2021年4月23日(金)午前、外務委員会にて質疑しました。
1. 日印ACSA
2. 日米首脳会談
3. その他外交案件
答弁者:茂木 敏充 外務大臣、中山泰秀 防衛副大臣
【議事速報】
○重徳委員
立憲民主党の重徳和彦です。
阿久津筆頭、また同僚の先輩の議員の皆さんの御理解をいただきまして質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。
今日は、日印ACSAをテーマにまず質問をさせていただきたいと思います。まず、本来、あした、日本とインドの2プラス2が行われる予定でしたけれども、インドの外務大臣、防衛大臣は来日が、コロナのせいで来られなくなってしまった。それから、ゴールデンウィーク中には菅総理インド訪問というのも中止になってしまったということなんですけれども、このACSAに関連して、2プラス2がもし行われておりましたら、あるいはこれから行われることになるでしょう、その場でどのような議論を、会談を行うおつもりなのか、お知らせください。
○茂木国務大臣
日印の2プラス2につきましては、第一回の会合、おととし、二〇一九年の十一月にデリーで開催いたしまして、私も参加をいたしましたが、その際に、二回目、次回の会合を東京で開催することで一致をしておりました。この第二回の会合日程につきましては、これまでもインド側と調整をしてきておりまして、こういう外交日程というのは様々な形でいろいろな状況を見ながら最終的に確定をさせるものでありまして、完全に固まったものを延期したということではなくて、調整中のものでありましたが、いずれにしても、新型コロナの状況を見ながら、早期の開催に向けて引き続きインド側と調整をしていきたいと思っております。先ほど来申し上げておりますが、日印の両国、これは普遍的な価値そして戦略的利益を共有するアジアの主要国、民主主義国でありまして、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、これまでも安全保障、防衛協力を含め幅広い協力を進めてきたところであります。次回、ちょっと時期については今後調整するということでありますが、次回の2プラス2では、厳しさを増しております安全保障環境、これを念頭に置いた地域、国際社会情勢のほか、日米豪印といった多国間の協力の推進、さらには日印ACSA、これを通じた安全保障、防衛協力の深化を含め率直な議論を行いたい、こんなふうに思っております。
○重徳委員
日印ACSAについては、一昨日、四月二十一日に成立しました自衛隊法改正、タイトルは防衛省設置法改正ですけれども、と相まって物品役務の提供における決済手続を定めるものであると。法理上、違憲部分を含む安保法制に規定する自衛隊の行動、例えば存立危機事態を想定した訓練を行う際にも物品役務の提供が可能となる仕組みであるということをもって、我が党としては、これまでのACSA同様、反対というスタンスなんです。しかし一方で、結論に至る党内議論では、現実の国際情勢を見ればインドとの関係強化が不可欠だ、ACSA締結の趣旨に賛成という意見も実際に多かったです。この観点から、二点質問をさせていただきます。一つ目は、この二年間の動向。なぜ二年間かというと、ACSA締結はインドで六か国目ということなんですけれども、二〇一九年は、フランス、カナダACSAを締結しました。そのときも野党各党は反対だったんですが、それ以降、この二年間だけ見ても、安全保障環境はすごいスピードで変化していると思っております。特に、中国の動向は世界中から警戒されている。ルールと法の支配を重視する国際社会として、中国に責任ある大国としての振る舞いを求める必要がある。そのためにも、インドを含む各国と協力関係強化の方向がこれまで進んできたというふうに認識をしております。そこで、日印ACSA締結の背景について、この二年間の具体的な国際的動向を踏まえて、詳しく説明を事務方の方からしていただきたいと思います。
○小林政府参考人
委員御指摘の二〇一九年の日仏、日加ACSAの発効以降も、東シナ海や南シナ海、北朝鮮情勢など、国際情勢は変化してきております。特に、力や威圧を背景とした一方的な現状変更の試みも継続また強化されておりまして、地域の安全保障環境は一層厳しいものとなっております。こうした中、我が国は、法の支配、自由、開放性といった原則や価値に根差した秩序を構築してこそ、将来にわたるインド太平洋の平和と繁栄が確保されるとの考えの下、普遍的価値と戦略的利益を共有するインドとの間で緊密な協力を強化してきてございます。これは二国間協力にとどまらず、共同訓練マラバールを含む日印米豪といった多国間の協力に広がってきております。我が国の安全保障を強固なものとし、自由で開かれたインド太平洋を実現していくためにも、日印ACSAを通じた安全保障、防衛協力を始め、インドとの関係を一層強化していくことの意義は大きいと考えてございます。
○重徳委員
もうちょっといろいろとネタがあるのかなと思ったんですけれども。多少物足りない感じもしますが。では、大臣にもう一点お聞きしたいと思います。我が国とインドとの二国間関係についてであります。特に安全保障関連でいうと、現状で、ACSA、そのほかにも様々な協定がありますが、防衛装備品・技術移転協定、あとはGSOMIAのような情報保護協定、この三つとも締結している国というのは、今のところ、イギリス、フランス、オーストラリア、アメリカはちょっと別格として、という国だと承知しております。そういう意味では、このACSA、防衛装備品・技術移転協定、それからGSOMIA、この三つがそろうのは、インドで四か国目、アメリカを入れると五か国目ということになります。そういう意味でも、そういうふうに見れば、その重要性というものが見て取れるんじゃないかなと思います。ただ一方で、先ほど青山委員からも質問がありましたけれども、インドは伝統的に非同盟ということで、等距離外交というふうに言われることがあるんですけれども、もちろん日本との関係も同盟国ではないわけですが、この二国間で今までどんな積み重ねがあって、これからこの二国間をどういうふうに、特に、今回はどうしても中国を念頭に置いたような、クアッドにしても、様々な国際的な連携が強化されているということですから、そういう観点から見ても、日印関係をどのように見ておられるかということについて、大臣の御答弁をお願いします。
○茂木国務大臣
インド、独立の経緯、そしてガンジーの時代以来、非同盟、こういったことで、様々な問題についても、インド独自の立場を取って物事を一つに決めない、こういったことで進めて、様々な外交を進めてきたのは事実でありますが、やはり二〇一〇年代になってかなり状況も変わってきていると思っておりまして、日本との関係では、今や、特別戦略的グローバルパートナーシップ、こういう関係に今インドはあるわけでありまして、さらに、自由で開かれたインド太平洋、日本が提唱した考え方でありますが、これを実現する上でも重要なパートナーだと考えております。そして、自衛隊とインド軍隊、これは各種の共同訓練を活発に今実施をしてきておりまして、二〇一九年十一月に開催した日印の2プラス2においても、今後、共同訓練を一層拡充していくことで一致をしておりまして、昨年十一月には、日米豪印による共同訓練マラバール、これも実施したところであります。さらに、日印両国は、寄港を含みます活発な防衛協力を実施しているほか、PKOの活動に共に参加をしたり、同じ国での災害救援活動に従事しているところであります。日本とインド、共通の価値観、こういうものを共有する中で、インドの元々持っていた外交的な方針はあるにしても、こういったクアッドであったりとか様々な多国間の枠組みの中でもインドとして役割を果たしていきたい、こういう立場を取っている、このように考えております。
○重徳委員
インドは、中国との間で軍事的に緊張関係にあると思うんですが、今回のACSA締結は、そうした中印関係も考慮に入れていると考えてよろしいですか。というか、どのようにインドは立っていると見ているか。
○茂木国務大臣
当然、いろいろな外交関係というのは幾つかの側面というのを持っているんだと思います。御指摘のインドと中国にしましても、世界第一位、第二位の人口を擁するアジアの大国でありまして、インドにとって中国は最大の貿易相手国であります。また、首脳レベルを含みます要人の往来に加えて、上海協力機構であったりとかBRICSを含みます様々な協力枠組みというのがあるわけであります。その一方で、両国はカシミール地方などにおいて国境問題を抱えているわけでありまして、私も、インドのジャイシャンカル外相と会うたびにこの話が出ます、どういう状況なのかと。また、インド側の主張であったりとかそういうのも聞くところでありまして、日本政府としては、インドそして中国の国境地域における両国軍の対峙や衝突というのが、当事者間の対話によって平和的に解決されていくことを期待いたしたいと思っております。この問題についてはそういうスタンスを日本として取っておりますが、一方で、大きな、自由で開かれたインド太平洋ということにつきましては、まさにインドと価値観であったりとか考え方、さらには具体的な協力も進めているところでありまして、そういった面におきましては、しっかりと今後も連携をしていきたいと思います。
○重徳委員
我が党の中でも当然様々な議論があるわけですが、今大臣のおっしゃったような考え方というのは共有できるという議員も多数、現にいます。今回のACSAについては、先ほどの理由から反対という、結論はそういう結論を取ることになっておりますけれども、アジア最大の民主主義国家でありますインドと緊密な二国間関係をつくっていこう、こういう強い認識を持った真剣な議論が我が党内でも精力的に行われたということをここで申し上げておきたいというふうに思います。さて、次のテーマで、日米首脳会談について質問させていただきます。隣の緑川委員が、この間、本会議場では、基本的な確認事項についてはかなり網羅的に質問をしていただいたわけですけれども、今日は少し絞って質問をしてみたいと思います。まず、資料を配付しておりますが、日米首脳共同声明「新たな時代における日米グローバル・パートナーシップ」という文書が四月十六日に発表されました。この中で、この紙でいうと下の方に、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す。」という文言が盛り込まれたことが非常に大きな話題になっております。もちろん、「中国との率直な対話」や「直接懸念を伝達していく意図」といったことも書かれております。日中間では平和条約が締結されておりますから、友好協力の約束というものもありますし、経済的にも、自動車産業など、中国との関係は非常に重要なものがあると思っております。安全保障というのは、基本的には外交努力の積み重ね、地域の安定の確立というものが本来の目的だというふうに考えております。しかし一方で、やはり、このように共同声明に台湾海峡という文言を半世紀ぶりに盛り込む判断に踏み切った以上は、特に中国との関係において、あらゆる想定をして備えをしておく必要があると考えます。これは武力攻撃、あるいはサイバー、最近はハイブリッドと言われますけれども、ハイブリッド戦を、やはりこれは危機管理、安全保障上は想定をしながら対話を促していくということも一方で進めるという姿勢が重要なのではないかと思います。現に政府も、南西諸島海域の警戒態勢を強化しております。先日、岸防衛大臣が与那国島の視察をされました。これはもう台湾、言うまでもなく台湾の最前線の島でありまして、陸上自衛隊の沿岸監視隊が配備されています。近くでは、宮古島とか石垣島とかいう配備体制を整えつつあるということであります。そこで、今日は中山防衛副大臣にお越しいただいております。まず、この与那国島の沿岸監視隊なんですけれども、台湾と与那国島の間というのは百十キロぐらいということですが、ここを航行する中国の艦船についてもしっかり警戒監視をしているということでよろしいでしょうか。それから、この沿岸監視隊が異常を覚知するようなことがあったら、これはあくまで陸上自衛隊に所属しておりますので、沿岸監視隊は、海上保安庁とか海上自衛隊とどのように連携して対処する方針になっているのか、お答えください。
○中山副大臣
重徳先生、ありがとうございます。
平成二十八年三月に開設されました陸上自衛隊与那国駐屯地は、全長が約千二百キロメートルに及ぶ広大な南西地域の防衛体制強化のために非常に重要な役割を果たしております。同駐屯地に所在する与那国沿岸監視隊は、我が国の領海、領空の境界に近い地域において、付近を航行、飛行する艦船や航空機を沿岸部から監視し、各種兆候を早期に察知することを任務といたしております。また、重徳先生から先ほど御指摘のあったとおり、今月、令和三年四月の十七日でございますけれども、岸防衛大臣が同駐屯地を視察し、士気高く任務に精励している隊員たちを激励を行っているということでございます。また、中国艦艇の動向などのことでございますけれども、防衛省・自衛隊としては、平素から中国の軍事行動について強い関心を持って情報収集に努めております。個々の具体的な動向について明らかにすることは我が方の情報収集能力を明らかにするおそれがあるため、直接的にお答えをすることは差し控えさせていただきたいと存じますが、その上で、一般論として申し上げれば、中国は最近、台湾周辺の海空域におきまして軍事活動を非常に活発化させております。例えば、これまでも空母遼寧などを含む中国軍艦艇が台湾周辺海域において訓練を実施しており、中国軍は、今後も演習を定期的に行っていく旨の方針を発表していると承知をいたしております。防衛省といたしましては、中国軍の動向につきまして引き続き注視するとともに、我が国周辺海空域における情報収集、警戒監視に万全を期してまいりたいというふうに思います。また、連携の部分に対する御指摘でございますけれども、繰り返しになる部分もありますが、お許しいただきたいと思いますが、防衛省・自衛隊は、我が国周辺海域を航行する船舶等の状況を毎日監視をするとともに、必要に応じて護衛艦、航空機等を柔軟に運用し、警戒監視、情報収集を実施しております。与那国のいわゆる沿岸監視隊は、他の部隊と連携をしながら、付近を航行、飛行する艦船、航空機、沿岸部から常時監視、各種兆候の早期察知に努めている。同監視隊が入手した情報は、関係する自衛隊の部隊に共有をするとともに、必要に応じて、海上における治安の維持に第一義的な対応の責任を有する海上保安庁にも提供をされております。いずれにしましても、防衛省・自衛隊として我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜く方針の下、海上保安庁等の関係機関と密接に連携しつつ、警戒監視、情報収集に万全を期してまいりたい、かように考えます。ありがとうございます。
○重徳委員
ありがとうございます。
尖閣防衛においても、海上保安庁と海上自衛隊との連携というのは強化すべきだということをよく言われますが、更に加えると陸上自衛隊の部隊もありますので、そこの連携もしっかり強化していく必要があるというふうに思っております。今のはいわゆる艦船、リアルな武力攻撃あるいは軍事行動についての話だったんですが、最近はサイバー攻撃、それも大規模なものが行われてきております。最近も、これは二〇一六年から一七年のことだということでありますが、日本国内の二百か所ぐらいの事業所で大規模なサイバー攻撃を受けたと報道されております。そして、これは中国人民解放軍が関与しているということも報道ベースでは言われているわけであります。サイバー攻撃は、もう既に行われてからも、そもそも主体がどうなのかも分からない、その意図も分からない、こういう状態が続きますので、その被害を受けた状況、情報をしっかり、これは場合によっては国境を超えて共有する必要もあるのではないかと考えます。そこで、今回は、台湾海峡を重視する、平和と安定の重要性が強調されたわけでありますが、仮に台湾と日本が同時に国境関係なく何かしらのサイバー攻撃が行われるなどと、仮にですよ、これは例え話ですけれども、そのように国境を越えて台湾と日本が何かしら同じような状況になっているぞというような状況になったときに、まさにその主体とか意図を特定するのは大変なわけなんですけれども、その際に、やはり台湾と日本との間で緊密な情報共有、連携というものが必要な場面もあり得るんじゃないか、こういう備えをしておかなきゃならないんじゃないかと思いますが、現状、このようなことが起きたとき、どのような連携体制が取られるのでしょうか。外務省、防衛省、双方からお答えください。
○遠藤政府参考人
お答え申し上げます。
安全保障上の問題という事柄の性質上、仮定の質問についてお答えすることは差し控えさせていただければと存じますけれども、いずれにせよ、政府といたしましては、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくとの従来の立場を踏まえつつ、適切に対応してまいりたいというふうに考えておるという次第でございます。
○野口政府参考人
お答え申し上げます。
サイバー攻撃等、攻撃主体や意図が不明な事態が日本と台湾で相次いで起こった場合といった、御指摘のような事態を前提とした仮定の質問にお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。その上で、我が国の台湾に対する基本的な立場は、一九七二年の日中共同声明のとおり、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくということで一貫しており、台湾との関係については、防衛省・自衛隊としまして、こうした立場に基づき適切に対応していく考えでございます。
○重徳委員
ちなみに、アメリカの場合には、台湾関係法という法律があって、様々台湾への関与も日本以上にしていると思うんですが、要するに、今は政府間のいわば公式な窓口というのはなく、非政府間の実務的なやり取り、窓口で対応するという答弁だったと思うんですが、アメリカの場合にはどのような体制になっているかということを把握しておりましたらお答えください。外務省かな。
○遠藤政府参考人
お答え申し上げます。
アメリカにおきましても、AIT、米国在台湾協会というものがございまして、そちらの方も通じつつ、台湾との間のやり取りを様々行ってきておるということと存じますけれども、同時に、委員御指摘のとおり、アメリカにつきましては、武器供与等も含めて、台湾との間でも様々、安全保障面を含めてのやり取りがあるものと認識しております。一方で、我が国当事者ということのやり取りではございませんので、詳細は控えさせていただければと思います。
○重徳委員
ちょっと茂木大臣に今の話を踏まえて聞いてみたいんですが、あくまで非政府間の実務関係ということでありますが、事、安全保障、防衛ということになると、やはり政府が大いに関わっていかなければならない場面が多いと思います。サイバー攻撃があるかどうか、それはあくまで仮の話でありますが、このような日米首脳共同声明を発表した以上は、あらゆることを想定して、台湾との間の関係も、何かしら、窓口だけの問題ではないんですが、情報共有の体制をしっかり整えていくべきではないかと思うんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○茂木国務大臣
まず、ちょっと日米から入りたいと思うんですけれども、今回の日米の首脳共同声明、それから共同記者会見の中でも、サイバー及び宇宙を含む全ての領域を横断する防衛協力を深化させること、また、両国間のサイバーセキュリティー及び情報保全強化並びに両国の技術的優位を守ることの重要性を強調した、こういう形になっております。それで、日本に対しますサイバーアタックがある、サイバーセキュリティー上深刻な問題が出てきた、こういった場合は、まずはそのアタックを防ぐ。そして、そういった問題が再発しないように、どう体制を取っていくかとか、どう更に防御能力を高めていくかということは考えなきゃなりません。それは、例えば米国との関係においてできること、ほかの国とか地域との関係においてできること、できる範囲において最大限のことをすることによって我が国のサイバーセキュリティー対策を万全のものにしていきたい。当然、こういった事柄の問題でありますから、この国との間とか、この地域との間はこんなことができます、こんなことはできませんということは控えさせていただきたいと思います。
○重徳委員
では、次の質問に入ります。
この共同声明のペーパーでいうと上の方にあります、「自らの防衛力を強化する」、この言葉も大変注目されているわけでありますけれども、この自らの防衛力を強化するというのはどういう意味かということは、それこそ、緑川委員からも本会議でもお尋ねし、それは中山副大臣からの御答弁があったので、今日は御答弁は不要といたしますけれども。私は、今の防衛大綱の多元的統合防衛力に基づいて抜本的な体制強化をしていくというのは、これはもう既に規定の防衛大綱をなぞっただけの答弁だと思いますので、今回新たに、自らの防衛力を強化すると言った以上は、ここに対応した具体的な何らかの措置、あるいは今のところ腹づもりと言ってもいいかもしれませんが、何かしらあってしかるべきなのではないかと。それは全てつまびらかにできないことかもしれませんが、ちょっと茂木大臣にお尋ねしたいと思うんです。というのも、先般、安全保障委員会における大臣の所信への質問でも、私、アメリカのバイデン政権の暫定指針において、シェアレスポンシビリティーという言葉についてどう解釈されているかという質問をさせていただきました。そのときには、大臣は、日米がいかなる役割と任務を分担していくかということをまず考えていくんだという若干抽象的なお答えでしたが、今回の自らの防衛力を強化するという言葉は、先般の日米の2プラス2のときの言葉よりも少し、一歩踏み込んだように受け止められます。英語の文書を読んでも、エンハンスという言葉がなくなって、ボルスター・イッツ・オウン・ナショナル・ディフェンス・ケーパビリティーズというふうに、割とストレートな言い方になっているんじゃないかな、そういう意味なんじゃないかなというふうに受け止めておりますが、茂木大臣にこの意味を少しひもといていただけないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○あべ委員長
申合せの時間が経過しておりますので、御協力いただきます。
○茂木国務大臣
今の英語のニュアンスを聞いたら、ほとんど変わらないなと、私の語学の理解力ではそのように感じましたが、いずれにしても、今の日米同盟というのは、アメリカから何かを要求されて日本がそれに応えるというよりも、日本は日本として主体的にどういうことをやっていくか、それによってどう日米同盟を強化していくか、こういう関係になっている、このように理解をいたしております。
○重徳委員
時間が来たので、ここまでといたします。以上です。ありがとうございました。