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昭和の遺産「家督相続」で兄弟大ゲンカ!〜「長男にすべて渡す」遺言が引き起こす、いまどきの相続トラブルとは〜
【はじめに】
2024年の今もなお、地方では「長男が家を継ぐ」「家督は代々引き継ぐもの」といった、戦前の価値観が根強く残っています。
最近、週刊現代に掲載された一つの相続トラブルの記事が大きな反響を呼びました。
——長男にすべてを相続させる、とだけ書かれた父親の遺言。
それを読んだ瞬間、兄弟間に火種がともり、ついには親戚を巻き込んだ大騒動に発展してしまったというのです。
この記事を読んで、「こんなこと、うちでも起きるかも…」と感じられた方も少なくないのではないでしょうか。
本記事では、司法書士としての視点から、今回のようなトラブルの背景、リスク、そして未然に防ぐための具体的な方法まで、丁寧に解説してまいります。
【1. 事件の概要:一行だけの遺言がもたらした“崩壊”】
登場人物は、九州の山間部に住む3人兄弟。
父親は90代まで元気に農業を営み、長男である高山さん(仮名・70歳)に何度も「心配するな」と言っていたそうです。
しかし、耳が遠く会話が成り立たないことから、肝心な相続の意向は生前にしっかり確認できなかったとのこと。
そして、父親が亡くなった後に見つかったのは、わずか一行の自筆遺言書でした。
〈長男・政一に一切を相続させる。異議がある場合、政一に一任する〉
この文面に、弟2人は激怒。
特に、父親の介護を担っていた次男は「法定相続分すらもらえないのか」と声を荒げ、感情的な対立へと発展してしまいます。
結局、話し合いの末に遺言内容を変更する形で遺産分割協議を行いましたが、今度は父親の妹(叔母)が介入。「家長の遺志を無視するなんて!」と怒りをあらわにし、近隣にも悪口を言いふらす始末に……。
こうして、家族の平穏が大きく損なわれる事態となってしまったのです。
【2. 戦前の家督制度とは?】
今回の父親が信じていた価値観は「家督相続(かとくそうぞく)」という戦前の制度に基づいています。
家督相続とは、家の財産・権利・義務を長男がすべて引き継ぐ制度で、
かつては法律でも「家」を一つの法人格のように捉えていました。
・家屋敷や土地
・家業(農業や商売)
・家族の扶養責任
・先祖の墓守りや法事の取り仕切り
これらを丸ごと長男が継承するというしくみです。
この制度は1947年(昭和22年)の民法改正で廃止されました。
それ以降、日本の相続は「個人単位」の考え方へとシフトし、兄弟姉妹に平等な法定相続分が与えられるようになりました。
それでも、高齢の親世代、特に地方や農村部では「家は長男が守るもの」という考えが根強く残っているのが実情です。
【3. 法律と感情のズレがもたらすもの】
相続の場面では、「法的な正しさ」と「心情的な納得感」の間に大きなズレが生まれることが少なくありません。
たとえば、以下のようなケースが典型的です。
● 被相続人(亡くなった人)の遺志が一部の相続人に偏っている
● 介護・看取りをした人が報われないと感じる
● 遺産の大部分が不動産で、平等に分けられない
● 家族内で古い慣習を守るか否かで対立が生じる
今回のように、ただ「長男にすべて相続させる」とだけ書かれた遺言では、他の相続人の理解を得ることは非常に難しくなります。
そこに「なぜそうしたのか」「他の兄弟への配慮」などが一切書かれていなければ、納得を得られないのは当然です。
【4. 自筆遺言のリスクと限界】
今回のケースで問題となったのは、「自筆証書遺言」でした。
確かに、法律の要件(全文を自筆で書き、日付と署名があるなど)を満たしていれば、法的には有効とされます。
しかし、以下のようなトラブルが頻発しています。
・文言が曖昧で、解釈を巡って争いになる
・家庭裁判所での検認が必要で、時間がかかる
・遺留分侵害請求を受けるリスクがある
・家族間の不信感を増幅させる
とくに「全財産を◯◯に相続させる」とだけ書かれたものは、他の相続人に大きな不満を与えることになります。
結果として、調停・審判・訴訟といった長期化・泥沼化に発展する恐れもあるのです。
【5. どうすればよかったのか?3つの予防策】
司法書士として、日々相続相談を受ける中で強く感じるのは、「争族を防ぐ遺言」には、次の3つの視点が欠かせないということです。
### (1)遺言は“伝える”ためにある
単に書くだけではなく、「なぜそうするのか」「他の人への思い」も明文化しましょう。
遺言書に付言事項を記載することで、残された人たちの心のわだかまりを減らすことができます。
### (2)専門家によるサポートを受ける
法律的に問題のない遺言にするには、公正証書遺言をおすすめします。
また、司法書士や弁護士など第三者が関与することで、当事者の感情に左右されない冷静な準備ができます。
### (3)家族で話し合う機会を持つ
元気なうちに、「どうしてほしいか」「どう分けるつもりか」を家族で共有しておくこと。
これは、相続を“争い”ではなく“思いやり”に変えるための何よりの方法です。
【6. 最後に:相続とは「家族の未来」をつなぐ行為】
相続という言葉を聞くと、多くの方は「財産の分け方」「権利の問題」と捉えがちです。
しかし本来、相続とは「家族のつながりを未来へつなぐ行為」だと私は考えます。
財産の大きさに関係なく、「気持ちよく送り出してあげたい」「家族関係を壊さずにいたい」という想いがあれば、
それを実現する方法は必ずあります。
今回のようなトラブルも、少しの準備と対話があれば防げたはずです。
相続とは、残された人への“最後のメッセージ”。
だからこそ、誰か一人に任せきりにするのではなく、家族全員が理解し合えるような仕組みを整えておきたいですね。
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