2020年6月16(火)午前、安全保障委員会にて国の安全保障に関する件(大臣所信)について質疑しました。
○若宮委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 立憲民主党の重徳和彦です。
伝統ある安全保障委員会におきまして、今期から野党の筆頭理事を務めさせていただくことになりました。長年の経験とリーダーシップを
お持ちの茂木外務大臣、そして新たに就任されました岸防衛大臣の胸をかりる気持ちでやってまいりたいと思います。また、長島筆頭には
大変お世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。さて、私からも、昨日の菅総理とバイデン次期大統領との電話会談の内容につい
てお聞きしようと思ったんですけれども、先ほど、概要については遠山委員への御答弁で茂木大臣がお答えになりました。尖閣諸島の安保
条約五条の適用が明言されたというふうに御答弁、そして意味のある第一歩であるというコメントを茂木大臣からいただいておりますけれど
も、一つだけ気になるのが、現トランプ大統領の再選の可能性ということについては、政府としてどう捉えておられるのかということを確認し
たいと思います。
○茂木国務大臣
米国の大統領選挙の最終的な結果が確定するのはまだ時間を要するものと承知をいたしております。各州におきまして投票人が投票す
る、これが合衆国法典の第三編の一条の五項と七項で規定をされておりまして、十二月の第二水曜日の次に来る月曜日、これが投票す
る日になりまして、その六日前、これが各州において確定をする日、これがことしは十二月の八日ということになると思うんですが、いずれ
にしても、最終な確定には時間を要すると承知しておりますが、接戦州の状況を含め、各州の情勢を踏まえて、バイデン氏が次期大統領
に就任する、勝利する、確実になっていると考えております。
○重徳委員
わかりました。それでは、安全保障のテーマとして、イージス・アショア、ちょっと迷走しておりますけれども、これについて質問をさせていた
だきたいと思います。立憲民主党におきましては、先月から外交・安全保障・主権調査会というものを立ち上げまして、そこに、きょう今ちょ
っと外しちゃっているけれども、篠原豪委員が会長を務められ、私自身が事務局長を務めさせていただいておりまして、やはり必要なこと
は、現状認識を、これは政府との間でも、あるいは与党、野党の間でも、ある程度共有をしていくということが我が国の平和、安全を守るた
めに必要なことではなかろうか、それ抜きに与野党あるいは政府との間で建設的な議論はなかなかできないんじゃないかな、こんなことを
私は考えております。そういう意味で、大事な所信への質問なので、ちょこちょこと再質問もさせていただくかもしれませんが、大臣、できる
だけ御自身の言葉でお答えいただければと思います。まず、イージス・アショアでありますが、平成二十九年、三年前に、閣議決定におき
まして、北朝鮮の核・ミサイル開発がより重大かつ差し迫った新たな段階の脅威だ、こういう認識に基づいて、我が国を二十四時間三百六
十五日切れ目なく守るために設置する必要がある、そういう時期だったと言うとあれですけれども、そんな認識を当時政府として持っておら
れたと思います。それが、ことし六月に公表されたわけですけれども、河野前大臣の御判断もありまして、ブースターが確実に海に落下す
るためにはソフトウエアのみならずハードウエアを含めシステム全体の大幅な改修が必要となり、相当のコストと期間を要することが判明
して、イージス・アショア配備計画は停止をしたという経緯でございますが、この前大臣の判断は今なお正しかったというふうに岸新大臣は
思われますか。
○岸国務大臣
イージス・アショアの配備に関しては、今、重徳議員からも御紹介がありました経緯をたどって、そして配備の停止、こういうふうになったわ
けでございます。私も、配備予定地が、むつみ演習場、これは山口県の中ということで、地元に近いということで、いろいろと注目をしていた
ところなんですけれども、何より、配備に対しての説明の段階で、新屋演習場では海上に落下させる、むつみの場合は演習場内に落下さ
せることが可能である、こういうような説明をして住民の皆さんに御理解を求めてきたことがございます。しかしながら、五月の下旬の段階
で、想定していたソフトウエアの改修のみでは不十分であるということ、そして、ハードウエアを含むシステム全体の大幅な改修が必要であ
って、そのためには相当のコストと期間が必要だ、こういうことになりました。このコストと期間をかけて改修することが合理的ではない、
こういう河野大臣の判断でございました。何よりも、地元に説明していたことと違っていた、違ってしまった、こういうことがあったと思います。
そういう状況の中で、河野大臣の当時の判断は私は正しいものであった、こういうふうに考えておるところでございます。
○重徳委員
判断はいろいろ、ブースターによって、もちろん地元住民との関係におきまして、これはもうもたないというような御判断もあったとは思うん
ですけれども、本来、配備を停止するということであれば、それにかわるものとして、こうするからというのがあって、あわせてセットでそれを
表明するというのが本来だとは思います。それは、安全保障環境に対する認識が先ほど申し上げましたとおりであることが前提ならばとい
うふうに思います。今また海上にイージスをというような話になりつつあると承知しておりますけれども、なぜその前に、陸上のイージスを
ほかの場所に配備するという、この調査もやりかけていたはずですよね。調査は終わったのか、その結果もよくわかりませんけれども、
陸上イージスの配備可能な場所、ほかに再調査するということについてはどのようにお考えでしょうか。
○岸国務大臣
イージス・アショアの代替案につきましては、現在、イージス・アショアの構成品を移動式の洋上プラットホームに載せるという方向で、米政
府や日米の民間業者を交えて、あるべき方策を取りまとめていくべく鋭意検討を進めている、こういう状況でございます。現時点において
も、陸上の場合ですね、さまざまな調査を行った上で、適切な場所がない、こういうところから判断をしたものであって、そういう意味では、
きちんと調査をした上で洋上のプラットホームという案になったわけでございます。
○重徳委員
さまざま、陸上イージスを配備するための調査を行った結果、陸上には配備しないという結論を出したという理解でよろしいですか、今の
は。確認です。
○岸国務大臣
まず、代替案としては、いわゆるイージスシステムは陸に置いて、発射装置、いわゆるVSLを海上、こういうことも、これを陸上案の代替案
として検討することは行いました。しかしながら、その陸上案については、イージス・アショアの配備に適している代替地を見つけることが大
変困難であった、こういうことである旨発表いたしまして、それ以降、更に省内においても調査を継続するのも、適当な代替地はないという
結論に達したわけであります。また、陸上にレーダーを設置し、洋上プラットホーム、失礼、迎撃の成否ですね、イージスウエポンシステム
それから垂直発射装置間の通信が左右されてしまう、そういう脆弱性があるという課題もございました。配備地によって、垂直発射装置側
に追加の装置がまた必要になってしまう。結果、全体経費が増加する可能性がある。加えて、洋上に垂直発射装置を配備する場合に、
常時持続的な防護体制は、定期整備や気象の関係、気象の影響を受けるということになりますので、海上案と同様の問題を包含してい
る、こういった論点が存在する、こういう確認が終わったわけです。このために、陸上案は現時点では困難性が高いもの、こういうふうに考
えられ、現在、イージス・アショアの構成品を洋上プラットホームに搭載する方向で検討を行っている、こういうことであります。
○重徳委員
私の印象なので、ちょっとこの後も議論させていただきたいんですが、さまざまな具体的な課題がある、そういう調査報告があるんだと思い
ますけれども、そもそも、もともと、二十四時間三百六十五日切れ目のない、北朝鮮からのミサイルへの防衛体制を築くんだ、それに加え
て、海上自衛隊への負担だとか、南西海域の安全保障とか、そういったことも含めて陸上のイージスが必要だ、こういう現状認識に立った
三年前の判断だったというふうに思うんですが、どうもいろいろな動きを見ていると、その現状認識がこの三年間で変わってきたのかきてい
ないのかというあたりが大変気になるわけであります。ここで確認しますが、陸上イージスの代替策の検討状況、洋上でという話でありまし
たが、具体的に報道で出ているのは、イージス艦二隻を新しくつくる、こういう検討に入ったという報道が現にありますね、まだ調査中なの
かもしれませんが。報道の解説なので、ここで政府のちゃんとした解説をお聞きしたいんですが、イージス艦を整備する、これはもう多機能
のイージスであって、単に弾道ミサイルを撃ち落とすためだけではないというふうに、いわば現状認識が変わってきているのではないか。
つまり、今までは、弾道ミサイルを撃ち落とすために二十四時間三百六十五日安定的にやれる体制が必要だということで陸上イージスを
急いでいたわけですが、ちょっと必ずしも釈然としない理由とおっしゃる有識者もいますよね。ブースターが落下するということを避けられな
いということをもって核抑止の鍵となるイージス・アショアを停止するというのはどうか、こういう意見もある中で、今度は多機能な、弾道ミサ
イルだけじゃない、人によってはIAMD、統合防空ミサイル防衛の機能を持たせるとか、もし本当にそこまで必要なんだとすれば、前提とな
る現状認識がもう既に変わっているというふうに理解するべき局面に来ているのではないかと思うんですが。ここまでしゃべった上で、イー
ジス艦二隻新造という報道はどこまで事実なんでしょうか。検討状況を教えてください。
○岸国務大臣
このイージス・アショアの代替案については、先ほどからも、繰り返しになりますけれども、現在、イージス・アショアの構成品を移動式の洋
上プラットホームに搭載する方向で調整をしております。米政府や日米の民間事業者を交えて、あるべき方策を取りまとめるべく検討中
でございます。まだ、逆にいいますと、それ以上のものは何も決まっておりません。さまざまな報道はございますけれども、それ以上のもの
は決まっておりませんので、発言も控えさせていただきたい、こういうふうに思っています。
○重徳委員
このイージス艦を、まあイージス艦かどうか決めつけちゃいけないのかもしれませんが、結局、洋上の船というような方向だというふうな、
これは臆測も含めて伝え聞いているわけですけれども、そもそもイージス艦は、北朝鮮からのミサイルへの対応ということで、これは二〇一
六年八月から二〇一八年六月までですか、イージス艦一、二隻を当時日本海に派遣をしていた。当時はまだ八隻そろっていなかったと思
いますので、もっと少ないイージス艦の中で一、二隻を日本海へ、これによって、ほかの防衛体制に支障がいろいろと出かねないという厳
しい状況だったと思います。加えて、先ほどちょっと言いましたように、本来そういうことがあれば、イージス艦をもっとふやしてということも考
えられたとは、当時から考えてもよかったのかもしれませんが、そこは、海上自衛隊の隊員さんの人数、それから育成といったことが追いつ
かないんじゃないかということで陸上イージスになった、こういうような説明もいただいているわけですけれども、今回また海にということにな
りますと、海上自衛隊の今申し上げましたような負担の軽減とか、あるいは南西諸島への対処とか、こういったところに影響がまた出てきて
しまうのではないかと思うんですが、まあちょっとこれも仮の話かもしれませんが、それなりの蓋然性だという前提で御答弁いただけること
がありましたら、海上自衛隊への負担について御答弁いただければと思います。
○岸国務大臣
繰り返しになりますけれども、どういうものにするか、洋上プラットホームを何にするかということについては、その運用主体についても何も
確定しているわけではないわけです。あるべき方策を今取りまとめるべく、鋭意検討を行っているところではございます。その上でなんです
けれども、イージス艦八隻体制のみで対応する場合と、更にこの洋上プラットフォームが加わった場合、こういうふうに比較をすると、イージ
ス艦八隻にこのイージス・アショアの代替するアセットを組み合わせることで、イージス艦のBMD任務、所要を相当程度減少できるのでは
ないか、こういうふうに考えております。いずれにしても、詳細については今後検討していく、こういうことでございます。
○重徳委員
ちょっと、海上自衛官、自衛隊への負担軽減という観点については、今きちっとした御答弁をいただいたとは思えないような御答弁だったと
思いますよ。まだ検討中ということでありますので、余り確定的なことをおっしゃることはできないと思いますけれども、やはり、海上自衛隊
の方からもさまざまな声が届いてきておりますので、その辺の配慮もしながら整えていかなければならない課題なんだと思います。
ちょっとつけ加えますと、先ほどから、河野前大臣の陸上イージスを停止するという判断、これを肯定するのかという問いから私入りました
けれども、これを肯定するものだから、今まで陸上イージス、イージス・アショアに備えようと思っていた装備を、途中から、海で使えないか
という移転のことまで考えなきゃいけなくなるわけですし、それから、先ほどの洋上プラットホームも含めて、切れ目のないミサイル防衛にこ
だわり続けると、今度は海上自衛隊の負担もあわせて南西諸島への安全保障体制にいろいろな負担がかかって、輪をかけることになる。
こういう、ちょっと自縄自縛に陥っている感じがするんです。確かに、始まりもかなりトップダウンで、官邸主導で始まった陸上イージスだとい
うふうに巷間言われております。その安倍前総理が、今回は総理大臣の談話ということで九月十一日に、この後よろしくということをおっし
ゃったわけであります。何だかちょっと、出口がどんどん狭くなってくるというか、苦しくなってくる、こんな感じがいたします。今、年末までに
結論を出すということについて、これはちょっと、菅総理は、必ずしも現内閣を縛るものではないということをおっしゃっていますね。正確に
言うと、閣議決定を経ていないので、安倍前総理大臣の談話というのは、原則として効力が後の内閣に及ぶものではないという、そんな
こともこれは予算委員会で答弁されていますけれども。安倍前総理が始めたことに対して、ちょっともう、出口がなかなか見えなくなってき
ているように思います。ですから、私としては、この安全保障委員会も、再三、長島筆頭にもいろいろと要請をして、委員会をもっと開いてほ
しいということを申し上げておりますが、もっと、政府の対応が決まっていく過程において、さまざまな意見をもうちょっと幅広く取り入れる、
あるいは反論があるならきちっと反論していただく、こういうプロセスがないと、一旦、防衛装備は導入を決めると、五年、十年、お金も何千
億円とかかる話ですから、もう少しプロセスというものを大事にしながら、それから、もう少し幅広い、せっかくと言ったらなんですが、大臣も
かわられたわけですから、もう一度リセットして考えていくぐらいのことも必要なのではないか、私はそう思います。次に参りますが、関連し
ますけれども、また現状認識を改めてお聞きしますが、もともと計画されていた陸上のイージス配備によって、ミサイルを迎撃する能力そし
て全体としての抑止力というのは、果たしてどこまでの、どの程度のものだったのか。十分なものだと。要するに、三年前の北朝鮮からミサ
イルがどんどん飛んでくるという状況であったその当時から、この三年間でも随分状況は変わってきております。今の岸大臣の現状認識と
いうのは、当時、三年前に計画をされた陸上イージスが果たして今でも、もしこのままブースターの問題がなかったら十分なものだったのか
どうかというあたりについてお聞かせいただきたいと思います。
○岸国務大臣
北朝鮮のミサイル事案でございますけれども、二〇一六年から一七年にかけて弾道ミサイルの発射を繰り返しておりました。その中に、
いわゆるロフテッド軌道で発射されたものや、潜水艦、あるいは発射台つきの車両を使用したもの、複数同時に発射させたもの、固定燃料
を使用したものなどが存在したわけであります。我が国としては、これらは北朝鮮が発射形態の多様化や我が国を奇襲的に攻撃できる能
力の強化というものを図っている、こういうことを示すものだと考えておったわけです。イージス・アショアの導入に当たっては、こうした状況
の変化を踏まえて決定されたものです。これによって、ロフテッド軌道や同時発射された複数のミサイル弾への対処能力が大きく向上する
とともに、常時持続的な迎撃態勢を長期にわたって維持することができる、そういうことから、弾道ミサイルの迎撃能力は大きく向上すると
考えておりました。こうした迎撃能力の向上は、我が国への弾道ミサイル攻撃を断念させるという意味で、抑止力の強化にまさにつながっ
ていると考えておる次第でございます。
○重徳委員
私は、当時から、安倍総理大臣の責任において始めたこの陸上のイージスですけれども、もちろんさまざまな意味での抑止力にも資するも
のであるとは思うんですけれども、ことしの九月十一日の安倍前総理の総理大臣の談話の段階では、安倍前総理の認識はもう大分異なっ
てきているんじゃないかなというふうに感じました。それは、安全保障政策の新たな方針を検討してきた、そしてこれからは、日米同盟、もっ
ときずなを強くして、抑止力を高めて、我が国への弾道ミサイル等による攻撃の可能性を一層低下させていくことが必要だと。これは、見方
によれば、現状の日米同盟における日本の役割だけでは十分ではないのではないかということを安倍総理が暗に示唆をし、そして、もちろ
んそれは、自民党の、たしか八月ぐらいに政調から提言が出たりしていましたね。八月四日に政調の提言。ここでも、相手領域内でも弾道
ミサイル等を阻止する能力、この保有を政府として早急に検討し結論を出すこと、こういうことを自民党の政調から出されたことにも呼応す
ることだと思うんです。このことはやはり、いわゆる敵基地攻撃能力にこれからの日本の防衛力というものを幅を広げていかないといけな
いという新たな現状認識に立って、安倍前総理が立っておられたことなのではないかというふうに受けとめております。そのことが今申し上
げました総理大臣の談話にあるわけですから、この総理大臣の談話において、現行の日米同盟による抑止力、これを、岸大臣から見る
と、どのように総理大臣の談話において評価をされているというふうに受けとめておられますか。
○岸国務大臣
まず、日米安保条約に基づく日米安保体制、そして、それを中核とします日米同盟、これは我が国の平和と安全に不可欠である。我が国
を取り巻く安全保障環境が厳しさを増しているわけですけれども、その重要性はこれまで以上に高まっていると考えております。
我が国として、日米間の緊密な連携のもとで、宇宙、サイバーといった新たな領域での協力を含めて、日米の防衛協力を更に深めながら、
みずからを守る体制を主体的、自主的な努力で抜本的に強化し、その果たし得る役割の拡大を図る、もって、日米同盟の抑止力、対処力
を一層強化していきたい、こういうふうに考えています。談話においては、先ほど御紹介をされましたけれども、助け合いのできる同盟はそ
のきずなを強くする、これによって、抑止力を高め、我が国への弾道ミサイル等による攻撃の可能性を一層低下させていくことが必要ではな
いか、こういう考えを示しております。政府として、引き続き、談話を踏まえて議論を進めて、あるべき方策を取りまとめていきたいと考えて
おります。
○重徳委員
今の敵基地攻撃能力については、これも報道によるとということではありますけれども、防衛大綱への明記は見送りというようなことが報じ
られておりますが、一つだけ、以前、この委員会において、小野寺元大臣が、敵基地攻撃能力が、我が国の憲法とか国際法とか、あるい
は専守防衛という範囲内であることを前提としながらでありますけれども、さまざまな状況の中でこれを可能とするべきではないか、こういう
ことを問われたことがあります。これは、私としては、ちょっと一つ想定を、余り空想のようなことばかり言ってもいけないんですが、一つ、具
体的に、北朝鮮からミサイル発射、これは着手があったなかったで常に敵基地攻撃能力というのはいい悪いという話になっちゃうんですけ
れども、一発目が飛んで、飛来してきて、例えば迎撃できたと。それはもう既に着手があったと見て、それは武力攻撃が始まったわけですか
ら、二発目以降のミサイルについては、これはもう既に、少なくとも先制攻撃ではないと見ることができるでしょうし、二発目以降を封じるため
に相手の国の領土にある基地をたたくということは、具体的に我が国の法理上許される範囲なのかどうか、このあたりはどのように認識をさ
れていますか。
○岸国務大臣
いわゆる敵基地攻撃と憲法との関係ということになります。あくまで一般論として申し上げるならば、政府は従来から、昭和三十一年の統
一見解を踏まえて、誘導弾等による攻撃が行われた場合に、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、
例えば、誘導弾等による攻撃を防御するのに他の手段がないと認められる限りにおいて、誘導弾等の基地をたたくことは、憲法上、法理上
には自衛の範囲に含まれ、可能である、このように解してきておるわけでございます。その上で、御指摘の点について、実際に発生した武
力攻撃の規模や態様に即して、誘導弾等による攻撃を防ぐのにやむを得ないか否かという観点、これは個別具体的に判断をしていかざる
を得ない、このように考えております。
○重徳委員
答弁ラインとしてはそのあたりだろうということは想定しながらの質問ではありましたけれども、またこの問題については機会を見つけて議
論させていただければというふうに思います。ここで話題が急にかわりますけれども、一点、最近報道などでも出てきている問題について、
ちょっと事実確認をさせていただきたいことがあります。これは、鹿児島県西之表市の無人島、馬毛島が、二〇一一年の日米合意以来ず
っと長く時間がかかったんですけれども、ようやく昨年末に、結果的には百六十億円で我が国政府が購入をし、そして、これが米軍空母艦
載機の離発着訓練、FCLPに使われる、そのために供する、こういう話がまとまったというふうに、これは河野前大臣がたしかそのことを公
表されたと思いますけれども、確認をしたいのはその売買金額なんですね。これは随分変遷をたどっていると。国の安全保障にかかわる
契約ですから、とても大事な契約だとは認識しておりますが、しかし、国民の税金を使った土地の売買契約の金額がどう積算されて、そして
適正な金額で行われているかどうかというのは我々国民の重大な関心事でありますので、そして、我々国会がしっかりチェックしなきゃい
けない事項なんだと思います。確認したいのは、まず、当初、二〇一七年に防衛省が提示した土地評価額というのは四十五億円だったん
ですね。これが、昨年の頭に仮契約だったらしいですが、最終的に昨年末に合意された。そこに至るこの二年間ぐらいの間に百六十億円
にまで上積みされたということについて、まず、事実だと思うんですが、事実かどうかということと、その価格が引き上げられた理由について
お尋ねしたいと思います。
○鈴木政府参考人
防衛省といたしましては、馬毛島におきまして自衛隊の南西防衛それから大規模災害時の活動拠点となる自衛隊施設、これらを整備する
方針でございます。また、この施設は、アメリカ空母がアジア太平洋地域で恒常的に活動する上で不可欠な艦載機の着陸訓練、いわゆる
FCLP、これを実施するための候補地でもございます。このように、この馬毛島の土地の取得は、地域におきますところの日米同盟の抑止
力の維持強化や我が国の防衛力の強化に資する、極めて重要なものでございます。昨年十一月に、馬毛島の土地の大部分を所有してい
た地権者との間で一定の合意に達しました。その馬毛島の売買額約百六十億円につきましては、適正なものと考えてございます。
なお、防衛省として、土地評価額、こうしたものを公表したということはございません。今の百六十億円の売買額の具体的な積算根拠などに
つきましては、取得に向けての調整や交渉がまだ行われているところでございまして、また、相手方との関係もあることから、現時点で明ら
かにすることは考えておらないというところでございます。
○重徳委員
この馬毛島の土地には、無人島ではあるんですけれども、ある会社、民間の会社がほぼ全体を所有をしておりまして、そこに独自に滑走
路をつくったと。それはそれですごいことだと思いますけれども、その建設コストなんかも含めてこの百六十億円で買い取ったというようなこ
とを言われているわけなんですけれども、これはどうなんでしょうか。
○鈴木政府参考人
御指摘の民間の方がつくられた滑走路等は、これにつきましては、コンクリートやアスファルトによって舗装されておりません。単に整地が
なされている状態ということでございますので、そのまま自衛隊施設の滑走路として使用できるようなものではございません。いずれにいた
しましても、先ほど申し上げましたように、売買額の根拠につきましては、取得に向けて調整や交渉が行われているところでもございまし
て、相手方との関係もあることから、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
○重徳委員
公表しない、交渉過程とかそういうところで公表しがたいとかいう、さまざまな実際の交渉の経過とかあるんでしょうけれども、しかし、冒頭
申し上げましたように、これは国民の税金を使って土地を購入する、取得するという話でありますので、ここはやはりきちっとした根拠と、そ
して、一緒ですね、理由を、あるいは経過、その経過によって、仮にも最初は四十五億円だったという情報も実際出ているわけですから、
そこがなぜ引き上げられたのかというあたりは、ここは明確にする必要があると思うんですね。その必要性については、必要ないということ
をおっしゃるんでしょうか。どうでしょうか。
○鈴木政府参考人
今、防衛省がまだ取得手続を進めている土地につきましては、それらの土地に係る利害関係者間で各種の調整がなされているところとい
うところ、それから、仮登記に至っていない土地につきましても、複数の地権者の方々との交渉を行っているということがございます。
そうしたことを踏まえまして、現時点では、積算額の根拠、それについては明らかにすることは考えておりませんと申し上げましたが、その
具体的な時期について、予断を持ってお答えすることはできませんが、今後、適切な段階できちんと御説明したいというふうに考えてござ
います。
○重徳委員
では、適切な段階で、そう遠くない段階に説明をしていただけるということを確認をしたいということ。それから、先ほどの、ちゃんと整地され
ていないという滑走路でありましたけれども、またここに新たに活用できるような滑走路をつくるということになりますと、そこには当然さらな
る経費がかかる、国費がかかるということなのかどうか、その点を確認したいと思います。二点、確認させてください。
○鈴木政府参考人
先ほど申し上げましたが、積算額の根拠につきましては、今後、しかるべき時点で、適切な段階で御説明したいというふうに考えてござい
ます。それから、滑走路につきましては、先ほど申し上げましたように、今の状態では、そのまま滑走路としてできるものではございませ
ん。他方、今の、我々防衛省として考えておりますところの施設配置案におきまして、滑走路の配置は、御指摘の、その民間の方がつくら
れた滑走路と一部重なってございます。そこはきちっと整地がされているわけでございますので、そうした状況を生かして整備を行うという
ことになる等ございます。整地されている部分に、特に撤去が必要な物件等は今設置されていないというふうには承知してございます。
○重徳委員
今の、しかるべきときに説明をいただくということについては、これは理事会でもちゃんと取り上げていただいて、この委員会でちゃんと説明
していただくということで、委員長にもお願いしたいと思います。
○若宮委員長
後刻、理事会で協議したいと思います。
○重徳委員
では、以上で質問を終わらせていただきます。これからもよろしくお願いいたします。ありがとうございました。