いばら姫LOVE AGAIN

<第二十五章>両親への誓い

 

 

全てが落ち着いて、ユウと雅は

雅の実家へと赴いた。

 

「ご心配をおかけして、すみませんでした。」

と、ユウは雅の両親の前で、土下座した。

「雅さんの身体は、もうすっかり大丈夫です。」

 

「ユウくんのほうは、どうなんだい?」

雅の父が、彼に言った。

「君もあまり良くないんじゃ?」

 

「ええ。病院に行って、鬱と診断されました。」

きっぱりと彼は言った。

「僕の病気で、雅さんを死ぬような目にあわせて、

本当に申し訳ありません。」

 

しばらく沈黙が続いた。

何分も経っては居ないと思うが、

長い、長い時間だった。

 

誰も何も言わない。

 

無言の圧に堪えかねた雅が

口を開こうとした、その時だった。

 

 

 

 

「二人とも生きてたんだから、いいじゃないの。」

雅の母親が言った。

「生きていたら、いくらでもやり直せるじゃない。」

 

ふっと重かった空気が、軽くなる。

雅とユウの気持ちが少し楽になった。

 

「私たち、二人でまたやり直そうと思うの。」

雅が両親に向かい合って言った。

 

「時間は掛るかもしれないけど、

彼以外の人は考えられないから。

少しずつ前に進もうと思う。」

 

二人は雅とユウを交互に見ると、

ゆっくりと頷いた。

 

「分かった。」

父親が重い口を開く。

「二人の事は、二人に任せるよ。」

 

「ありがとうございます。」

ユウはそういうと、深く頭を下げた。

 

“この日を二度と、忘れない。”

 

ユウと雅はそう、心に誓った。

 

 

 

 

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