派遣の階段 | 小林茂子オフィシャルブログ「生きてみよ、ツマラナイと思うけど」Powered by Ameba

派遣の階段

結局研修が始まっても田中は来なかった。


内田は、必死で田中に連絡を取っているようで研修室を慌ただしく出入りしていた。

やがて諦めたのか私の右側に座った。

研修は約2時間

アンケートを回収して7時20分だった。

派遣スタッフは15分毎の計算だったので私は「鴻池さん終了は7時30分で切り上げてよろしいですね」と鴻池を見ながら言った。

皆夕餉の支度を朝して慌ただしく出勤したのだろう。


鴻池は「構いませんよ」と言ったので「ではお疲れ様でした。7時30分までタイムシートに付けて下さい。

ちょっと歓声が上がった。

一人一人が提出するタイムシートに私は確認欄に「小林」のシャチハタを押しながら出席スタッフをねぎらう。

「お疲れ様」「頑張ってね」内田のタイムシートにも判を押す。

毎日のように6時まで残業と書かれていた。

派遣スタッフを送り出した私は、多分内田は平然と水増し請求を続けるつもりなのか…


出来るなら直接内田に「貴女のタイムシートはおかしい…水増し請求なんか止めなさい。」と言いたい気持ちでいっぱいだった。


派遣スタッフでありながら、本部を動かし、時給の権限を得ている私を内田は羨ましくて水増し請求をしているのだろうか?

業務終了後私はクレジット会社の課長や鴻池に夕飯を誘われたが、3日間の疲れも残っていたので辞去した。

そんな時も私だけで内田を誘う気はないらしい。

アンケートを読んだクレジット会社の人から、「また無給で良いので小林さんの研修受けたがっていますよ」と声が掛かる。

「今日はお疲れでしょうから、明日また連絡します。」と言う鴻池の言葉をきっかけに私は家に帰る。