2022年2月17日(木)、予算委員会第一分科会にて質疑に立ちました。
予算委員会第一分科会 (消費者庁)
大規模なアサリ産地偽装により、外国産のアサリが「熊本県産」と表示された問題
・実態の把握と対処 (偽装業者には厳正な対処を)
・輸入アサリについて
・蓄養について
・産地表示について
・今後の取組への支援 (国産アサリ回復など)
重徳和彦議員(アサリの産地偽装、漁獲量減少)
<国会Twitter>
https://twitter.com/cdp_kokkai/status/1494271576459857921
<字幕書き起こし>
https://docs.google.com/document/d/19wqPQwwkdAOSB47QDXeJWX_iiYxHRYYmVT6Jpvl36J0/edit?usp=sharing
【議事速報】
○島尻主査 これにて西野太亮さんの質疑は終了
いたしました。次に、重徳和彦さん。
○重徳分科員
立憲民主党の重徳和彦です。今の熊本・有明海の自民党の西野さんに続いて、同じテーマの質問なんですが、私は愛知県で、三河湾という湾がありまして、かつて、日本一のアサリの産地だ、そういう誇りを持った地域でありますが、近年、漁獲高がただでさえ激減して、本当に取れなくなっちゃった、こういう地域であります。原因も、かつては、カイヤドリウミグモという寄生虫が原因じゃないかと言われたときもありましたが、最近は、海の栄養が足りない、栄養塩が足りないというような指摘がありまして、下水処理の在り方を、湾に流す水の処理を、リンと言わ
れる栄養分、要するに、窒素、リン酸、カリのリンですね、それを少し増量するように下水処理の在り方を調整するとかいうようなことを漁協の皆さん方と一緒になって取り組んできて、今年は少しいいぞとか、なかなかよくならないねとか、こういう思いを地元の漁師の皆さん方とともにさせていただいている、そういう立場であります。先ほどの質問の中でもございましたけれども、テーマは、大規模なアサリ産地偽装によって外国産のアサリが熊本県産と表示されたという問題についてなんですが、二月一日、農水省の実態調査が行われまして、先ほど政府の方から御説明があったように、去年の十月から十二月までの調査において、年間の熊本県アサリの実際の漁獲量、これは二十一トンと言われておりますが、それを大幅に上回る二千数百トンが三か月の間だけで確認をされた。これはやはり外国産のアサリが相当量混入しているという可能性が高いというふうに判定がされたというわけですね。この調査結果に基づいて、この結果のみでは原産国を特定することはできないので、流通ルートに遡って立入検査を実施し、事実を認定していくことになるということで、現在調査が行われているはずなんですが、今、農水省、どんな調査をされていますか。
○江﨑政府参考人
お答えいたします。今回の調査を通じて把握した疑義につきまして、仕入れ先や販売先等の流通ルートを遡って立入検査等を行っているところでございます。法に違反する事実を確認した場合、表示の是正等の指示、公表を行い、消費者庁や警察にも情報共有を行ってまいります。
○重徳分科員
少し後ほど詰めてまいりますが、まずその前に、この産地偽装というのはかなり大規模に行われていたというふうに言われますが、政府は昨年十月に先ほど申し上げました調査を行ったわけですが、それまでの間、何らかの調査をしてこられましたか。過去のアサリの産地偽装の事案、今、権限としては指示とか公表といったことができるという話でしたが、そういった過去の実績を教えてください。
○江﨑政府参考人
お答えいたします。アサリの産地偽装事案につきましては、農林水産省として、これまで、食品表示法に基づき、消費者庁や都道府県等の関係機関と連携し、疑義情報を踏まえた立入検査を行い、法に違反する事実を確認した際は表示の是正等の指示を行うなど、厳正な対応を行っております。また、こうした情報は警察にも提供しております。広域事業者に対しては国が、それから、広域事業者以外の事業者に対しては都道府県等が、指示、公表を行っております。平成二十四年度から現時点までの十年間で指示、公表を行った件数は十六件でございます。このうち、農林水産省として、広域事業者に対して二件、指示、公表を行っております。
○重徳分科員
実際に指示、公表を行ったのは二件。過去五年ですか。(江﨑政府参考人「十年間」と呼ぶ)過去十年で二件ということでございます。この食品表示法のほかにも、不正競争防止法、これは経産省所管と聞いておりますが、ここにおける不当表示が適用されれば、そういった厳正な処置がなされるというふうに聞いておりますが、それは過去五年、十年、どうでしょうか、実績は。
○蓮井政府参考人
お答え申し上げます。御指摘の不正競争防止法でございますが、不正の目的をもって商品、役務などの原産地ですとか品質等について誤認させるような表示をした場合、あるいはこうした誤認をさせるような虚偽の表示をした場合につきまして、刑事罰の対象となるところでございます。個別事案についての罰則適用判断は司法でされますので、お答えする立場ではございませんけれども、過去五年ということでございますが、アサリの原産地偽装の事案につきまして、不正競争防止法違反として一件の摘発事例があると承知をしております。
○重徳分科員
食品表示法で十年で二件、不正競争防止法で一件、実績としてはそういうことだということであります。さて、少し切り口を変えますが、この熊本県の問題につきまして、熊本県知事さん、熊本の関係者が大変大きな問題意識を持って臨まれているということが見て取れる、これは今年の二月十一日の読売新聞の全面広告なんですね、「産地偽装は、許さない。」と。熊本県知事さんが写真入りで、「許さない。」そして、熊本県では二月四日に熊本県産アサリ緊急出荷停止宣言を発令し、そして、二月十一日以降、店頭からそのアサリを全部出荷停止ということですから、姿を消すということになった。二か月間の間に信頼回復をし、二か月後には再びアサリの出荷を再開すると。こうしたある種の強い覚悟を持って、地域、利害関係が様々ある中と想像されますが、そういう中で、非常に強い思いでこうした宣言、対応をされています。比べてと言ったら申し訳ないんですが、これは大臣にお聞きしたいんですが、国の方は、各業界団体に対しまして二月一日に通知を出しておりまして、そして、要すれば、アサリの取扱い時には産地伝達の確認を徹底してください、業界団体の会員に対する特段の御指導をお願いします、こうしたお願い文書を出しているというところにとどまっているわけなんです。このことは、熊本県のこの悲痛なまでの覚悟を持った、絶対産地偽装を許さないということに対しまして、国は随分穏当な感じに、少なくとも一見見えるわけなんですけれども、その辺りについて、やはり地元の苦しみというものを国としても共有してといいましょうか、少し覚悟を持ってこうした対策を講じるべきじゃないかと思いますが、まず大臣にお伺いすると同時に、問いの十五番というふうに通告していますが、水産庁の方にも、この熊本県の対応をどう評価されているか、こういったことをお答えいただきたいと思います。
○若宮国務大臣
今委員からお話しいただきました件でございますが、今回、農林水産省の最初の公表を受けまして、御指摘の通知を発出をさせていただいたところでもございます。都道府県の監視担当部局に対しましても、監視指導を徹底するように求めたところでもございます。先般、熊本県の方からは、取締り体制の整備、原産地表示のルールの運用の見直し、そしてまたトレーサビリティー制度の構築について、制度面での御提言もいただきました。いずれも、現在のルールの下では表示違反を見つけるのが非常に難しいということが背景にあろうかと思いますが、まずは、御要望と現場の意見をしっかりと受け止めたいと思っております。また、先ほども答弁申し上げましたけれども、今、農林水産省におきましては、今回の件に関わります疑義の解明の調査が行われているところでもございます。もしも不適正な行為が確認をされた場合には、農林水産省とも連携し、厳正な法執行に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。これと併せまして、また、ルールの適用の在り方につきましても、消費者庁といたしましても、農林水産省と連携をいたしまして、国内のアサリの流通の実態、これも把握していかなければいけないと思っております。また、どうしたら表示の偽装を防ぐことができるのか、あるいは、先ほどもちょっと触れましたけれども、消費者の信頼を回復して、何よりも御家庭でおいしい、安心したアサリを食していただけるということが一番重要だと思っておりますので、こういった観点から必要な見直しについては取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。
○渡邊(毅)政府参考人
熊本県の二か月間の出荷停止についての水産庁の評価というような御質問をいただきました。お答えをいたしたいと思います。熊本県におかれましては、熊本県ブランドを守るための対策に取り組むということで、二か月間の出荷停止を行ったと伺っておりますけれども、県内の漁業者の方々と一体となって、熊本県産ブランドを守るために県として大きな決断をされたというふうに我々としても受け止めているところでございます。水産庁といたしましては、今後、熊本県において実施される取組内容を踏まえた上で、消費者庁や熊本県と連携し、共に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○重徳分科員
大きな決断という水産庁からの評価、そして大臣は、調査をしっかり行って、何か見つけたときには厳正な法執行を行っていくという話がございました。先ほどの質問の中にもありましたけれども、この偽装は地理的には恐らくかなり広範囲にわたる。それから、流通過程でいいますと、川下、川上のたくさんの段階で、そして、その中のどこで偽装、どこで外国産が熊本産というふうに表示がすり替わった、そういうこともなかなか見つけにくいぐらい大変なことだと思うんですけれども、そもそも、食品表示法上の権限として、国の権限として、こうした全ての段階の業者に対して立入調査を行う、そういった権限はあるんですか。権限がなきゃ、それは調べようがないと思うんですけれども。そこを確認してみたいと思います。
○江﨑政府参考人
お答え申し上げます。食品表示法上、表示の適正化を確保するため必要があると認めるときは、食品関連事業者や関係のある全ての段階の事業者に対して立入検査を行うことが可能となっております。なお、農林水産省は広域事業者を対象に立入検査を行うこととなっておりまして、事業者が県域事業者の場合は、当省は事業所の所在する都道府県に情報を回付し、都道府県が検査を実施することになります。
○重徳分科員
分かりました。全ての段階で可能だということであります。そうしましたら、ちょっと別の角度ですが、今回、当然、外国産ですから、輸入をしたアサリに関わる問題です。これは多くは下関の税関で国内に入ってくるというふうに聞いておりますが、その量がどのぐらいだったのかということを教えていただけますか。それから、そこから熊本県で期間は短いながらも蓄養されてから熊本産として出荷されたものと、いや、そうじゃなくて、下関に入ったらすぐ、熊本と全く無関係のまま全国の小売店で熊本産として売られた、その両方があるだろう、むしろ直接行った方が多いんじゃないかという話もあるぐらいですが、この辺りは把握されていますか。
○渡邊(毅)政府参考人
お答えをいたします。アサリの輸入量でございます。我が国のアサリの輸入量は、財務省の貿易統計によりますと、令和二年は、生きているもの、生鮮のもの及び冷蔵したものですけれども、全体で三万五千三百七十トンでございます。このうち、下関税関支所を含みます門司税関で輸入されたものというものは、二万三千八百二十四トンということになっております。また、熊本の保税地域とか蓄養を経ずに直接熊本産として出荷される量については、我々としては把握をしていないというところでございます。
○重徳分科員
把握されていないということであります。これは、こういったところから調査をしていかなくちゃいけないんだろうと思います。その一方で、アサリというのは、そもそも日本の大切な食文化でありますね。みそ汁、酒蒸しはもちろん、深川飯というのもありますし、しぐれ煮もありますよね。和食に限らないですね。深川飯、柿沢さんの御地元のね。それから、ボンゴレスパゲッティ、洋食もありますよね。そういったこともございます。アサリが日本の食卓から消えてしまっては困るんです。ですから、確かに表示は大事だし、国産アサリが一番大事だと私は思いますが、しかし、外国産だからといって、これはおかしなものなんだとか、安全性が確保されていないんだとか、そういう少し行き過ぎた認識が広まってしまうと、これまた問題が出ると思うんですが、中国産、外国産の輸入アサリというものの安全性について御説明いただけますか。
○武井政府参考人
お答えいたします。輸入される食品については、食品衛生法に基づき、輸入者に対し、輸入の都度届け出ることが義務づけられており、違反リスクに応じた検査が行われているところです。御指摘の中国産アサリについては、輸入の都度、貝毒や残留農薬の検査を命じており、その検査の結果、食品衛生法に適合したものだけが輸入されております。
○重徳分科員
国産アサリが大事、産地偽装は許さないのはもちろんですが、必要以上の過度な外国産に対する危険視はこれまた避けなきゃいけないということですから、そういった検査はしっかりと行っていっていただきたいと思います。次に、蓄養について少しお話ししたいと思います。蓄養については、これは、蓄養の意義というものはまずあると思います。その意義とは何かというのを教えていただけますか。それから、あわせて、蓄養によって味わいがよくなる、コクが出る、こういうことも言われておりますし、先般、私も地元の業者の方に、一週間蓄養したアサリ、二週間蓄養したアサリというものを食べさせていただきまして、私は理屈は分かりませんが、確かに、何かうまみが増しているなという感じもいたしました。こうした蓄養によるアサリの品質向上、あるいは、こういったものをブランド化して地域のアサリとして出荷していくことについて、こういった企業努力、こうしたものへの評価をお答えください。
○渡邊(毅)政府参考人
お答えをいたします。まず、蓄養でございます。蓄養につきましては、漁業法の中にその行為が定められていないために、明確な定義はないところでございますけれども、一般に、出荷調整などを目的として水産動植物を短期間一定の場所に保存する行為というふうに言われております。このため、いわゆる蓄養では砂抜きとか鮮度保持といったような行為が行われていると承知しておりますけれども、それを超えて、例えば身を大きくするなどの品質向上に取り組むということは想定をしていないということでございまして、このような品質向上のために生育を一定期間管理するというようなことであると、これは漁業法上の区画漁業の免許を要する養殖に該当するのではないかと思っております。先生のおっしゃった風味がよくなるというのは、恐らく鮮度維持の範囲でとどまっているということなのではないかというふうに考えております。
○重徳分科員
ありがとうございます。政府の見解をいただきましたので、またいろいろと勉強していきたいと思います。さて、産地表示についてですが、今回の偽装は、当然、売買の伝票に産地がどう書かれていたかといったようなことが一つ、これから調査をするに当たっても、そしてもちろん、今後の適切な取引においても重要になってくるわけであります。今の現状を知りたいんですけれども、産地を証明する書類、伝票にどう書かれていても、特段、様式というものがないのか、そして、それは法令上、特段、やり方を指定されていないのか、その書類を保管する義務とか保管する期間とか、それから記載する責任といいましょうか、裏を返せば罰則のようなものがないのか。こういった、今の、産地を証明するための、流通上の、取引上の書類の現状というものについて教えていただけますか。
○村井政府参考人
お答えをいたします。食品表示基準におきましては、食品関連事業者等は、同基準に基づく表示を適正に行うために必要な限度において、その販売する食品及び当該食品関連事業者等に対して販売された食品の表示に関する情報が記載された書類を整備し、これを保存するように努めなければならないということにしております。その根拠書類の様式あるいは保管期間につきましては、具体的な規定はございませんが、表示の適正化の確保のため、事業者においては適切に書類の整備や保存に努めていただきたいと考えております。ただ、具体的にどういった書類が考えられるかということでございますけれども、仕入れた食品なり販売した食品につきましては、その名称、原材料名、原産地等が表示された送り状、納品書、規格書等が考えられるのではないかということ、小分け、製造した食品につきましては、製造仕様書なり製造指示書、原材料の使用記録、製造記録等が考えられるのではないかなというふうに考えております。保管期間につきましては、食品が製造されてから消費されるまでの間、表示に関する書類を保存していただく必要があるのではないかということで考えております。なお、罰則の関係でございますけれども、立入検査時に虚偽の報告若しくは虚偽の物件の提出を行った場合には、食品表示法に基づきまして罰則が科せられるということになっております。
○重徳分科員
今回は熊本を舞台として起こったことでありますので、三河湾の業界においては、これを機に余計な負担が増えるというのは、今までも真面目にやっているのに、そういったバランスもありますので、なかなか、規制の在り方というのは大きな議論が必要だと思います。また、熊本県知事が、先ほどの一面広告、全面広告ですけれども、長いところルールの運用の見直しも求めておられますけれども、これはどのように検討されていくんですか。
○若宮国務大臣
食品表示におきましては、これはやはり消費者の商品選択に当たって非常に重要な判断材料だというふうに思っております。産地を偽った商品が販売されるということは、消費者の信頼を揺るがす極めて深刻な問題として捉えてございます。生鮮食品の原産地、これは食品表示法及び同法に基づきます食品表示基準におきまして義務表示の対象となっており、原則として、農畜水産物が生産された場所を表示することとなってございます。ただし、畜産物や水産物については、その育成過程の中で複数の産地で育成されることがあり、その場合は、最も生育期間の長い場所を原産地として表示することとされてございます。現在、農水省におきましては、産地偽装に係る疑義解明の調査、このアサリでございますけれども、行われておりますので、このアサリに関しましては、しっかりとした形の実態調査、実態を把握するということが重要だと思っておりますが、いずれにいたしましても、消費者の信頼を回復して、まず、アサリがきちっとした形で御家庭の食卓に届けられるように尽力してまいりたい、このように思っているところでございます。
○重徳分科員
要すれば、まず調査ということですね。それは分かりました。消費者の選択の前提として正確な表示というのは不可欠だし、偽装というのは絶対悪いことであるというのは間違いないことです。ただ、大臣にお聞きしたいんですけれども、結局、消費者の皆さんが、国産がいいと思いますよね、我々も思います。だけれども、だから、無理して、偽装してまで国産だという表示をしてしまう、こういう誘因が生まれる。この悪循環をどう認識され、どう対応するのか。これが結構本質じゃないかと思うんですけれども、大臣の御見解をお願いします。
○若宮国務大臣
確かに、今、重徳先生がおっしゃるような傾向というのは現実であろうかというふうに、私自身も個人としては思っております。ただ、消費者全体として見てみますと、例えば外国製のもの、お肉でも何でもあろうかと思いますけれども、食品の価格ですとかあるいは品質ですとか、お肉の好みであれば、サシが入っている方が好きだという方もいらっしゃれば、赤身の方が好きだという方もいらっしゃるかと思います。あるいは産地、これについてもこだわりがある方もいらっしゃると思います。また、昨今、環境への配慮や特定の地域の応援など、様々な要素をして選ばれるかと思いますので、最終的に何を重視をしているかというのは、これは各々の、お一人お一人の消費者の方々の御判断に委ねられるべきではないかなというふうにも考えているところでもございます。いずれにいたしましても、食品の表示というのは、消費者の皆様方お一人お一人が選択をするに当たっての、まず最初にパッケージが見えたときの、入口の重要な判断材料でございますので、まさに、産地を偽った、あるいは中身と違うものが販売されるということがあってはならないというふうに思ってございます。こういった形のものにつきましては、しっかりとした形の法執行、またルールの在り方まで含めて、食品表示の司令塔として、私どもの方でもしっかりとした対応を考えていきたい、このように思っております。
○重徳分科員
ありがとうございます。私は、消費者が国産を求めるというのはいわば健全なことであり、また、地産地消とか、大きく言えば食料安全保障という意味でも、食料自給率という意味でも、やはり消費者の期待に応えるとともに、国益を守るという、こうした政策にもつながっていきますから、消費者が安易に外国産がいいやとかいうよりは、当然、国産を求めるというマインドがあるというのは極めて重要なことだと私は思います。それで偽装が生まれちゃいけないということは、やはりきちっとしたルール、そして取締りをしなきゃいけないということなんだと思っております。要するに、何が言いたいかというと、この問題の本質は、やはり国で国産のアサリが本当に取れなくなってきているということ。そして、その原因は一体何なのか。そして、それは複合的ないろいろな要因があると思うんですよ。省庁で言えば、各省庁ですよ。干潟がなくなってきている、ダムを建設したりいろいろなところを埋め立てたりという意味では国交省。それから、農業、同じ第一次産業ですけれども、農業が使っている農薬の問題があるかもしれない、そういう意味では農水省。さらに、愛知県もそうですけれども、非常に製造業が盛んなところですから、産業界との、基本的に産業界というのは環境を汚す側でありますので、製造業とか、そういった第二次産業の世界との折り合いという意味では経産省。そして、もちろん環境省。こういったいろいろな要因があると思うんですけれども、最後に、水産庁として、アサリが減った原因を他省庁に全く遠慮せずに言っていただきたいんですけれども、言ってください。他省庁に関わる課題がいろいろあるということを言っていただくとともに、もう一つ、冒頭申し上げました、三河湾ではここ数年間、下水処理場の、水を浄化する薬のさじ加減をして、窒素、リン酸、カリ、特にリンを増量するといった、増量した上で水を下水へ放流するといった取組をしてきているんですが、この成果というもの、地元では悲喜こもごもなんですよ、成果が見えたね、見えないね、諸説あります。場所によって、あの島の近くではたくさんアサリが取れるようになった、いろいろな話があるんです。これを全体としてどのように水産庁として評価されているか、水産庁じゃなくてもいいですよ、環境省でもいいけれども、お答えできる方にお答えいただきたいと思います。
○黒萩政府参考人
それではお答えいたします。アサリの減少原因は海域によって異なっております。以前は、埋立て等により漁場が喪失しました。近年では、乱獲であるとか、海底形質の変化であるとか、貧酸素であるとか、食害、病害などが指摘されております。それに加えまして、先ほど委員の方からもございました栄養塩不足による影響、これが指摘されております。伊勢湾、三河湾におきましては、愛知県の調査研究によりまして、栄養塩不足が、アサリ、それからノリの色落ちもそうなんですが、そういった漁獲量の減少の要因の一つであるということが指摘されております。実は、昨年十一月、水産庁は環境省と共催で、伊勢、三河湾をきれいで豊かな海にするための第一回勉強会を開催しまして、愛知県の漁業関係者にも御参加いただき、さらには、先月、水産庁の担当官が現地に赴き、漁業関係者との意見交換を行わせていただきました。水産庁としましては、愛知県との連携を密にしまして、現地の漁業関係者の御意見を踏まえて、海域の特性に応じた栄養塩管理の調査研究や管理の取組を推進、協力していきたいというふうに考えております。
○重徳分科員
国の協力を是非いただいて、いい海を守り、おいしい御飯を食べられるように、おいしいアサリを食べられるように、皆さんで力を合わせてまいりましょう。以上です。ありがとうございました。