぬウッドショック。すなわち、木材の需給が逼迫をし、アメリカやヨーロッパでコロナに伴って住宅建設需要が高まって、そこに外国産の木材は流れていってしまって、日本国内における住宅などの木材需要に対して外材が入ってこなくなってきた、そして全体に値段も上がってきた。物が入らないわけですから、今まで、高いからということで、もはやサプライチェーンの中にも入っていなかったような国産材にも注目が集まるようになってきた、こんな状況が始まっています。いつまで続くか分かりませんが、一つの契機として、もしかしたら、日本のもう見捨てられたような山々、しかし、もう数十年前に植林していますから樹木は十分育っております、こういった樹木が、国産材が改めて見直され、価値が上がってくるかもしれない。そういう意味では、山という、山林の土地も見捨てたものではないわけでありまして、逆に、今度は逆の心配も出てくるわけですね。それがもう日本人の、分かっている人の所有物でなくなったときに、その木材という資源も失ってしまうかもしれないということでございます。ウッドショックの現状、そして今後の様々な影響についてどのように見ておられるかについて、御答弁ください。
○小坂政府参考人 

  お答えいたします。議員御指摘のとおり、今、ウッドショックという言葉が業界の中で飛び交っているところでございますけれども、我が国の製材品需要の約五割を占める輸入木材につきまして、米国や中国の木材需要の増大等を背景に、原産国における産地価格の高騰、輸入量の減少などによりまして、今、建築事業者等によって不足感が生じるとともに、入手しづらい状況が生じ、また、価格も上昇しております。こういった中、輸入材の代替として国産材の製品の引き合いも強くなっておりまして、国内の加工工場も既に稼働率を上げて対応しておりますが、生産がすぐには間に合わない、そんな品目もございます。全体として製品価格が上昇するなどの状況となっております。こうした中におきまして、まずはやはり正確な情報を把握し、需給の変動に適切に対応することが重要だと考えておりまして、川上から川下までの関係団体による意見交換を実施し、情報共有を図るとともに、業界全体、業界に対して、需要に基づいた適切な発注等、そういう取組を行う要請を行ったところでありますし、こういった取組を地域ごとにやっていくということが重要だと思っていますので、今後、地域ごとにこういう取組を進めることにしております。さらに、輸入材から国産材転換も含めた需要拡大に向けて、更なる国産材の安定供給体制を構築することも重要と考えておりまして、川上から川下までの信頼関係の下、効率的な国産材のサプライチェーン、こういったものの構築を推進していきたいと考えているところでございます。
重徳委員 

  おっしゃるとおりで、川上から川下であります。川上がなくなったら川下もありません。今のようなウッドショックの状況でございます。そういうことも含めて、利用目的が不明のまま外国資本、外国人への森林の売買というものは、これはやはりしっかりと、広い意味での安全保障上の観点から、利用状況を調査するとか利用の規制を行う、こういうことが必要だと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。
○小此木国務大臣 

  重徳委員とは、今年の初めの、多分、予算委員会か何かで同じような議論をさせていただきました。改めて、森林については、現行の森林法において、国土の保全、森林生産力の増進等を目的として、土地取得の際の届出、大規模な開発行為に係る許可制度等の措置が講じられております。これは有識者会議の提言においても、既存の措置があることを踏まえて、森林を対象とすることについては、慎重に検討していくべきと提言がありました。また、防衛関係施設の周辺や国境離島の土地は、まず最優先で制度的枠組みの対象とすべきという提言もございました。このため、本法案に基づく調査等の対象には、重要施設の周辺や国境離島等に所在するもの以外の森林は含めないこととしています。
重徳委員 

  既存法令での対応という話がありました。そこで、既存法令での対応について、ちょっと検証してみたいと思います。ちょっと質問通告は飛ぶかもしれませんが、財務省、外為法に基づく集計というのがあるんですね。農水省からは後で聞きますけれども、財務省の外為法で、二〇一一年時点で三千七百ヘクタールが外国資本に渡されているという数字でしょうか。ちょっと、これ、外為法に基づく調査というのは今どんなふうになっているかということを、そもそも教えていただけますか。そして、中止勧告などもできるというふうに聞いておりますが、そういった事例はあるのでしょうか。
○土谷政府参考人 

  お答え申し上げます。委員御指摘の三千七百ヘクタールという数字は、二〇〇七年度から二〇一〇年度の四年間の数字を足し上げたものでございます。まず、外為法におきましては、非居住者が本邦にある不動産を取得した場合には、居住用である場合等を除きまして報告書の提出が義務づけられております。この報告書に基づきまして、直近の四年間の数字を調べてまいりましたが、二〇一七年度から二〇二〇年度の非居住者による土地取得を集計しますと、その合計は面積ベースで千六百ヘクタールとなっているところでございます。現在の外為法におきましては、経済制裁あるいは国際収支危機等の経済有事に該当する場合を除き、非居住者による土地取得を制限するような規定はございません。
重徳委員 

  つまり、一定の非居住者の把握はしているけれども、特段それ以上のことはできる規定には基本的にはなっていないということでございます。それでは、農水省にお聞きしてみたいと思います。今度は山林そして農地なんですけれども、私が聞いているところでは、直近の数字で、山林は四百六十五件、七千五百六十ヘクタール、これは山手線内の十二倍ぐらいの広さだというふうに理解できます。そして、農地は、ちょっとこれは調査が少ないんですけれども、累計、三件で四十七ヘクタール、こういう数字なんでしょうか。
○小坂政府参考人 

  お答えいたします。農林水産省におきましては、新聞報道等、各方面で外国資本による森林買収について取り上げるなど、外国資本による土地取得への懸念が高まっていることから、森林や農地について、外国資本による買収に関する調査を行っております。まず、森林につきましては、平成二十二年から行っているところでありまして、初回調査の対象とした平成十八年から令和元年まで、この累計で、居住地が海外にある外国法人又は外国人と思われる者による森林買収の事例として、二百六十四件、二千三百五ヘクタール、国内の外資系企業と思われる者による森林買収の事例として、二百一件、五千二百五十五ヘクタール、合わせて、議員御指摘の四百六十五件、七千五百六十ヘクタールの森林買収、これは平成十八年から令和元年までの累計の数字として把握し、公表しているところでございます。一方、森林法におきましては、森林の保全を図るため、保安林や林地開発許可、そういう制度がございます。これらの外国資本による森林買収については、無許可の開発とか、こういう法律に違反するような問題があるとか、そういうことは現時点で起きていないというような報告を受けているところでございます。また、外国法人から出資を受けた法人の農地の取得状況についての調査は、平成二十九年から行っているところでございます。調査を開始した平成二十九年一月から令和元年十二月までの三年間の累計では、外国法人から出資を受けた農地所有適格法人は二社であり、この二社の農地取得面積は合計で四十六・七ヘクタールとなっているところでございます。
重徳委員 

  今の調査は任意の調査なんですよね。法律に基づくものではありません。ですから、そういう意味でも、任意調査ですから、どこまで正確に把握できているかという法的担保というものは必ずしもないわけでございます。それから、事前に資料もちょっといただいたんですけれども、居住地が海外にある外国法人又は外国人と思われる者による森林買収の事例という一覧を見ますと、その利用目的のほとんどは、資産保有というふうに書いてあります。それはそうですよね。資産を保有している事例を調べているわけですから、その目的が資産保有では、これは何も答えていない。そして、あとは不明とか未定が非常に多いです。ですから、何のためにとか何に使うのかということも把握はできていない。もしかしたら任意調査の限界なのかもしれません。こういったことについてどう考えるかが大事なところでありますが、先ほど、ちょっと小此木大臣、これは通告はしていないけれどもお答えいただきたいんですけれども、有識者の報告書でも、まずは防衛施設周辺とか離島からだよ、こういう、まずはということを、大臣からの御答弁、先ほどありましたけれども。ということは、続いての検討として、こうした森林や農地についても、ここは十分にある、あるいは、今回の法案の、まあ全面的な修正というわけにいくかどうか分かりませんが、例えば、検討条項として、速やかにこうしたものも対象に含める検討を行うとか、何かしらそういった余地はあるようにも聞こえますが、大臣のお考えをお聞かせください。
○小此木国務大臣 

  安全保障の環境がこの数年で随分変わってきたという危機感を持った言い方がございまして、政府もそういう認識でおります。今の重徳委員のお話に直接答えることにならないかもしれませんけれども、この法案をまずはしっかりと、これまで議論があった、地方議会から、あるいは私たちが持っている不安、あるいはそういったものについての調査を進めていくということであって、お訴えの森林法あるいは農地法の議論もいたしましたけれども、これは年初ですね、当初いただきましたけれども、そのとき、私、この法案とは別のことでありますけれども、大きな意味で国としてそれを補っているというようなことを言いましたけれども、そういったことについては、まず進めてみるという現在での答えとなります。
重徳委員 

  大きな意味でというあれもちょっと面白い答弁だなとは思っていましたけれども、気持ちは分かる御答弁でございます。もう少し申し上げますと、やはりこれは、どちらかというと国の問題であるんですけれども、根本的には国の問題でありますが、むしろ、地方自治体とか地方議会における取組とか発信というものが、結構、今回の法案の基になっている、実際そういう説明も受けております。重ねての質問になりますけれども、地方議会からの要望の多くには、水源地とか農地が買収されることに対する不安も指摘をされているわけです。そして、安全保障の観点からとなると、これはもう地方の手に負えないよということで国に求めている、こういう意見書がたくさん出ているわけでありますので。重ねてお聞きしますが、こういった地方からの声についてどう応えていくのか、単に有識者がどうとかいうことではなくて。重ねてお聞きしますが、いかがでしょうか。
○小此木国務大臣 

  本法案ですが、安全保障等の観点から、防衛関係施設等の重要施設や国境離島等の機能を阻害する土地等の利用を防止するため、国として必要な調査や利用規制等を行うものであります、申すまでもないことでありますけれども。今おっしゃったように、地方あるいは地方議会からの声がございました。この委員会でも申し上げたとおり、議員皆様の地域はそれぞれありますけれども、そういったところでもそのようなことを、不安ですかね、こういったことをお聞きになったというふうに思います。もちろん、有識者会議の提言でも、先ほど申し上げたとおり、森林、農地についての既存の措置があることを踏まえて慎重に検討していくべきだとされたところでありますが、国としても、安全保障の観点から、これは前に進めていかなきゃいけない、不安を解消するために前に進めていかなきゃいけないという思いを込めて立法、提出させていただいたところでございます。
重徳委員 

  ちょっともう一回、一旦ちょっと別の質問を挟んで、もう一回お尋ねします。水源地については、自治体独自の条例も、結構多くの自治体において、上乗せの規制を定める条例が制定されております。これも、建前はどう書かれているか分かりませんが、やはり外資による水源地の買収への懸念を払拭する目的が含まれているのではないかと思いますが、そういった目的、そして条例制定によります効果あるいは実績といったものについて、国としてどう把握されているかをお答えください。農水省かな。
○若林政府参考人 

  お答え申し上げます。地方公共団体におきましては、水源地域の保全を目的として、水源地域の適切な土地利用に支障が生じるような土地取引を抑制する条例が制定されておりまして、十八の道府県におきまして、事前の届出や、無届けの場合の勧告、不適切な土地利用を是正するための助言等の仕組みを設けていると承知をしております。なお、これらの条例につきましては、外国資本による土地取引であることを明記して届出させるものでないと承知しております。その運用状況についてでございますが、例えば北海道におきましては、令和二年度末までに二百六十五件の事前届出が行われておりますが、水源地域の適正な土地利用に支障が生じるとして届出者に対する具体的な助言等に至ったケースはないというふうにお聞きしておりまして、地方公共団体からの助言制度の背景といたしまして、そのような土地取引が、あるいは土地取得が抑制されているのではないかというふうに考えております。国土交通省といたしましては、引き続き、地下水関係条例の制定状況、あるいは土地取得の事前届出に関する運用状況につきまして、地方公共団体の御協力もいただきながら把握するとともに、必要に応じて関係省庁と共有してまいりたいと考えております。
重徳委員 

  今、助言するようなケースに至ったケースはないという話がございました。これは、勝手に抑制されているんじゃないかと。国からすれば、地方が勝手にやってくれているんじゃないか、そういう答弁に聞こえるんですが、これは地方の仕事じゃないと思うんですよ、本質的に。地方が懸念して、条例まで定めているということであります。この段階で、こんな、すかすかとかいろいろ言われていますが、一応法案を提出して、国としても取り組もうという姿勢を示しているのであれば、せめて、こういった声に応えて、検討する条項を追加するといったことを私は是非提案をさせていただきたいと思います。大臣、これは本当に、安全保障の役割を地方に委ねるとか、それから、地方で何かうまくやってくれているんじゃないかなとか、うまくいっている分にはいいんですけれども、本当にそうかだって分かりません。だから、国が踏み込んでいく必要があるんだというふうに思います。一遍にいろいろな、あれもこれもやるのは大変だということかもしれませんが、こういった地方の問題意識は、むしろ都会に住んでいる人には分からないような問題意識や危惧、不安というものがあるんだというふうに理解いたします。とりわけ安全保障ということについては、国はその役割を放棄することなくしっかりと進めていくべきではないかと思うんですが、今、この法案の修正の提案についてはどのように受け止められますか。
○小此木国務大臣 

  言われることの可能性についてですけれども、この附則ですけれども、成立させていただいた後に、施行された後に、五年後に見直しを行うということも書かれております。その前提として、先ほど来申し上げているように、必要な調査をしっかりと行っていくということを申し上げております。
重徳委員 

  まあ、直接なお答えにはなっていないと思いますが。じゃ、最後、あと二分ぐらい時間がありますので、ちょっと、今飛ばした質問を、事務方で結構ですので、お聞きしたいと思います。先ほど、産経新聞が誤報だとかというような話がありましたけれども、実際、じゃ、政府として把握をしている、例えば、農地、水源地にこだわりません、太陽光、風力発電の用地として購入したんだとか、リゾート地だとか雑種地とか、あるいは原野でも構いません、そういったものの買収事例の中で外資の分がどれぐらいあるかということを把握しているか。そして、これは把握するのは難しいのかもしれませんが、しかし、推測も含めて、見立ても含めて、ダミー法人のような、そういったものが果たして存在しているのかどうかといったようなケースについて、どのように把握し、また見立てをしておられるかということについて、お答えください。
○中尾政府参考人 

  お答えいたします。御質問ございました、太陽光、風力発電の用地、リゾート地、雑種地、原野等につきまして、買収事例の統計があるとは承知しておらないところでございます。また、そのような統計もございませんので、御質問ございました、日本法人のダミー等についての計数も承知しておりませんし、推測することも難しいのではないかというふうに考えておるところでございます。
重徳委員 

  お聞きのように、極めて心もとない状況だということを最後、聞けてかえってよかったというふうに思います。この問題意識については、是非、この会場にいらっしゃる皆様方にも共有していただきたいというふうに思います。引き続き、我が党内での検討、対応を考えていきたいと思います。以上です。ありがとうございました。

 

2021年5月21日(金)午前、安全保障委員会にて国の安全保障に関する件について質疑しました。

 

 

1.      自衛隊の大規模接種における予約システムについて

2.      イージス代替案について

 

答弁者:岸 信夫 防衛大臣、椎葉 茂樹 大臣官房衛生監、土本 英樹 整備計画局長

 

【議事速報】

重徳委員 

立憲民主党の重徳和彦です。
先ほど、自民党の原田委員から、自衛隊にどこまで本来業務外のことまでやらせるんだというようなテーマで御質問が行われました。似たような観点から、私は自衛隊の大規模接種について質問をしたいと思います。アエラと毎日新聞の記者が予約システムに架空のコードを入力して予約を取って記事を書いたという件があります。防衛省からは抗議文を出されたということでありますが、これがまたマスコミへの圧力なんじゃないかとか、本当にどんどん尽きない話なのであります。こういうのはやはり透明性が必要だと思います。ちょっと、通告していませんが、事実関係ですので。抗議文を、我が党として、どういうものを出したのかということについて提出を求めていると思いますが、これは提出されたんでしょうかね。昨日から求めていますが。○椎葉政府参考人 官房長名で発出しておるところでございます。(重徳委員「いや、提出を」と呼ぶ)提出……(重徳委員「委員会じゃなくて、我が党の。要するに、公表していないのかと」と呼ぶ)公表はしておりません。(重徳委員「公表してくださいということを言っているんですが」と呼ぶ)要検討させていただきます。
重徳委員 

  この抗議文は大臣まで決裁を取ったものだと思います。大臣としても、公表についてはどうお考えですか。公表していただけないでしょうか。
○岸国務大臣 

  これは官房長名で、私も決裁いたしましたけれども、官房長名でそれぞれの会社宛てに抗議文を出させていただきました。これを公表するかどうかについては、今答弁ありましたけれども、今後検討いたしたいと考えます。
重徳委員 

  検討していただきたいと思います。このシステムについては、元々、サイトをパンクさせないため、予約サイトですね、パンクさせないというような考えもあって軽いシステムにしてきたということでありますが、今回の件も踏まえて、実在する市町村コードしか入力できないような改修を行うというふうに聞いております。しかし、接種券番号と生年月日を自治体のシステムとひもづけをしなければ、引き続き架空の番号で予約をできてしまうということでございます。これは、法律上、行政機関の個人情報の保護に関する法律に照らしても、恐らく個人情報の取扱いを含めて、防衛省・自衛隊のシステムにひもづけすることは法律上はできると思うんですけれども、ひもづけしないんですか。
○椎葉政府参考人 

  お答えさせていただきます。
全市町村が管理します接種券番号を含む個人情報をあらかじめ防衛省の方が把握し、入力される予約情報と照合する必要がございますが、こういったシステムを短期間で実現するには、国民の皆様に迅速にワクチン接種を受けていただけるようにする観点から極めて困難でございまして、そして何より、接種対象となる全国民の個人情報を防衛省が把握することは適切ではないと考え、採用しないこととしたところでございます。
重徳委員 

  お聞きのとおり、把握することが適切でない組織が個人情報も含めて取り扱わなきゃいけない、そういう状況に今置かれてしまっているということだと思います。それで、ひもづけがないと、結局、もし間違いがあったときに、入力ミスなのか、あるいは意図的な虚偽の予約なのか、分かりませんね。接種会場の現場で、もちろん判断できません。記事でも指摘されておりますけれども、東京の会場でいえば、四都県以外の方が来たり、あるいは接種券番号が全然違う人が来ても、ここまで来たんだからと言われちゃうと、現場で絶対拒否するということが果たしてできるのかと。あるいは、最悪のケースですけれども、架空の予約で会場がいっぱいになってしまう、予約がいっぱいになってしまうということもあり得なくはないということであります。今、昨今の、国民の皆さんがみんな早期のワクチン接種を求め、一刻も早い予約を求めている、こういう状況の中で、やはり公平性、公正性というのが重視されます。したがって、現場判断が、いや、それは柔軟にやるべきだという考え方も一つですよ、現場は。だけれども、今度はまた、現場の判断が緩いと緩いでまた別の問題、安全性も含めて、別の問題が広がってくると思います。そう考えると、結局、現場では厳しく厳格に対応せざるを得ないと思うんですけれども、その辺のお考えはいかがでしょうか。
○椎葉政府参考人 

  自衛隊大規模接種センターにおきましては、予約専用ウェブサイトによる予約、それからLINEによる予約の二種類により受付を行うこととしておりまして、当日予約は受けないこととしております。また、当日までに予約を行わずに来場した方につきましては、基本的には接種できませんので、必ず事前に予約を行った上で来訪するよう、ホームページなどによりまして周知しているところでございます。その上で、接種センターに来場された際には、議員御指摘のように、接種者の、予約者の予約情報と持参された接種券及び本人確認書類を照合するなど、接種予約者の掌握を厳格に実施することとしているところでございます。新型コロナウイルスワクチンを確実に接種していただくためにも、必ず事前の予約を行っていただくとともに、接種センターでの接種券及び身分の確認については御理解いただきたいと思います。

重徳委員 

  現場において、本当にミスで違う番号を予約してしまった、本当にミスで間違えちゃった、こういう方もいると思いますが、しかし、それはシステム上はじけないんですよね。だから、現場で、あなた、違うんじゃないんですかと言っても、いや、私はこれこれこういう者でという中で判断せざるを得ないと。そのミスが意図的なものなのかどうかということも判断をできませんよね。そういうことも含めて、現場で判断できるんでしょうか。対応できるんでしょうか。
○椎葉政府参考人 

  恐らく、意図的に来た方は市町村から配付されました接種券を持っておられないということで、接種券というのは大事で、それと本人確認の書類を照合するなど、接種予約者の掌握を厳格に実施することとして対応したいと思います。
重徳委員 

現場判断、大変だと思います、これ。私、ちょっと更問いですけれども、自治体であれば、日頃から住民とも接しているし、個人情報も、今回のワクチン接種に関する個人情報、取り扱うべき立場だと思います。だけれども、自衛隊・防衛省といった組織、あるいは現場の医官、看護官の皆さんは、本来の業務なのかと言われると、やはりこれは相当の負荷が、負担がかかってしまうことだと思います。また、限られた人、予算、時間の中で、防衛省や自衛隊が、そもそも、自治体とは別の大規模接種会場をつくってですよ、予約システムまで一からつくって、その上でワクチン接種をすることになっているわけです、今。ちょっと考えたんですが、自治体が人手が足りない、接種する打ち手が足りない、そういう自治体もあるじゃないですか、そういうところに応援に行くとか、そういうことであれば、そんな、システムがどうとかいうトラブルに巻き込まれないと思うんですよね。そういうことの方が、本来、自衛隊、自衛隊病院で働いている皆さんが行く先、あるいは、そういう人材の活用方法としてはよりいいんじゃないかと思うんですが、そういう検討はされたことはあるんですか。
○椎葉政府参考人 

  この大規模センターでございますけれども、四月二十七日に総理の方から御指示が出て、その中で、特に東京都、埼玉、千葉、神奈川県は全国の高齢者の四分の一に当たる九百万人が居住しているということと、それから、大阪府にも人口が集中し感染拡大が顕著であるということで、これらの地域において感染拡大が継続した場合に他の地域への影響が極めて大きいということで、こういう大都市について、きちんと、そういう医官や看護官を、組織的な活動が可能な唯一の国の組織である防衛省・自衛隊が大規模接種センターを東京と大阪に設置し運営してほしいということでやったものでございまして、そういうばらばらにやりますと力が分散して、やはり集中が大事だということでございます。
重徳委員 

  これからいよいよ接種が始まりますので、いよいよ、現場の皆様方の負担感も含めて、本当にふだんの仕事と随分違うことまでやらなきゃいけない状態ですから、ましてや自衛隊の本来の業務というものがありますので、そこは十分に御配慮いただきたいと思うんです。そして、このオペレーションがきちっと最後までやり遂げることができるのかどうか、この辺については大臣が責任を持って行って、おかしいところがあったら適切に正す。そして、更に言えば、これから自治体は自治体で大規模接種会場を別途またつくろうという動きもあります。三十か所ぐらいでつくる意向があるというふうに聞いておりますが、そういうところに対しても、いわば先行事例ですから、そういったところに、今回、自衛隊の事例がどういうところがよかったか、どういうところは改めなきゃいけないのか、そういったことも含めて伝えていくべきだと思うんですけれども、大臣のお考えをお聞かせください。
○岸国務大臣 

  今回の大規模接種センター、総理の指示に従いまして、五月二十四日から接種をスタートする、そのための予約を十七日からスタートしたわけでございますが、安心して接種をしていただけるような、そういう体制の構築に向けて、自治体と緊密に連携しながら、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。全体の枠組みについては今衛生監からも答弁があったとおりでございますけれども、まず、ワクチン接種の主体はやはり市区町村でありまして、我々の役割というのは、一日でも早く多くの方に接種を受けていただく、その後押しをするというのが我々の役割だというふうに思っております。システムが自治体とつながっていないということ、これは当初から協議をしたんですけれども、さっきの理由でもって、なかなかつなげられない。その上で、じゃ、どうやっていくかということで、一番心配されたのは二重予約です。そうしたことについては、二重予約はしないでくれということを周知徹底するように、対策本部、本部長、副大臣の方からも機会のたびに申させていただいたところなんですけれども。いずれにいたしましても、接種券とそれから本人の確認、これが非常に重要であります。これがないとなかなか、ファイザーに、モデルナというものが増えていく、更にほかのも増えていくような状況の中で、確実な医療行為を実施するということにおいては、そういったことが必要になるんだというふうに思います。こうした形で、自衛隊挙げてしっかり取り組んでまいりたい、こういうふうに思っているわけですけれども、まず、運営に当たっては安全をしっかり確保していかなければいけないと思いますし、それから、ただいま委員からもお話があられましたけれども、ここで保有する能力やこれまで得られた知見、経験というものを十分生かしていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。これからまた調整を加速してまいらねばならないというふうに思います。最後のとりでとしての自衛隊という位置づけでこの大規模接種センターを設置をいたしました。個々の国民の皆さんに可及的速やかにこのワクチンをお届けできるようにしっかり進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
重徳委員 

  ちょっと時間の都合もありますので、次の質問に参ります。私、今、通常国会で安全保障委員会をもっと何度でも開催していただきたいというふうに、常々、委員長や与党筆頭にもお願いをさせていただいております。しかし、そうはいっても、今国会もあと一か月を切りました。そして、夏には予算概算要求というタイミングになります。非常に大きな、防衛装備品、買物の検討が今進んでいます。それは、イージス・アショア、陸上イージスの代替策でございます。そういう意味で、概算要求の前の大事なときに、今日はその代替策について、検討状況はどうなっているかという質問をさせていただく予定で通告もさせていただいておりましたところ、たまたま、今日の朝、朝日新聞に、「代替イージス 二隻九千億円」という大きな見出しの一面記事、「防衛省試算 総経費 陸上の二倍」という大きな記事が載っておりました。私は、昨日事務方の皆さんと打合せをさせていただいたときに、現在、イージスの代替策についての検討、とりわけ予算規模はどのぐらいまで数字として出されているのかということについて改めて確認をしたんですが、昨年十一月に出された参考の数字、今日、資料の二として配らせていただいておりますが、いろいろなプラン、AからDまでのプランの中の、今、一応、基本的にはプランAの方向で検討が進んでいると聞いております。そこを見ますと、導入コストで二千四百から二千五百億円。二隻ですから四千八百億円から五千億円といったところだと思います。それ以外の、それ以上の数字は、何ら公表というか検討もしておりませんというようなレクをいただきました。ところが、今日の朝日新聞によりますと、昨年の十一月時点で、総コストの試算を、代替案検討状況の整理と題する内部文書でまとめていたと。そして、その金額は、維持整備コストとして、二隻で三千七百九十二億円から三千八百四十二億円プラスアルファという記事になっております。これを足し合わせると、つまり導入コストと足し合わせると、二隻で九千億円近い、こういう報道なんです。まず、この昨年十一月の内部文書、タイトルが代替案検討状況の整理という文書、これが存在するんでしょうか。これ、お答えいただけますか。
○土本政府参考人 

  お答え申し上げます。今委員御指摘の点につきまして、防衛省として、報道内容の逐一についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと考えております。
重徳委員 

  差し控える理由は何でしょうか。この予算審議というものは、国会における最も重要なシビリアンコントロールだと思います。財政民主主義の観点からも、国会は、国民の代表として、予算の審議、納税者の立場からの予算の審議というのは最も重要なところであります。内部文書とありますし、一億円単位の数字まで報道には出ておりますけれども、しかし、一億円単位のところまで数字を出す必要まではないかもしれません、もしかしたら。しかし、その金額たるや、維持整備コストだけで二隻で三千七百九十二億円から三千八百四十二億円。つまり、三千数百億とか四千億近いとか、こういった規模感も示さずに、そして、この報道によりますと昨年十一月時点の数字ですから、その後十二月に政府は、陸上イージスをやめて海に、船に転じるという閣議決定をされているわけです。こういう意味でも、果たしてどういうことを根拠に、つまり、これだけのコストがかかるにもかかわらず、閣議決定をしたのかどうかという判断は政府部内で勝手に行われたんだとすると、国会への報告を余りに怠り過ぎじゃないかと私は思いますが、どういう理由で差し控えるんでしょうか。
○土本政府参考人 

  今委員の御指摘の点でございますが、ちょっとお時間いただいて、考え方を少し説明させていただきたいのでございますが。まず、イージスシステム搭載艦につきましては、これも委員御案内と思いますが、運用構想の詳細、搭載機能、艦の設計等について検討を進めていく中で、その総経費を精緻化していくため、現時点で、例えばイージス・アショアの総経費と比較をすることは困難であるということは、従来から御説明しているとおりでございます。ただ、今後、その総経費の精緻化に当たりましては、厳しい財政事情等も踏まえて、しっかり精査してまいりたいと考えております。その上で、先ほどちょっと委員の方からも御指摘ございました、あと、本日の配付資料にもつけさせていただいております十一月の中間報告の概要でございますが、大きく、導入コストと維持整備コスト、この二つのパーツがあるかと思います。総経費の考え方といたしまして、まず、導入コストにつきましては、昨年十一月の中間報告等を踏まえて示しました洋上プラットホームの各プランの導入コストが参考になりますが、これらは、その時点で、米側、米国政府及びロッキード・マーチン社でございますが、これらや国内事業者から入手可能な情報を基に、仮の要求性能を設定して、検討結果に基づいて試算した数字ということで、例えばプランAであれば二千四百から二千五
百億円以上といった、ある意味、あくまで経費の規模感というものを示させていただいたものでございます。これはあくまで経費の規模感であり、また、それらをそのまま事業化するものではないということは、累次、国会の場でも御説明してきたところでございます。もう一つの、維持整備費でございますが、これにつきましては、海上自衛隊のイージス艦の維持整備の実績とか、米国から提供された情報など、一定の情報は有しておりますが、搭載する装備品の細部仕様とか運用の形態、これらによりまして、様々な要因によって、この維持整備機器等については、経費は変動するという性格のものでございます。そういう性格に鑑みまして、当然のことながら、昨年の十一月の時点では、維持整備費については、具体的な、先ほど言いました導入コストでは規模感というものはお示しさせていただいたところでございますが、維持整備費については数字を表すことは困難だということでございまして、先ほど申しましたように、今後、それらはこれから精緻化していくということでございます。先ほど申しましたように、いろいろ、海自、イージス艦の維持整備の実績とか、米側から提供された情報など、いろいろな一定の情報というものはありまして、我々も内部では検討はさせていただいているところでございますが、防衛省の検討の細部、内部に関わることについて具体的に御答弁することは差し控えたい、そういうことでございます。
重徳委員 

  お答えになっていないと思います。いろいろな変動要因があるのは当然のことでありますが、規模感を示すということすらできないという理由にはならないと思います。そして、ここから先は事務方の御答弁は要りません。岸大臣にお答えいただきたいと思います。この朝日新聞の記事であります。三千数百億円、四千億円近い維持整備コストの規模感について、省内で報告を大臣はちゃんと受けておられましたか。この数字かどうかは別として、維持整備コストについての規模感は、大臣の耳には入っていましたでしょうか。
○岸国務大臣 

  委員のお尋ねの件でございますが、報道を前提とした件にはお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、様々なイージス代替艦の課題につきましては、逐次報告を受けているところでございます。
重徳委員 

  昨年、河野前大臣が、ブースターが落下するというリスク、そしてそれを改修するには二千億円程度かかるというふうに、なぜ二千億円という数字が出てくるのかもよく分かりませんが、そういう数字を根拠として陸上イージスを断念するというふうにおっしゃって、断念をするという判断をされました。そのときの一つの根拠として、二千億円という数字がありました。金額で全て決めるものではないと思いますが、このイージス代替策における維持整備コストが二千億円よりも大きいか小さいかとか、大幅に、この報道のように、大きいという規模感なのか、そういったことについて情報を、報告を得た上で、大臣は、昨年の十二月の閣議決定、そしてその後のイージスシステム搭載艦の検討を今進めておられるんでしょうか。
○岸国務大臣 

  イージス・アショアについて、計画を断念したきっかけとなったブースターの落下でございますが、これは、当初想定していたソフトウェアの改修のみではそれができない、そして、ハードウェアを含むシステム全体の大幅な改修が必要で、相当のコストと期間を要することが判明をしたということでございました。そして、それをかけても、よりいいシステムができるというわけではないわけですよね、というのは、能力的に。そういうようなことにお金をかけるということではなくて、イージスの代替案を模索するということになった経緯だと思います。
重徳委員 

  今大臣、余計なことをおっしゃったと思いますよ。陸上のイージスと今進めておられるイージスシステム搭載艦、この機能を比べて、どっちがいいかという判断をしなきゃいけないと思うんです。ブースターを改修することで陸上イージスがよりよくなるなら、それはまあ、それにこしたことはないですけれども。仮に、陸上イージスの元々の機能を維持するためだけだとして、その機能水準は、船のイージスと比べて、例えば、運用する期間、年間、二十四時間三百六十五日運用できるのが陸上イージスであって、船にすると、やはりいろいろなことがあって、試算によっては年間の三分の一ぐらいしか稼働しないという試算もあるわけであります。それから、陸上自衛隊と海上自衛隊、運用する側の問題も、負担、負荷という問題もあります。そういうことを含めて、どちらがいいか、価値のある二千億円なのかどうかということが問題なんだと思います。質問は、ブースターを改修するために、仮に二千億円としましょう、それよりも多いのか少ないのかとか、大幅に多いのかとか、そういった規模感を情報として得た上で、今のイージスシステム搭載艦の検討を進めているのかどうかということです。お答えください。
○岸国務大臣 

  失礼しました。先ほど申しましたのは、お金のかけ方としてそれが正しいのかどうかということだったんですけれども、済みません、そういう意味では適切にお答えしていなかったかもしれません。その後の代替案の検討状況について、これは今委員が御指摘の点等、総合的に勘案して進めてきたものであります。もちろん、様々な状況というのはございます。代替の地理的な場所等も検討もいたしていましたけれども、地上で進めるのは非常に難しいという状況も一方でございました。そうした中で、代替案としての、イージスシステムの搭載艦二隻を保有するということに総合的に判断をしたものでございます。
重徳委員 

  総合的にという言葉しか答弁にないような御答弁ですけれども、やはり、我々国会議員としては、唯一ではありませんが、何よりも重要なことの一つとして、予算の使い方、税金の使い方であります。その規模感も含めて総合的に判断されたんだとすれば、その規模感もお聞きになっていたのでしょうと思いますよ。その規模感を全く示すことなく今検討が進められていることが問題なんだと思うんです。今からでも構いませんが、維持整備コストの規模感というものを直ちにお示しいただけないでしょうか。これは大臣の御判断でお願いします。
○岸国務大臣 

  今後、必要な検討を進めて、適切にお示ししていきたいと考えております。
重徳委員 

  そうはいっても、私、これは報道ですから、これに基づいての答弁というのはないとは思いますけれども、ないというか、適切ではないとおっしゃるのかもしれませんが、少なくとも四千億円近いというこの維持整備コストを前提に考えると、私はそもそも、今、船に載せようとしているプランそのものをこのまま続けることに対して大きな疑問がありますし、この配付している資料は、本当はもうちょっとたくさん添付資料がついているんですが、先日、自民党の、公明党もですかね、与党の部会に提出をされたものでございまして、そこにも去年十一月の数字以外何ら示されていないんですよ。こういう状況の中で、大臣が総合的に判断したからということのみをもって、ひたすら船の上に載せることという方向に突き進むというのは、余りに私はリスクがある、引き返しがつかない、取り返しがつかないことになり得ると思います。その意味で、私は、今度の概算要求も含めて、陸上イージスに立ち返るということもゼロではない、船しかあり得ないということではないんだということを、少しでも含みを持たせるような方向にできないものかということをお尋ねしたいと思います。もう引き返しのつかない段階に来ているとは、私は思いません。税金の使い方として、数千億円、一兆円近い、あるいは超えるかもしれないというお金を、こんな、総合的に判断して、国会議員には全く示されない、すなわち国民には全く知らされないままもうひた走るというこの姿勢は、今ならまだ改めることはできると思いますが、大臣、全部今の段階で引き返せと言っているわけじゃないです、船の検討をチャラにせよと言っているわけじゃないです、しかし、引き返す余地も全くないのかどうかということについてお尋ねしたいと思います。
○若宮委員長 

  申合せの時間が経過いたしていますので、答弁は御簡潔にお願いいたします。(重徳委員「大丈夫です。会派内の融通をしていますから」と呼ぶ)分かりました。
○岸国務大臣 

  イージス・アショアの代替案としての、ブースターを海に落下させるという観点から、レーダーと指揮通信システムを陸上に、迎撃ミサイル垂直発射装置、いわゆるVLSを洋上に配備するという陸上案も検討を行ってまいりました。しかし、この陸上案については、昨年六月の、イージス・アショアの配備に適している代替地を見つけることが困難な見通しであるという旨を発表いたしまして、それ以降、更に省内において調査を継続しましたけれども、適切な代替地がなかった、こういうことであります。また、陸上にレーダーを配置して、洋上にVLSを搭載して配備する案についても検討を進めました。迎撃の成否は、イージスウェポンシステムそれからVLSの間の通信に左右されるという課題があります。また、配備地によって、このVLS側に追加で装置が必要となってまいります。結果、全体の経費が増加する可能性があるということ。加えて、洋上にVLSを配備する場合に、常時持続的な防護体制は定期整備や気象、海象の影響を受けることとなって、海上案と同様の問題を包含するといった論点が存在するということを確認したところでございます。このため、陸上案は困難性が高いというふうに考えられ、イージス・アショアの構成品を移動式の洋上プラットホームに搭載するという方向で検討を行い、その結果、昨年の十二月に閣議決定において、陸上型のイージスシステムに代えて、イージスシステム搭載艦二隻を配備するということとなったものであります。いずれにしましても、我々として、イージスシステム搭載艦について、可能な限り早く運用開始に至れるように努めてまいりたいと考えております。鋭意検討を進めてまいりたいと考えます。
重徳委員 

  経緯はもう分かっているというか、役人答弁みたいなものですから、必要ありません。鋭意検討を進めるという中に、全くもう陸上イージスはゼロなのかどうかという、そこだけお聞かせいただけないでしょうか。維持整備コストの規模感すら、我々は示されていないんです。大臣が把握されているというのであれば、それも含めた判断だということでいいのかどうか。そして、それならば、その規模感は我々にきちっと示して、我々を説得できるような判断なんだ、陸上イージスはあり得ないということをはっきり言うべきだと思いますし、陸上イージスはあるのかないのか、これだけお答えください。
○岸国務大臣

  陸上イージスについては、今、検討の対象とはしておりません。
重徳委員 

  そこは、昨年六月に判断されたのは河野大臣でありまして、そのときにおける責任者は河野大臣ですが、今、その御判断を、検討の対象外だというふうにおっしゃった岸大臣がその責任を全てしょわれるということでよろしいでしょうか。
○岸国務大臣 

  このイージスシステム搭載艦の計画を進めるに当たり、私がそういった旨を判断したところでございますので、私の責任の下で、今、防衛省全体として進めていることでございます。
重徳委員 

  次の屋良委員の時間に食い込んでしまいましたので、最後に一つだけ確認です。先ほどの答弁で規模感を示すということを言われましたが、いつ頃ということを教えてください。そして、委員会に提出をしていただきたいと思います。
○岸国務大臣 

  今、先ほどもお話ししましたけれども、詳細の検討を進めているところでございます。それが済み次第、できるだけ早いタイミングでお示ししていきたいと考えます。
重徳委員 

  委員長にもそのようにお取り計らい願いたいと思います。
○若宮委員長 後刻、理事会で協議させていただきます。
重徳委員 

  じゃ、以上で質問を終わります。ありがとうございました。