そして恋が降ってきた【後編】

<第三十五章>ミッション完了

 

 

 

「二人とも、ちゃんと恋人になった?」

トオルの元に、健太を迎えに行くなりそう聞かれ、

トモコと博之は真っ赤になっていた。

 

「大丈夫だと思うよ。この様子だと。」

と、トオルが言う。

 

トモコと博之の手はしっかりと繋がれていた。

二人ともなんとなく10歳くらい、若くなったように見える。

 

初々しい恋人同士だった。

 

「書類、揃ってます?」

と、トオルに聞かれ

博之が謄本と婚姻届を差し出す。

 

中身をチェックして、彼とユキエが

サインをすると、博之にそれを戻した。

 

「これで、役所に出せば大丈夫です。おめでとうございます。」

にっこりと笑う。

これでシナリオは終了だった。

 

「元気でな。」

と、トオルが健太に手を振る。

少し寂しい気持ちになった。

 

「また遊びに来ても良い?」

健太が恐る恐る聞いてくると、

「いつでも来いよ。」

と、笑顔でトオルは応えた。

 

ユキエが隣で頷く。

少し涙ぐんでいるようだった。

「もう一つのおうちと思ってくれて良いからね。

また来てね。」

彼女がそう言うと、

健太がにっこりと笑った。

 

「育児に疲れたら、呼んでください。

美雪ちゃんの面倒なら見れますから。」

 

大人びた口調に、ユキエが珍しく吹き出す。

 

 

必ず、また会えるから。

別れに涙は不要だった。

 

 

 

 

 

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