2021年4月6日(火)、安全保障委員会にて質疑に立ちました。 | 『現場に飛び込み、声なき声を聴く!』 しげとく和彦のブログ

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S45年生れ。衆議院議員候補(愛知12区岡崎・西尾)。元総務省職員。H16年新潟県中越地震で崖崩れ現場からの2歳男児救出に従事。22年愛知県知事選(次点)。H24年に初当選。H26年、H29年無所属で3選。

2021年4月6(火)午前、安全保障委員会にて国の安全保障に関する件(大臣所信)について質疑しました。

・安全保障部会長としての所信

 

(1)  中国

(2)  北朝鮮ミサイル

(3)  国会の場における防衛戦略及び予算配分の議論

(4)  政権交代の意義

 

答弁者:茂木 敏充 外務大臣、岸 信夫 防衛大臣

重徳委員 

  立憲民主党の安全保障部会長として、安全保障政策に関する所信を申し上げます。

  原稿は、各委員の席上に配付させていただいております。
  私は、我が国を取り巻く現下の安全保障環境の急速な変化と米中二大国時代を見据え、日本国内の政治情勢にかかわらず、我が国が国際社会で揺るぎない立場を堅持することが不可欠と考え、二大政党政治における安定した政権移管と、先進国としての外交、安全保障の在り方に関する大局的な論戦を期すとともに、我が国の防衛政策への文民統制、民主的コントロールを強化することを目的として、この所信を発表するに至った次第です。我が党は、専守防衛に徹するとともに、国民、領土、主権を守るため、我が国自身の防衛体制を整備するとともに、健全な日米同盟を外交、安全保障の基軸として、多国間協力を推進し、平和で安全なアジア太平洋を実現します。特に、日米関係を重視する米バイデン政権との協調により、抑止力、対処力を今まで以上に強化してまいります。現代の国際社会は、自由と平和、民主主義と人権を尊び、国際秩序の安定のために定めたルールを重視し、法の支配などの基本理念を基調とするものであるべきです。我が党は、厳しい安全保障環境において、こうした基本的価値を共有する世界中の国々と連帯する戦略的国際協調主義を進め、国民の生命財産及び我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜いてまいります。特に、南西諸島海域等における力による現状変更の試みには、毅然として対処するとともに、日米豪印に加え、欧州やASEANとの協力関係を強めるために我が国が主体的な役割を果たしつつ、真に実効性ある防衛力強化を実現します。歴史上も国際法上も明確に我が国固有の領土である沖縄県石垣市の尖閣諸島周辺において中国公船が領海侵入や漁船追尾を繰り返していることは、明確な国際法違反です。特に、本年二月に施行された中国海警法は、定義の不明確な管轄海域において、公船を含む他国船舶への武器使用を認めるものであり、国際法を逸脱するものです。我が党は、いわゆるグレーゾーン事態において、力の空白を生じさせず、切れ目のない対応を取るため、海上保安庁の能力向上を進め、米国沿岸警備隊との合同訓練等を実施するとともに、過去に野党が提出した領域警備法案を参考に、海上自衛隊との連携強化のための新たな法整備を検討するなど、適切に対応する体制を整備します。また、中国との間で偶発的衝突を避けるため、海空連絡メカニズムを機能させるとともに、日米安保条約に基づく米国との連携をより強固なものとし、友好国との実践的な共同訓練など、協力体制を強化していきます。そもそも、中国との関係は、人の往来、経済、文化の交流が盛んであり、両国が政治外交面でも一衣帯水の良好な隣国関係となることを望みます。しかしながら、中国の不透明かつ急速な軍事力の増強や各海域における活動は、周辺国の安全保障に重大な懸念をもたらしており、我が国は国際社会と協調して対処していきます。香港や新疆ウイグル、チベットなどの問題を抱える中国には、ルールと法の支配を重視する国際社会において、今後、責任ある大国としての振る舞いが求められます。我が国は、気候変動や災害対策等の分野においても中国との連携を強化するなど、非伝統的安全保障政策も推進すべきです。北朝鮮では、今年一月の朝鮮労働党大会で金正恩委員長が、核先制攻撃能力の高度化や戦術核兵器に言及しました。同国は、我が国を射程に収める弾道ミサイルを数百発保有し、関連する技術や運用能力の向上を図っているとされています。三月二十五日に約一年ぶりに弾道ミサイル発射が行われたことは、我が国と地域の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できません。我が党は、引き続き、米国など国際社会と連携して、朝鮮半島の完全かつ検証可能で不可逆的な非核化を目指します。中国では、急速に科学技術水準が向上し、例えば、AI兵器、次世代戦略兵器、自律型ドローン等の開発、また5G等の通信技術の進歩といった状況の中、軍民融合を掲げ、経済的、技術的な覇権の追求と、国家安全法制のような体制整備を進めています。こうした背景の下、米国が中国との経済的取引等において格段に厳しい措置を取り始めています。我が党は、こうした経済、技術の進歩が安全保障面に与える影響や米国の動向を十分に考慮するとともに、武力行使を中心とした従来の戦力や戦術が変化しつつあることに的確に対応するため、国内産業界と連携し、我が国の技術の優位性の確保と、企業に対する経営規範を指し示すルール形成戦略の強化により、経済安全保障の確立に取り組みます。また、国際的な取組の進む気候変動問題が化石燃料依存にもたらす変化や、資源国との関係やシーレーンへの影響、環境技術の格差、先進国と途上国との利害衝突などによる国際秩序への影響を見極め、総合的な外交、安全保障政策に取り組みます。防衛施設などの重要施設周辺の土地や対馬などの国境離島、日本各地の農地や山林、水源地などが外国資本に買収される状況がかねてより指摘され、我が国の安全保障上の懸念が広がっています。今国会提出の重要土地等調査法案に規定される調査、規制の対象や内容が我が国の安全保障にとって実効性あるものかどうか、十分に審査してまいります。我が国の防衛産業は、多くの課題を抱えています。防衛装備品を米国FMS等の海外調達に過度
に依存すれば、防衛予算の国内配分が減り、各企業の利益や研究開発費が減少し、単価上昇や防衛分野からの撤退を招きます。バランスの取れた調達戦略が必要です。デュアルユースや新領域における優位性確保、装備品の無人化、小型化に対応し得る国内の技術、産業基盤の強化のため、防衛装備庁を中心に、FMS調達の合理化を進めるとともに、研究開発体制を充実させ、技術者を育成し、防衛産業を再編強化する必要があります。防衛装備品の海外移転については、民主党政権以降、我が国の安全保障の強化のための共同開発、国際協力の観点から実施する方針が明確化されましたが、今後は、デュアルユース技術を含む重要技術の流出防止に取り組みつつ、世界の最新の状況に適切に対応したスペックの装備品の開発、生産を国内の産業技術基盤を整備しつつ行う必要があります。また、当委員会を中心とした国会の場で防衛装備品への予算配分の議論を深化させるべきです。例えば、昨年十月に発表された米国海軍のバトルフォース二〇四五構想など、他国の将来的な動向を注視しつつ、我が国の強みである潜水艦の増強や、多様な任務をこなし、コンパクト化、省人化したFFM導入、艦艇の無人化などについて、中期防と関連づけ、戦略的な議論を掘り下げるべきです。二〇一〇年防衛大綱において、冷戦期以来の基盤的防衛力を動的防衛力に転換し、島嶼防衛などを念頭に、情報収集や警戒監視の能力を高め、限られた防衛力を機動展開して、統合的な部隊運用を行う考え方が取られ始めました。二〇一三年大綱では、更に多様な活動にシームレスに対応する統合運用の考え方をより徹底した統合機動防衛力が打ち出され、二〇一八年大綱の多次元統合防衛力では、陸海空という従来領域のみならず、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域分野における対処能力を高め、これらを組み合わせた領域横断作戦が掲げられました。こうした流れを踏まえ、特に新たな領域分野においては、軍事と非軍事の境界を意図的に曖昧にしたハイブリッド戦を含む多様な手段への複雑な対応が求められることから、我が党は、新たな各領域における秩序と安定に資する基本方針を策定すべきと考えます。宇宙については、早期警戒、通信、測位、偵察機能を持つ各種衛星を各国が増強する中、他国の衛星を無力化するキラー衛星や増加するスペースデブリに対処するため、国際的な宇宙空間の安定的利用ルールを確立し、新たな衛星の打ち上げ等による我が国の宇宙利用の優位性や極超音速兵器等の監視機能を確保する必要があります。サイバー領域では、防衛組織や政府機関のみならず、民間事業者の情報流出を狙ったサイバー攻撃が日常的に行われ、その攻撃主体も意図も判別困難なケースが多く、従来の専守防衛や武力攻撃の概念との整合が求められます。ハイブリッド戦を含むサイバー攻撃への対処に当たっては、内閣サイバーセキュリティセンター、NISCと緊密に連携する必要があります。電磁波は、指揮通信、警戒監視、情報収集、ミサイルの精密誘導等に利用され、近年では電磁波の利用への妨害手段などが増える中、電磁波領域における優越を確保するため、各種システム開発、導入を進める必要があります。ドローンについては、偵察、情報収集用のみ導入されており、諸外国より遅れているのが実情です。ドローンは、自衛隊員の定員減問題を緩和できるとともに、小型で安価なため、収容、整備、運用に要する施設も小さく、攻撃を受けた際の被害も極小化できます。今後、配備、運用に関する計画を早急に策定すべきです。3Dプリンターによる小型装備品の製造や部品補給が現実化するなど、軍事科学技術が革命的に進歩する中、最先端の戦略への我が国の対応について、国会と政府における十分な議論が必要と考えます。イージス・アショアは、平成二十九年の日米首脳会談後、突如導入を決定された後、ずさんな分析や説明が露呈し、配備予定地との信頼醸成にも失敗した末、ブースター落下制御問題を理由に配備の撤回に追い込まれたものであり、政府の大失態です。代替策として検討が進められているイージスシステム搭載艦は、費用膨張や技術的な有効性が強く危惧されています。米企業と契約済みのSPY7レーダーの不透明な選定過程についても説明責任が求められます。また、搭載艦では、イージス・アショア導入の理由としてきた二十四時間三百六十五日の常時監視、防護の役割を果たせず、海上自衛隊の負担軽減どころか、更なる乗組員の確保さえ必要となり、負担を増すものであって、イージス・アショアの代替策とは到底なり得ません。南西諸島等の防衛体制への影響も懸念され、政府が我が国の安全保障をどこまで真剣に考えているのか疑問です。我が党は、巨額の国費を伴うイージス・アショア政策の迷走が、もはや取り返しのつかない段階に入りつつあることを強く危惧しており、政府の責任を厳しく追及し、国民の税金の使途を監視する国会の役割を果たしてまいります。日米同盟は、専守防衛を国是とする我が国の防衛力を補完し、米国による拡大抑止によって、東アジアにおける我が国の抑止力を確保するものであり、まさに我が国の安全保障の基軸です。日米安全保障条約や日米地位協定などに基づく我が国の役割や負担の在り方については、米国との間で、抑止力を維持しつつ、検証と見直しの議論が必要と考えます。在日米軍駐留経費負担協定については、現行の特別協定を来年三月まで一年間延長する議案が承認されたところです。次の数年間の協定延長を議論するに当たっては、他の同盟国との負担割合の比較、米政権の交渉姿勢などの情報を明らかにした上で、他の防衛予算との兼ね合い、最大の負担項目である労務費による現場の日本人従業員の処遇を検証することが、日米同盟をより強固にする観点からも重要です。在日米軍専用施設面積の七割が集中する沖縄の過重な負担を軽減し、各地の基地周辺地域、住民の安心、安全を守るため、米国と真摯に交渉を行い、日米地位協定の改定を進めます。また、他国における地位協定の在り方や実情を参考に、補足協定の締結など住民保護を強化するためのあらゆる方策を検討します。沖縄の民意を尊重し、軟弱地盤などの課題が明らかになった辺野古移設工事は中止します。その上で、沖縄の基地の在り方を見直し、米国に再交渉を求めます。世界一危険な基地とされる宜野湾市の普天間飛行場の確実な返還を目指し、民主党政権時の教訓を踏まえ、注意深く進めてまいります。最後に、我が党は、国家防衛の根幹を担うのは約二十五万人の自衛隊員であり、その処遇や基礎的な任務環境を改善するとともに、高額な装備品調達により、既に保有する装備品の維持整備費にしわ寄せが来る、いわゆる共食い整備により運用に影響が生じる問題などを解決するため、これまで以上に十分な予算配分や制度改善を行うべきと考えます。以上、安全保障政策に関する所信を申し述べました。ありがとうございます。それでは、引き続き、委員長、よろしいでしょうか。
○若宮委員長 どうぞ。
重徳委員 

  三月五日の防衛大臣、外務大臣の所信への質疑を、今申し述べました私の所信を踏まえて、行いたいと思います。まず初めに、日米二大国時代ということを申し上げましたけれども、そういう新しい時代において、日本の立ち位置をしっかりしなきゃいけないというふうに思っております。ブリンケン国務長官とオースティン国防長官、このお二人のアメリカの高官との両大臣の2プラス2会議が、三月十六日に、世界に先駆けて行われました。その後、アメリカの両高官は、韓国、中国と2プラス2を続けたわけなんですけれども、真っ先に日本との2プラス2を設定したというのは、対日重視の表れだということで素直に喜ぶ向きもありますけれども、日本を重視するから会談を急ぐ、それにはやはり理由があって、やはり、世界で見て、台湾海峡とか日本周辺というのが一番危ないんだ、こういうふうに見られている、こういうことでもあると思います。現に、今月に入って、中国の空母遼寧が、沖縄本島と宮古島の間を通過して太平洋に出た。そして、今朝もニュースでやっていましたけれども、台湾周辺の海域で訓練を行ったということも報じられております。そういう中で、三月三日にバイデン大統領が国家安全保障戦略の暫定指針を発表しました。アメリカから見た中国については、デモクラシー対オートクラシーということで、これは民主主義対専制主義ということで、非常に強い対抗意識をあらわにしております。一方で、日本を始めとする同盟国に対しましては、これまでのバードンシェアリング、負担を分かち合うという感覚から、シェア・レスポンシビリティー・エクイタブリー、公平に責任を分担するんだ、こういう表現も用いられています。こうなりますと、これまで主に経費負担を中心に、まあ中心ということもないですけれども、経費負担が常に問題になりながら日米関係というのは続いてきたと思いますけれども、両大臣にお聞きしたいんですが、まず茂木外務大臣には、経費負担、いわゆる日米地位協定二十四条に基づくもの、特別協定に基づくものによる経費負担の在り方も含めて、今後のレスポンシビリティーシェアリングというものについてどうお考えか。また続いて、岸防衛大臣には、今後の負担の在り方、負担というか責任の分担の仕方に伴って、我が国の防衛大綱、中期防といったものも見直すことも視野に含めた、何かしら今後の検討に入っておられるかどうか、この辺りをお聞かせください。
○茂木国務大臣 

  重徳委員の方から、外交、安全保障に関する、まさに委員おっしゃった所信表明、大体、私の所信表明の倍のボリュームがあったかと思うんですが、興味深く伺ったところであります。まず、バイデン新政権の外交政策の特徴でありますけれども、恐らく、トランプ前政権と比べた場合に、強固な日米同盟、これに対するコミットメントというのは全く変わっておりません。ただ、スタイルとすると、トランプ大統領が、一対一、米中とが、こういった中での交渉、こういったものを選好したのに対して、バイデン新政権は、同盟国、同志国、この結束の下で、共通の価値観の下で様々な問題に対処をしていく、対峙をしていく、こういう姿勢を取っている。同時に、一つ一つ物事を積み上げながらゴールに向けて進めていく。北朝鮮についても、トランプ大統領のときは、ワンショットで金正恩委員長と会う、こういう形でしたけれども、今回の一連のブリンケン国務長官そしてオースティン国防長官の外遊を見ましても、まずは、日本との間で、同盟関係であったりとか、自由で開かれたインド太平洋の問題、また中国を含む地域情勢について認識をしっかりと確認をして、また韓国に渡り、その後アラスカで、これは2プラス2とは呼ばないと思うんですけれども、少なくとも二人と二人で議論をした、こういう形だと思っておりますが。先日の日米の2プラス2におきましても、厳しい安全保障環境を踏まえて、役割、任務、能力に関する協議を通じて、日米同盟の抑止力、対処力の強化に向けた連携を一層深めていくことで一致をいたしました。また、日本側から、国防及び同盟の更なる強化に向けて、自らの能力を向上させる決意を表明し、米側からは、拡大抑止へのコミットメントの再確認というのがあったところであります。バードンシェアリングからシェアレスポンシビリティーに急に変わったかというと、そういう必ずしも認識ではありませんが、ホスト・ネーション・サポートについて申し上げますと、私は、日米の負担割合、これを論じる前に、まずは我が国の平和と安全を確保する上で、日米がいかなる役割とか任務を分担していく、役割とか任務ですね、これを分担していくか、また、その下で我が国の負担規模というものが適切か否かと考えることが大事だと思っております。その上で、我が国のホスト・ネーション・サポートの負担規模については、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるホスト・ネーション・サポートというものが引き続き重要である点を踏まえた上で、我が国の厳しい財政状況や我が国を取り巻く安全保障環境、間違いなく厳しさを増しているわけでありまして、そういった各種要素を総合的に考慮して、主体的に判断してまいります。そして、二〇二二年、来年の四月一日以降の新たな複数年度の特別協定については、まさに今後の交渉次第でありまして、その内容であったりとか進め方、これは今後の交渉に影響するものでありますから控えたいと思いますが、いずれにしても、交渉に当たって、今申し上げたような一層厳しさを増す地域の安全保障環境、そして我が国の厳しい財政状況等を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。
○岸国務大臣 

  まず、重徳委員の立憲民主党安全保障部会長としてのお考えを大変関心を持って拝聴させていただきました。様々な論点について、考えを同じくするものも多々あったかと思います。今後、我が国の平和と安全をしっかり守っていくために、また貴重な御意見を賜ることができれば、このように考えております。お尋ねの点でございますが、政府として、現行の大綱、中期防の下で、日米同盟の一層の強化に当たっては、我が国が自らの防衛力を主体的、自主的に強化していくことが何よりも不可欠である、こういう前提と考えております。その上で、日米2プラス2の共同発表においても、「日本は国家の防衛を強固なものとし、日米同盟を更に強化するために能力を向上させることを決意した。」としています。今回の2プラス2において、日米の共同訓練の実施、宇宙・サイバー領域を含む全ての領域における協力の深化、拡大抑止の強化などの様々な議論がなされております。かかる分野を含む能力の向上を通じて、引き続き、自らが果たし得る役割の拡大を図るとともに、日米同盟の一層の強化に取り組んでまいりたいと考えます。大綱、中期防の見直しについては予断を持ってお話しすることは差し控えたいと思いますけれども、日米同盟の抑止力、対処力の強化に向けて、引き続き米国と緊密に連携をしてまいりたいと考えます。
重徳委員 

  ありがとうございます。茂木大臣からは、役割と任務というのをまずしっかりと定めた上での経費負担の考え方だというような趣旨の話もございました。岸大臣からは、日米間で能力向上の決意、そして、共に共同訓練をやったりして協力をしていくということであろうというふうに受け止めさせていただきました。そういう中で、やはり今、中国に対する意識というものが非常に、我が国ももちろんそうですが、アメリカが非常に強く打ち出しているというふうに見ているわけなんですが、そういうふうに私もいろいろな資料を見ていたところ、最近、気になる新聞記事がございました。今日、配付させていただいておりますが、これは日経新聞の電子版では三月十五日となっております、コメンテーターの秋田浩之氏の論説の中で引用されたデータであります。「対中国、崩れた米軍優位 日米2+2立て直しが急務」という表題の論説でございます。この配付させていただいた数字は、秋田さんが引用している、作った資料だということと思いますけれども、アジア前方展開の主な海空の戦力においてはもう中国軍が圧倒しているという数字なんですね。現在においても、例えば主力戦闘機は、アメリカ二百五十機に対して中国が千二百五十機となっております。これから四年後の二〇二五年には千九百五十機にまで増えるんだ、こういう見通しが示されています。それから、空母については、米軍は一隻でありますが、中国は現在二隻ですね、先ほど紹介しました遼寧を含めて二隻、これが四年後には三隻に増える。それから、主力戦闘艦艇も米軍は十二隻ですが、中国は六十隻、更に百八隻に増える。潜水艦もアメリカは十隻ですが、中国軍は五十六隻、これから六十四隻になるということで、この数字を見ると、もう本当に圧倒的な差があるように見えます。そこで、ちょっと通告順が変わるかもしれませんが、岸大臣にお尋ねしたいと思います。いわゆる通常戦力においてアメリカよりも中国が優位にあるというような認識については、防衛大臣としてどのように捉えておられますか。

○岸国務大臣 

  軍事力の水準につきましては、様々な要素を勘案する必要がございますので、一概に数だけをもって比較をすることはできないと思いますが、その上で、中国は今世紀中葉までに世界一流の軍隊の建設をかち取る、こういう目標を掲げております。継続的に高い水準で国防費を増やしておりますし、軍事力の質、量を広範かつ急速に強化しています。こうした中国の軍事力に関して、米国の国防省では、昨年九月に公表した年次報告書において、艦船数、地上発射型弾道巡航ミサイルの数など一部の分野において米国を既に上回っている、こういう指摘がございます。一方で、米国は、本年三月に公表した国家安全保障の暫定的戦略指針において、中国を国際システムに対して持続的に挑戦する潜在的能力を持つ唯一の競争相手として位置づけて、軍事力の近代化、同盟関係等の再活性化を含む方策によって米国の優位性を再構築する、このようにしております。いずれにしましても、米中の両国の軍事動向については、防衛省としても引き続き重大な関心を持って注視してまいりたいと思います。
重徳委員 

  今、恐らく岸大臣は全世界における見立てについて御答弁されたと思うんですけれども、特にこの記事そのものがそうなんですが、アジアの前方展開の主な戦略というような観点で見たときに特に如実にその差が表れているという指摘なんですが、アジアにおける通常戦力についてはどのように捉えておられますか。
○岸国務大臣 

  アジアにおいて、中国と米国との対立ということでございますが、米国と中国が安定的な関係を構築していくということが何よりも国際社会の平和と安定の観点から極めて重要である、このように考えております。防衛省としては、同盟国である米国との強固な信頼関係の下で様々な協力を進めながら、中国には冷静かつ毅然と対応し、意思疎通を図ってまいりたいというふうに思います。いずれにしても、中国の近年の軍事力の急速な伸びということに関しては、様々なバランスに変化を生じている、こうしたことに関して高い関心を持って注視してまいりたいと考えています。
重徳委員 

  アジア地域における通常戦力の配備状況についてはお答えできないということですか。
○岸国務大臣 

  一つ一つについてお答えすることは差し控えたいと思います。先ほど申しましたけれども、米国も、一つ一つの装備について、中国が既に上回っているものもあるということでございます。その上で、同盟の強化等を通じて安定を確保してまいりたい、このように考えております。
重徳委員 

  兵力というのは数だけじゃないということも大臣はおっしゃいましたけれども、しかし、やはりそれはベースとなるものだと思いますので、少しこの点については今後私の方でもいろいろと調べてみたいと思いますので、もう少しいろいろなデータに基づいて議論させていただきたいと思います。非常に重要なところだと思いますので、お願いいたします。それから、ちょっと関連したような話なんですが、茂木外務大臣に質問というか提案をしたいんですが、中国に対しまして、私、先ほど戦略的国際協調主義ということを申し上げましたが、やはり、日米同盟だけじゃなくて、様々な国々との連携、協調というものが必要だと思います。台湾以前に、今、中国側から見れば国内問題だと言うのかもしれませんが、香港の問題があるわけです。この点については、特にイギリスは、一九九七年に香港を中国に返還したという経緯がありますし、そのときに、今後五十年間は高度な香港の自治というものを約束したはずだということで、大変関心と懸念をイギリス自身が持っているだろうと思われます。三月十六日に、イギリスが、今後のEU離脱後の安全保障などについての考え方を示した指針として統合レビューというものを発表していまして、そこに、かなり、中国の軍事力増強とか強硬な対外姿勢というものが英国にとってもリスクであるという指摘をしているところであります。今後、空母を東アジアに派遣するというような方針も示されております。そこで、今度の六月にイギリスでG7が行われます。イギリスとしては、G7に加えて、民主主義国家であります韓国、オーストラリア、インドも加えてD10という、デモクラティック10でしょうか、の枠組みを強化したい、こういう思いもあるようですが、是非、議長国イギリスに対して、我が国にとっても非常に大きな問題であります中国をめぐる安全保障政策、これを議題とすべきだというふうに提案をしてはいかがかと思うんですが、どうでしょうか。
○茂木国務大臣 

  まず、G7まで二か月以上あるわけでありまして、これは毎年のG7でもそうですが、この段階で、恐らくこういったテーマを扱うであろうというのは決まっていても、完全にフィックスしてこういう形でやるという段階には至っていないと思っておりまして、今年のG7で扱う議題についても、現在、議長国である英国が調整中でありますが、その上で申し上げますと、二月十九日のG7の首脳テレビ会議で菅総理から、中国との関係について主張すべきは主張し、中国側の具体的行動を求めていくとの日本の基本的な考え方を説明するとともに、東シナ海及び南シナ海での一方的な現状変更の試みについての我が国の懸念についてもしっかりその場で伝えたところであります。また、英国の三月十六日の話をされましたが、その前、三月十三日に、G7の外相間でも香港情勢に関するG7の外相声明発出をいたしまして、中国当局が香港における選挙制度の民主的要素を根本的に損なう決定を行ったことについて、結束して重大な懸念、これを表明したところであります。民主主義、そして基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値、これを共有するG7の六月のサミットでは、地域情勢であったりとかコロナ対策、気候変動など国際社会の重要課題について、こうした、今申し上げたようなやり取りも踏まえた議論が首脳間で行われることになると考えておりまして、我が国としても、同サミットに向けて積極的に貢献していきたいと考えております。なお、D10というお話がありましたが、基本的に、G7のどの国も、G7の枠組み自体、これを今変更するという意図は全くありません。ただ、それぞれの議長国の裁量によりまして、いわゆるアウトリーチという形で様々なテーマについて招待国、これを呼ぶことはできますので、恐らくことしのG7におきましても、テーマによって幾つかの国を招待する、こういったことは十分あり得るのではないかな、そんなふうに思っております。そして、先ほど重徳委員の方から、中国軍と米軍のアジア前方展開の主な戦力、この表をいただきましたけれども、優れた分析者、これは数字を見て分析はしません。自分で仮説を立てて、それに合った数字を探して分析を裏づける、これが一般的なんじゃないかなと思っております。もちろん、米中の間でも、エスカレーション、これを起こさずに、軍事的な衝突、これを避けるための外交努力、これを行っていくということが基本でありまして、そういった中で解決策を見出したいと思っておりますが、仮に何らかの形で衝突が起きた場合も、どの地域でどれだけの規模の衝突が起きるか、またその衝突の性格がどういうものか、これによって軍事力の相対的な力というのは決まってまいりますので、この一つの表だけでどちらが上だと判断することは極めて困難だ、そのように思っております。
重徳委員 

  G7の件、そして今の通常戦力の件、大臣の御見解は分かりました。更にこれは深めていきたいというふうに思っているんです。残り十分切りました。私、今ほど申し上げました所信の中で提案したのが、この安全保障委員会を中心とした国会の場でもっと我が国の防衛装備品の予算配分の議論を深めていくべきだ、内容的にも深めていくべきだということを申し上げております。岸大臣に質問なんですけれども、中期防を見ますと、別表があるんですけれども、これはこの間柿沢委員も質問されていました、別表を見ると、例えば、護衛艦に関して言うと、護衛艦十隻と書いてあるだけなんですね。どういう船なのかも、そして今後どうしていくのかということも何も書いてないわけであります。それで、実際には、これから、先ほどちょっと申し上げましたが、米海軍のバトルフォース二〇四五、これもやはり中国のA2ADを意識して無人艦艇を導入したり、小型化したり、軽空母を導入したり、全体的には戦力を分散させていくんだ、こういう方針が出ている。じゃ、日本はどうするのかということ。そういう戦略があって、その上で、今、茂木大臣も言われましたけれども、そういう戦略があった上で、じゃ、どういう船を何隻整備するのかという方針が出てくると思うんですね。中期防は、本当に、別表に関して言えば非常にさらっと書いてあるだけであります。もっと具体的なポートフォリオを作って、これは提案なんですが、これを国会に提出をして、そこで、非常に大きな予算が絡む話でもありますので、国会に説明いただき、それを審議する、こういうことをやってはいかがかと思うんですけれども、大臣はどのように思われますか。
○岸国務大臣

  大綱、中期防においてどこまで詳細に我が国の保有すべき防衛力の水準や装備品の整備数量について規定するかについては、装備品の果たす役割や安全保障環境、透明性の確保の観点を総合的に勘案して判断をしているところでございます。自衛隊の防衛力整備は、大綱、中期防の整備計画に基づいて、毎年、毎年度の予算要求及び必要となる法律の改正に係る国会での審議や決議を通して実施をしていることから、国会の民主的な統制を確保した形で行われています。いずれにしましても、国会に対して、我々として説明責任を果たしてまいりたいと考えます。
重徳委員 

  いずれにしてもでくくられると何もお答えにならないので、ちょっとこちらからも提案してみたいと思いますけれども、今後ですね。それから、ちょっともう一、二点伺いたいと思います。ドローンなんですね。宇宙、サイバー、電磁波はよく言われるんですが、ドローンに関する整備計画というものがちょっとよく分からないです。私が今所信で申し上げましたのは、ドローンは、偵察、情報収集用のみ導入されており、諸外国より遅れているのが実情であるというふうに申し上げております。そこで、現状として、今、ドローン、どんなものを保有しているのか、それから、攻撃用のドローンというものは保有していないと認識しておりますけれども、それ、今後どのように考えておられるのか、お答えください。
○岸国務大臣 

  ドローンについては、現在、約八百機のドローンを保有をしております。偵察、災害対処などの各種任務を遂行するための情報収集や研究等の目的で使用しているところであります。今中期防においては、常続監視体制の強化のために、海自における艦載型の無人機三機の導入及び空自におけるグローバルホーク三機の導入、また、太平洋側の広域における洋上監視能力の強化のために、海自における滞空型無人機の要否についての検討等が明記をされています。防衛省として着実に取り組んでいるところでございますが、いわゆる攻撃型のドローンについては、現時点で具体的な取得計画はございません。いずれにせよ、我が国の防衛における無人装備の重要性を踏まえて、技術動向や各国の運用状況も踏まえながら、必要な無人機の着実な整備と積極的な活用を進めてまいりたいと考えます。
重徳委員 

  お聞きのとおり、大変遅れております。攻撃型を配備していないというのはもちろんですが、他国から、あるいは国とは限らないですね、国家なのか民間なのか個人なのか分からない、そういうドローン攻撃に対する防御についてはどのようにお考えなんでしょうか、現実問題として。
○岡政府参考人 

  お答え申し上げます。ドローンによる攻撃ということでございますけれども、従来から、無人機による攻撃ということが各国で考えられている、あるいは、多数の小型無人機を使うといったようなことをテストしているようなところもある、そういった技術開発の動きもあるということで、経空脅威が非常に多様化してきているんだというふうに私どもとしては思っております。そうしたものに対して、ミサイル等による対処能力の向上であるとか、あるいは高出力エネルギー技術の研究といったことも含めて、総合ミサイル防空能力の強化の取組を進めることによって、効果的、効率的に対処してまいりたいと考えているところでございます。
重徳委員 

  ドローンにミサイルでは対応できないと思うんですよね。まあ、時間も来ているので、これで終了させていただきます。ありがとうございました。