2021年2月10日(水)午後、予算委員会にて質疑に立ちました。 | 『現場に飛び込み、声なき声を聴く!』 しげとく和彦のブログ

『現場に飛び込み、声なき声を聴く!』 しげとく和彦のブログ

S45年生れ。衆議院議員候補(愛知12区岡崎・西尾)。元総務省職員。H16年新潟県中越地震で崖崩れ現場からの2歳男児救出に従事。22年愛知県知事選(次点)。H24年に初当選。H26年、H29年無所属で3選。

2021年2月10日(水)午後、衆議院予算委員会にて質疑しました。

 

 

○重徳和彦議員

重徳議員

新自由主義の農政から転換するのが我が党の考え方。国土の隅々の村落で農業を営んできた小規模、家族農業の価値を正面から認めて支援をする。日本の食糧を確保する意味でも、SDGsのためにも、国家戦略として環境保全、国土保全という広域的な価値に対して国は対価を支払っていくべき。

<国会Twitter>

https://twitter.com/cdp_kokkai/status/1359466869917315081

<字幕書き起こし>

https://docs.google.com/document/d/1cg1gXKzOqUwNuI38GzMMWTQbXJDcQj_YJNRqIk0ElQc/edit?usp=sharing

 

 

○国土と食の安全保障について

 (「安倍農政検証WT」報告書より)

  答弁者:野上浩太郎 農林水産大臣

 

 予算委「国土と食の安全保障」について(1)

 2月10日の予算委にて、不肖私が座長として昨年9月に取りまとめた報告書「新たな農政思想への転換」(野党共同会派・安倍農政検証WT)に基づき、質疑を行いました。

前半:野上農相への質疑ポイントは5つ。

①これまでの農政の問題点

 自民政権がこの8年間進めてきた新自由主義(市場原理・輸出拡大・大規模化)の農政は、持続可能とは言えず、世界的な潮流にも逆行する。先日のNHKスペシャル「飽食の時代~水・食料クライシス~」では、牛肉1kg輸入するには、輸出国で穀物生産に風呂桶80杯の水を使う計算になり、世界的な水・食料争奪戦に拍車がかかっていると報じられた。

②小規模・家族農業を重視し、国土と食を守る

 日本の国土の3分の2は森林である。中山間地域の農業が廃れれば、雨水を貯める森や農地の機能が失われ、下流の都市部に大水害をもたらすリスクが高まる。農業は産業でもあるが、国土・環境の保全、地域コミュニティ、地方創生に不可欠なもの。「産業政策」優先でなく、「地域政策」を一体的に推進し、小規模・家族農業の公益的価値に対して、政府は対価を払って支えるべき。

③激減する就農者。コロナはターニングポイントか

 戦後8割近かった食料自給率は、現在38%。基幹的農業従事者は504万人(1976年)→140万人(2019年)。とりわけ49歳以下は、117万人(1985年)→18万人(2015年)と30年間で100万人減、85%減である。農業がなくなる危機感さえある。コロナ禍に伴う地方回帰の流れで、農業・農村の魅力が見直されるターニングポイントになることに期待したい。

④「国立農業公社」構想で、農業を安定した職業に

 報告書に載せた「国立農業公社」(仮称)は、就農者を一括採用し、研修・就農・処遇・労働時間を安定化させ、農機具やハウスの投資資金を融通する。特に中山間などの条件不利地域に就農者を配属させる。「国土と食の安全保障」の担い手たる農業者の育成のため、これまでの諸施策を総合し、国家が全面的に責任を持って取り組む。国会議員の仕事である。

⑤日本の風土に合う食生活で、食料自給率向上を

 食料自給率を向上させるには、日本の風土に合った食生活を尊重し、国産農作物を消費することにより、農業や国土を持続させていくべきと、消費者に対してもっと訴えていく必要がある。食農教育を実施するのは、地域を振興する協同組合たる農協の重要な役割である。

 

 

 

○防衛施設、国境離島等の外国資本による土地利用規制について

  答弁者:小此木八郎 領土問題担当大臣

 

 予算委「国土と食の安全保障」について(2)

 後半は、外国資本の土地買収規制、森林環境税の配分と使途を問いました。いずれも、我が国の国土をしっかり守ることを求める内容です。

①外国資本による土地買収に対し、実効性ある規制をすべき

・2年前の2月15日、本会議で私は、防衛施設・国境離島・農地・水源地が外国資本や外国人に買収されている。安全保障上きわめて大きな問題があり、法整備が必要である旨訴えた。このときの安倍前首相の答弁をきっかけとして、今国会に「土地利用調査規制法案」が提出される見込み。

・法案は、防衛施設などの周辺地「注視区域」の所有と利用について、政府が調査・規制する仕組みとなる。注視区域は、施設から1キロ以内との観測も出ているが、より広い範囲に設定するよう要望。立ち入り調査もできるよう要望した。

・法案には防衛施設・国境離島だけでなく、農地や森林・水源地も、規制対象に含めるべきではないか?(→小此木八郎担当相「大きな意味では含まれている。ただ、既に農地法や森林法がかかっている」。あいまいな答弁ながら大臣自身の気持ちは入っていた(?))。

 

 

 

○森林の保全について

  答弁者:武田良太 総務大臣

 

 ②国土(山林)を守るため、森林環境税をもっと地方に配分し、都市では国産材を利用すべき

・私は一貫して森林環境税導入を推進してきたが、配分ルールにおいて人口割が大きく、大都市への配分が多すぎる。額田の森林が6割を占める岡崎市よりも、森林のない世田谷区の方が配分が多い。人口割(30%)を縮減し、森林面積割(50%)を増やすべき。(→武田総務相「実施状況を見極め、しっかりと検討してまいりたい」。地方の声を代弁し、引き続き要望していきます。)

・森林のない大都市において公共施設建設に森林環境税を充てる場合、趣旨に沿えば国産材を使うのが当然。しかし、WTOルール(内外無差別)により、国が自治体に国産材に使途限定することはできない。ならば、せめて国産材の利用実績を把握すべき。(→武田総務相「地方団体の使途や優良事例を調査しているが、国産材かどうかは今のところ調査しておらず、私自身も調査すべきだと思う」。国産材の把握調査が早期実現されることを期待します。)

 

 

 

【議事録】

重徳委員 

  立憲民主党、重徳和彦でございます。

 私は、党の安全保障部会長をさせていただいておりますが、今日は、いわゆる安保というよりは、国土と食、食料の安全保障について議論させていただきたいと思います。その中核を成すのは、農業、農政であります。我が国の農政、安倍内閣八年間、規制改革会議を司令塔として新自由主義の農政が進められてきました。菅内閣もこの流れは変わらないと認識をしております。今の農政は、ひたすら競争力、大規模化、市場原理、輸出拡大、集約化、効率化、これらは国際的な潮流にも完全に逆行しております。農業の課題を新自由主義で解決しようという国は日本だけだというふうに言われております。この農政を転換しようというのが我が党の考え方でございます。我々、昨年三月から半年間、当時共同会派でありましたが、安倍農政検証ワーキングチーム、今はもう安倍政権じゃないので自民党農政と言ってもいいかもしれません、その検証ワーキングチームで議論し、報告書を作り、そのサブタイトルは新たな農政思想への転換というものでございました。不肖私が座長を務めておりましたけれども。我々は、農業というのは、もちろん産業でもあるけれども、国土の保全、環境の保全、地域コミュニティー維持に不可欠な役割があります、地方創生の肝でもあります、そういう認識から、産業政策優先の農政ではなくて、地域政策を一体的に推進する農政を目指しているところです。その基軸となるのが国土と食の安全保障でありまして、国民が広く共有すべき基本認識だと考えています。そこで、まず、政府の政策に関する質問をさせていただきます。政府は、ここ数年、農産物の輸出戦略に大変熱心であります。年間一兆円を目指してこられました。今後更に年間五兆円を目指すというふうに聞いておりますが、これが日本農業の発展に直結するならいいんですけれども、この金額目標について基本的なことを確認します。輸出一兆円というのは、全て日本で取れた農作物を一兆円輸出するという、そういう意味なのでしょうか。農水大臣に確認します。

○野上国務大臣 

  この目標額には、農林水産物、食品の輸出額となっておりますので、輸入原料、原材料を使用しています加工食品も含まれるということになります。

重徳委員 

  お聞きのとおりで、要するに、一兆円にしても五兆円にしても、日本の国産の農産品という意味では必ずしもなくて、輸入原料を加工して輸出すればそれは一兆円ないし五兆円にカウントされるということですから、これはそもそも国内農業振興のための指標としてはぴったりこないものだと考えています。この輸出振興、それは、ちゃんと生産力に余力があって日本の得意分野とするものを輸出するというのは構いませんけれども、しかし、今世界の潮流を見ますと、先日、NHKスペシャルで「飽食の悪夢~水・食料クライシス~」という番組がありましたが、野上大臣、御覧になりましたかね。見ていない。人々の食生活が豊かになって、例えば牛肉を一キロ輸入するのには穀物も必要ですから、その穀物を育てるのに風呂おけ八十杯分の水が必要だ、こういうようなことも言われておりましたし、それによって、途上国、要するに水と食料の世界的な争奪戦になる、こういうようなストーリーでありました。御覧になっていないかもしれませんが、こうした輸出とか競争力、新自由主義的なものというのは、やはり国際的に、これは通告していませんが、ちょっと農水大臣の、輸出戦略ということが世界的にどんどん過熱化していくと、結局は地球環境を滅ぼしていくということにつながるんじゃないかというような報道もありました、報道というかNHKスペシャルであったんですが、ちょっと一言、その辺の御感想があればと思います。

○野上国務大臣 

  先ほど申し上げました食品の加工原料でありますが、輸入品もありますが、我が国の食品製造業の国産原料の調達割合は六六%でありますので、輸出されている加工食品も国産農林水産物が一定割合使われているということで、農林水産業の所得向上にもつながっていくものと考えております。今のお話でございますが、輸出を促進していくということも極めて重要でありますが、一方で、輸入の多い農林水産物を国内生産に切り替えていくということも重要でありまして、例えば、輸入品が三割を占めております加工・業務用野菜につきましては、周年での安定供給を図るための貯蔵・加工施設の整備等を図っておりますし、全て申し上げませんが、様々な施策も図っているところでございます。

重徳委員 

  私たちの考え方を述べさせていただきますと、そもそも農業というのは、歴史的に、日本固有の国土の特性に合わせて営まれてきたものであります。日本の国土の三分の二は森林、中山間地域です。この中山間地域で農業、そして林業も、営む人がいるから、森林が守られる。その人たちがみんなこぞって都市部に出てきてしまったら、その地域のコミュニティーが崩壊する。森、農地が荒れますから、雨水を蓄える力も衰えます。水は一気に里に流れて、下流地域、すなわち都市部では結局大きな災害に見舞われる、こういう循環を招いてしまうわけであります。我々は、国土の隅々の村落で農業を営んできた小規模家族農業の価値を正面から認めて、しっかり支援すべきだと考えています。我が国の食料を確保するという意味でももちろんそうですが、最近、特にSDGs、地球規模の持続可能な発展という国際的な取組があります。国家戦略として、環境保全、国土保全という公益的な価値に対して、国はきちんとそこに対価を支払っていく、我々はこういう農政に転換をしていきたいと考えているわけであります。政策転換をする、政策をつくるというのは、やはり政策立案プロセスが大事だと思うんです。現状をお聞きしますが、小規模家族農業の代表者あるいは当事者というのは、政府の農業政策決定の過程に、そういう場に入っておられますか。

○野上国務大臣 

  各種の農業政策について幅広く審議を行っております食料・農業・農村政策審議会におきまして、六名の農業者の委員のうち、二名の家族経営の農業者の方のほか、小規模家族経営の声を代弁します全国農業協同組合中央会の会長に委員として参加をいただいております。また、食料・農業・農村基本計画、昨年三月に策定をしたわけでありますが、その検討においては、現場の声に耳を傾けることを重視をいたしまして、計六回にわたり農業者をお呼びしましたが、その際には、必ず小規模経営者や家族経営の方が含まれるように配慮をしたところであります。今後とも、政策決定の際には、小規模家族経営の皆様の声をしっかりと伺ってまいりたいと考えております。

重徳委員 

  二名入っておられるということですけれども、家族経営体というのは、全農業者の中の九割以上を占めているんですね。そういう方々、そして、日本には当然地域性もあります。全国各地の様々な地域で、平地もあれば中山間地域もある。そういう方々、そういう家族経営の当事者の方々をもっともっと増やしていくべきではないかと思います。大臣も、これからもやっていくとおっしゃっていたので、まずいいかもしれませんが、我々はやはり、当事者の声というのをもっとストレートに、直接政策に反映させていくプロセスが必要だと考えております。国連でも、家族農業の十年というのが、今、二〇一九年から始まっています。そういった世界的な潮流にも合わせていく必要があると考えています。さて、我が国の最大のウィークポイント、これは食料自給率の低さだと思います。戦後は八割近くあったんです、食料自給率。これが今、三八%ですね。その中でも最大の課題は、農業の後継者不足、就農者の不足であります。今日、資料をお配りもしておりますけれども、大変なことです。一九七六年は基幹的農業従事者数は五百三万人いたのが、今や百四十万人しかおりません。とりわけ深刻なのが、若い方々です、四十九歳以下。このグラフを見ると、一九八五年、三十年前は、五十歳代の方々も結構、一番多い世代だったんですよね、五十歳代が。それがそのまま右側に移行、つまり高齢化しているわけでありまして、四十九歳以下というカウントをしますと、これは、三十年前、一九八五年は百十七万人だったんだけれども、二〇一五年、三十年たって、十八万人しかいない。百万人減ったわけです、八五%減であります。もうこのままだと農業がなくなる、そういう感覚ではないでしょうか。農水省、ずっと新規就農者支援を行ってきているということになっていると思いますけれども、例えば、端的に、こういう聞き方もなんなんですが、農業というのは、就きたい職業ランキングでいうと、いろいろな調査があると思いますが、どのぐらいに位置づけられているんですか。そして、どう大臣は評価されていますか。

○野上国務大臣 

  人気職業ランキングについても様々な調査があろうかと思いますが、例えば、民間の保険会社が二〇一九年度に児童を対象としたアンケート調査では、大人になったらなりたい職業の上位十位までを公表しております。例えば、男子ですと、一位がサッカー選手、二位が野球選手、三位が警察官、刑事、女子ですと、食べ物屋さん、保育園、幼稚園の先生、看護師等々でありまして、その十位という中には残念ながら農業ということは入っていないわけであります。子供たちにやはり農業の役割を知ってもらう、その魅力を知ってもらうということは極めて重要

なことだと思います。今、農水省では、ジュニア農水産白書を作成することによって理解を深めていただいたり、あるいは高校生には出前授業などをやったり、あるいは農業の魅力等を一元的に発信するサイト等々を立ち上げて情報発信強化をしておりますが、いずれにしても、子供たちを含めた若者に対して農業の魅力をしっかりと伝えていくことが大事だというふうに……(重徳委員「何位なんですか」と呼ぶ)済みません、ちょっと、十位までには入っていないです。

重徳委員 

  十位までに入っていないというのは、残念ながら多くの方々が想像できることじゃないかと思うんですよ。調査によって、これは全部で百なのか、全部で三十なのか、その中の上位十位に入っているかどうかということも随分違うとは思うんですけれども。ちょっとイメージがつかめないんですけれども、どういう位置ですか、農業は。全く情報はないですか。〔委員長退席、山際委員長代理着席〕

○野上国務大臣 

  済みません、今手元にある調査は、全国の幼児、児童、一年生から六年生を中心に千名を対象に実施をしたものであります。二〇二〇年の四月三十日に公表されたものでありますが、手元にありますのは十位までの順位のものでありまして、ちょっとその下のものがございませんで、申し訳ございません。

重徳委員 

  では、それは少なくとも国の調査ではないということでありますので、その点はいいんですけれども。全体的に、若い人たちの数そのものが、日本人の若い人たちそのものが減っていますから、だから、そこを、農業人口が減るといっても、どのぐらいの減り方がやむを得なくて、どこから以上は頑張らなきゃいけないのかとか、それから、やはり若い人たちが期待を持って就農できるかどうかというところも非常に重要なところだと思います。そして、何でこれを聞いたかというと、その基が分からないのではちょっと議論にならないかもしれませんが、このコロナで、地方回帰とか農村回帰とか、そしてテレワークも地方でできるようになりと、随分環境も変わり、コロナ禍を一刻も早く克服していかなきゃいけないことではありますが、ただ、農業の人材確保という意味では一つのターニングポイントになり得るんじゃないか。そして、雇用の吸収、農業は常に人不足ですから、雇用の吸収をできる、失業なき労働移動といいましょうか、そういった可能性もある分野じゃないかと思うんですが、そういった、特に若い人たちの就農への思考の変化みたいなものは何か見られますか。

○野上国務大臣 

  まず、例えば厚生労働省の職業安定業務統計によりますと、これは農業だけの数値ではないんですが、農林漁業全体について見ますと、二〇二〇年の有効求人倍率は一・三四倍となっておりまして、職業全体の一・〇八倍と比べるとやや高い状況になっておりますが、一方で、有効求職者数を見ますと、二〇一九年よりもやや多くなってきております。これは、先生御指摘のとおり、農業、農村の魅力が見直されてきている、あるいは関心を持つ方が増えているということも影響しているのではないかと考えておりますが。農水省においては、新規就農者の受入れ情報等を一元的に提供するサイトを立ち上げましたり、あるいは、半農半X、農地と他の仕事を組み合わせて収入を確保するというような取組なども促進をしているところでありますが、今後とも、若い人材の呼び込みにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

重徳委員 

  イメージとして、農業というものに、潜在的にはもちろん魅力を感じている方もそれなりにいると思いますし、今、時代の転機かもしれませんが、やはり、私も地元で、ある農家さんに非農家の女性が嫁いだというか、お嫁に行ったという家があって、そこの奥さんから、農家に嫁ぐ、嫁ぐという言い方がいいか分かりません、農家の方と結婚するということについてどう感じていましたかというふうに聞いたら、もちろんいい仕事だと思うし、場合によっては、うまくやれば所得もそれなりに得られる、けれども、やはり普通のサラリーマンと比べれば、社会保険、年金、医療とか保険とか、そういった福利厚生みたいな部分が心配ですよねと。それから、年金に関して言えば将来のこともあるし、そういった、やはり安定性とか処遇というものが、ちょっと不十分というか不透明なところがあるということだと思います。そこで、人気職業ランキングとも関係するかどうか分かりませんが、現時点、まだ構想段階ですけれども、我々のワーキングチームの報告書に載せた構想が、国立農業公社の設立というものであります。仮称ですけれどもね。国立農業公社をつくって、就農者を一括採用するわけです。採用から研修、就農、処遇ですね。処遇もやはり安定しなきゃいけません。不作のときの所得補填、実際にやっている部分もありますから、それから、農作業の繁閑期を少し調整できるように、人の融通というのも農地と農地の間でやるとか、いろんな、全く新しい仕組みを、農機具やハウスの投資資金も融通するようにするとか、全く新しい仕組みを考える。農業法人も、実際今、雇用の受皿としてありますが、概して条件の有利な地域で営農していることが多いですので、今、特に課題となっている中山間地域などの条件不利地域を中心にそういった就農者をいわば配属させていくというようなことで、何にしても、やはり先々がちゃんと見通せる、そういう職業に転換していく。そして、先ほど言いました、物すごい勢いで若い人たちが減っているわけですから、これを国策として、相当な覚悟と決意で転換する新しい発想が必要なんじゃないかということであります。

今までの施策もかき集めて、今までだって、農地集積、新規就農支援、コミュニティー維持、いろんな仕組み、財源もあります。農業者戸別所得補償制度といった仕組みも、そういう趣旨も総合して考えれば、全く新しい展開を望むことだってできるんじゃないか、こういう構想でございますが、どうかといってもまだ具体的じゃないので、大臣、何か感想のようなものがあればお述べください。

○野上国務大臣 

  先ほど先生からお話のありました、農業に対する印象等々、実は、二〇一七年に全国農業会議所もアンケートを実施しておりまして、やはり新規就農者は、思うように休暇が取れないとか、労働がきつい、所得が少ない、技術の未熟さといった様々な悩みを抱えている声があります。他方、自ら経営の采配を振るえる、あるいは、農業はやり方次第でもうかるといったメリットを感じるという声もあるところであります。それで、今先生からお話のありました、国立の農業公社を立ち上げる、私もちょっとレポートを読ませていただきましたが、ちょっと詳細は分からないところではありますが、こういう国立の農業公社を立ち上げ、人材を採用するということになれば、財政的、組織的な様々な観点の課題があるとは思いますが、委員御指摘の中山間地地域の、条件不利地域の対策が必要であるということですとか、あるいは新規就農者を、国も含めて現場の農業関係者、関係機関が連携して支援をしていくということは重要なことだと考えております。農水省としても、条件不利地域につきましては、中山間地直払いとか、あるいは集落活動の維持をする取組ですとか、また、就農希望者に対しては資金の交付、研修、あるいは農業大学の教育の充実等々実施をしているところでありますが、今後とも、中山間地あるいは新規就農者、ここに対してしっかりと対策を講じていくことは極めて重要であると考えております。

重徳委員 

  国土と食の安全保障、その担い手が農業者ということであれば、やはり国が全面的に責任を持って取り組まなきゃいけない大きな課題でありますし、これは国会議員の仕事だと私は思います。最後に、農政に関しては、食料自給率、食料自給の基本的な問題というのは、やはり日本の風土に合った食生活をちゃんと尊重していく、そして、国産農作物を消費するということが農業、そして国土そのものを持続させていくんだということを消費者に対してもっと訴えかけていく、こういうことを基盤としなきゃいけないと思います。様々取組はされていると思いますが、簡単でいいので、その必要性について、大臣の見解をお述べください。〔山際委員長代理退席、委員長着席〕

○野上国務大臣 

  食料自給率が低下した要因というのは、食生活の多様化が進みまして、自給率の高い米の消費が減少する一方で、外国産の飼料や原料に依存する畜産物や油脂類の消費が増加したことがあると考えられますが、一方で、委員御指摘のとおり、これは生産面での取組のみならず、やはり国産農産物を積極的に選択してもらうという取組を進めていくことが重要だと思います。日本型食生活の普及のための食育ですとか、農泊、地産地消、あるいは米、野菜等々品目ごとの消費拡大に向けた取組、そういう消費面での取組を推進しておりますし、さらに、そういうような観点で、官民共同による新たな国民運動にも取り組んでいくことが重要だと考えております。

重徳委員 

  我々の報告書では、今のは一つの食農教育だと思うんですね、食べる食と農業の教育、これに関しては地域の農協の役割が重要だと指摘をしています。ところが、農協法というのが改正されて、自民党農政においては、農協という協同組合組織まで利益追求の経済マシンのような位置づけにしてしまいました。我々は、農業を通じて地域住民との触れ合いとか、様々な地域の振興に役立っていく、これが農協の本質的な役割だと思います。こうした農協の役割を再定義するべく、農協法の再改正というものを我々は取り組んでいきたいということを申し上げておきたいと思います。通告の順番を変えますが、次に、国土保全といっても、領土保全ということについて議論させていただきます。私自身が、実は二年前の二〇一九年二月十五日の本会議で、防衛施設、国境離島、農地、水源地が外国資本や外国人に買収されている、安全保障上極めて大きな問題があるということを指摘させていただきまして、法整備の必要性を訴えさせていただきました。このときに安倍前総理大臣の御答弁をいただきましたが、その答弁をきっかけに、内閣官房に土地調査検討室というものが設置されまして、有識者会議が設けられて、現在、間もなく提出されると聞いておりますが、土地利用調査規制法案、こういう略称でしょうかね、そういう法案提出に向けて大詰めだというふうに聞いています。一応、有識者の報告書が出ておりますので、それを拝見しますと、防衛施設などの周辺の土地の所有とか利用について政府が調査をする、そして、その権利移転がある場合には事前届出制を導入するという仕組みだと。土地の不適切な利用があれば、勧告、命令が出せる、こういう内容になるだろうというふうに聞いております。そこで、小此木大臣に幾つか質問したいんですけれども、区域を設定するんですね、周辺の。注視区域、視線を注ぐと書いて注視ですけれども、注視区域を設定するに当たって、防衛施設などから一定の距離の範囲に設定する、これを原則とするというふうに聞いていますが、どのぐらいの距離を想定しているのか。報道では一キロぐらいという見通しも聞いておりますが、狭過ぎるんじゃないかという意見が出ております。アメリカでは、国土が広いからなのかもしれませんが、最大百六十キロだ、こういうこともあるようですが、どのぐらいのエリアを想定されているのか。お願いします。

○小此木国務大臣 

  お疲れさまです。一昨年、重徳委員が本会議で御質問をされました。当時の安倍総理が、これはもう、安全保障の観点から、鋭意、必要なところでありますので検討を進めていくという答弁をされたところであると思います。私に、昨年、この任務につきまして、新しい菅総理からも、この国会で成果をしっかりと出すようにというふうに指示をされております。御質問でありますけれども、その有識者会議での提言というのは、新法の対象とする土地の範囲について、土地の所有者の過度な負担等を阻止する観点から、原則として、防衛関係施設等から一定の距離の範囲内とすることを検討しているということもありまして、あわせて、施設の性格やその区域の地理的な特性などを総合的に勘案し、個別事案に応じて設定する仕組みとすること、こういうことを併せて、提言を踏まえながら検討をしております。

重徳委員 

  大体何キロぐらいを想定されていますか。

○小此木国務大臣 

  今、何キロ、何キロということは検討しているところでありまして、防衛施設、あるいは、これは国境離島ということもありますから、その性質等もあります。しっかりと検討をしておるところであります。

重徳委員 

  最大何キロとか、何か、少しは数字はありませんか。

○小此木国務大臣 

  今具体的に申し上げる段階ではございませんけれども、しっかりと検討しております。

重徳委員 

  様々な土地の利用のされ方が想定されますから、むやみやたらにとは言いませんけれども、できるだけ広い範囲で、きちっと注視できるような区域の設定をしていただきたいということを強く要望を申し上げます。次に、これは、私、その二年前の質問のときにも申し上げたんですけれども、防衛施設とか離島、国境離島だけじゃなくて、先ほどからのテーマであります農地とか水源地。日本は、農地をたくさん耕作放棄されていますけれども、水は豊かだし、農地も肥沃ですね、砂漠のような国じゃありません。にもかかわらず、耕作放棄されているというのは、非常に、ある意味もったいないことであります。これは、外国から見れば、ああ、こんなに優良な資産が日本国内にあるんだ、そういうところも買収してやれという話になってまいります。数量的にも、最もよく買収されているのが森林とか、つまり水源地だとか、農地だとかいうふうに言われておりますが、こういった農地、水源地なども含めてはどうか。今のところ、聞いている範囲では想定されていないようなんですけれども、含めるべきであろうと考えますが、どうでしょうか。

○小此木国務大臣 

  これは、繰り返しになりますけれども、長年、重徳委員も含めて、政府内あるいは与野党で議論がございました。その前提は、やはり国民の不安であります。今おっしゃいました農地について、あるいは森林についても、外れているんじゃないかというお話でありますけれども、大きな意味ではこれは含まれていると私は認識しております。ただ、農地については、既に農地法において、例えば、農地の売買等に係る許可制度、農地転用に係る許可制度、農地の利用状況調査等の措置が講じられていると承知しています。森林についても、森林法においてあらゆることがございます。こういったところは、やはり現行の、私たち政府内、安全保障上の観点から、様々な省庁あるいは地方支分部局、こういったところとも連携をしながら進めてまいりたいと現在考えております。

重徳委員 

  その連携というのがなかなか取れないのが日本の省庁ですよね。菅総理も縦割り打破だと言っておられますが、私も霞が関にいた経験からしても、やはり縦割りというのはなかなか超えられません。やはり、一本の法律で、きちっと横串を通して、今回の領土の保全ということをしていただきたいというふうに思います。一部政令に委ねる部分がある、その地域の指定に当たってですね、というふうに聞いておりますけれども、今後、農地、水源地について含めていく、まあ大きな意味で含まれるというふうに大臣は言われましたが、それは、今後、指定をそういう地域も含めていく可能性があるというふうに考えてよろしいでしょうか。

○小此木国務大臣 

  先ほど申し上げたように、これは、長年の懸案でもあり、国民の不安が前提となっておりますので、今おっしゃったことは排除するわけではございませんが、しかし、地に足を着けて、腰を据えて、これは取りかかる、取り組んでいく必要があると思います。それはやはり、縦割りの打破という表現もございますけれども、いろんな省庁からの様々な情報に基づいて、前に進めていく必要があると考えています。

重徳委員 

  小此木大臣が言われるように、地に足着けてというか、冷静、慎重に、しかし排除しないというお言葉もいただきましたので、これは状況に応じて、今後も引き続き見てまいりたいし、強く要望してまいりたいと思います。もう一点だけ。この事務局というか執行体制がうまく機能するために、これはちょっと、ちゃんと通告したか分かりませんが、台帳とか書類を使った形式的な調査を行うということは報告書の中にも書かれています。土地の所有者からの報告も受けて利用実態を把握するということもあろうかと思います。立入調査というのは検討されているんでしたか。立入調査はできないんでしょうか、する法案にしないんでしょうか。その点、聞かせてください。

○小此木国務大臣 

  まだ閣議決定前、そして提案、法律をしっかりと国会に提出する前でありますので、いろんな角度からこれは調整、検討が必要であると思います。情報そのものが非常に多岐にわたると思いますし、しっかりとこれは進めてまいりたいと思います。

重徳委員 

  提出前ではありますけれども、それだけに強く要望しておきたいと思います。できるだけ実効性のある調査、実態把握の仕組みを法案に盛り込んでいただきたいと思います。最後に、武田総務大臣、お越しいただいております。私は、今日の文脈でいうと森林の保全というテーマで、森林環境税についてお尋ねします。私は一貫して、森林環境税、導入すべきだ、森林、林地を守れということで、先ほどから申し上げております趣旨で、旗振りの末席を担ってきたつもりでございます。この森林環境税導入、税というか、森林管理の仕組みが導入されてまいりましたけれども、ちょっと二点指摘させていただきたいと思います。一つは、配分ルールであります。配分ルールは、正直、大都市に偏っている。大都市というのは、つまり森林のない地域ですね。そこへの配分が、配分の割合として、三割は人口割ということになっておりますので、いつぞやも、私、質問させていただきましたが、例えば私の地元の岡崎市というところは、大きな額田町という山の地域と合併して、市域の六割が森林なんだけれども、たまたま、私、前暮らしておりました世田谷区を見ますと、人口は多いんだけれども山なんかないわけです。それで比較すると、しかし世田谷区の方が配分が多い、これは人口割が利いているわけですよね。これではやはり森林を十分守れないんじゃないかと思いますので、カーボンニュートラルという趣旨もございます、理屈は一応分かっていますけれども、今後、政府としてこの配分ルールの見直し、人口割を縮減して森林面積割を増やす、こういう方針、検討をしていくおつもりがあるかということを聞かせてください。中身は、ルールは分かっています。

○武田国務大臣 

  御指摘のように、人口を三割としたルールというのはあるわけですけれども、これは衆参両院の総務委員会で附帯決議がなされておって、各地方団体の森林整備の取組や施策の実施状況を見極めていかなければならない、こうされておるわけで、しっかりと検討してまいりたい、このように考えております。

重徳委員 

  検討は検討ですけれども、しっかり検討していくという武田大臣の決意を感じ取らせていただきましたので、是非前向きにお願いしたいと思います。そしてもう一つだけ、最後に。関連しますけれども、森林のない、例えば世田谷区、世田谷区になぜ森林環境税が配分されるかというと、世田谷区の中で何か公共施設を造るときに木材を使う、その費用に充てる、そういう財源として使われることが例えば想定されていると思うんですが、その木材が必ずしも国産材である必要はないというか、国産材に限るということをするとWTOの内外無差別ルールに反するので、政府は各自治体に必ず国産材を使いなさいということは言えないというふうに、以前、答弁で聞きました。しかし、実際、使途として国産材を使っているかどうかの、少なくとも把握、確認というのは、できるというか、するべきではないかと思います。明示的に言うことはできない、ルール化はできないかもしれませんが、そういった、税制の趣旨からすれば当然のことを、できるだけというか必ず各自治体に実行していただけるようにしていくべきだと思うんですが、その把握について、どのように今、状況をお伝えください。

○武田国務大臣 

  この譲与税を活用した木材の利用に関しては、WTO協定などを踏まえると、国として、国産材に限ることとするのは適切ではないが、我が国の森林の整備及びその促進につながるかという観点から、各地方団体において検討いただくべきものと考えてはおります。森林環境譲与税の取組状況について、総務省では、各地方団体における使途や優良事例について調査はしておりますが、そこで利用する木材が国産材かどうかというのは今のところ調査していない。これはちょっと、いささか私自身も、もうちょっと調査するべきだ、このように思っております。今後、今御指摘いただきましたように、国産材の利用実績も含め、譲与税の取組状況の調査については、引き続き、その在り方について検討はしてまいりたいと考えております。他方で、優良事例の中には、国産材を活用した公共施設の木質化や市民への普及啓発などの事例が多数存在しておりまして、我々としては、こうした優良事例の横展開を通じて、制度の趣旨に沿った事業の促進に取り組んでまいりたいと考えております。

重徳委員 

  国産材ということもちゃんと把握をしていただけそうですので、よろしくお願いします。我が党の国土と食の安全保障、今日質疑をさせていただいたとおり、しっかりと取り組んでいく所存でございますので、どうぞよろしくお願いします。切磋琢磨して頑張りましょう。ありがとうございます。