足首は「足関節(そくかんせつ)と呼ばれます。
足関節の痛みの原因となる代表疾患ですが、
1,足関節捻挫(そくかんせつねんざ、あしくびのねんざ)
2,変形性足関節症(へんけいせいそくかんせつしょう、へんけいせいあしかんせつしょう)
3,アキレス腱断裂
4,足関節周辺骨折
などがあります。
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1,足関節捻挫(そくかんせつねんざ、あしかんせつねんざ、足首のねんざ)
症状
足関節(足首)捻挫のほとんどは、足関節を内側に捻って生じます。
足関節外側の靭帯(前距腓靱帯)が損傷します。
外くるぶし(外果)の前や下に痛みがあり、腫れます。
また、外くるぶしの前や下を押さえると、痛みます。
原因と病態
スポーツなどのほかに、歩行時でも段差などで生じることがあります。
捻挫 とは、関節にかかる外力により非生理的運動が生じ、関節を支持している靭帯や関節包が損傷することです。足関節では図1の前距腓靱帯が損傷されることが最も多い病態です。
靭帯の損傷程度によって、捻挫 の程度を三つに分けています。
靭帯が伸びる程度の損傷を1度捻挫、靭帯の一部が切れるものを2度捻挫、靭帯が完全に切れるものを3度捻挫と定義しています。

↑ 足関節(足首)の靱帯 ↑
診断
足をひねったという訴えがあり、外くるぶし(外果)の前や下に圧痛(押すと痛む)があり、腫れがあれば、診断がつきます。
X線(レントゲン)写真で、骨折の有無を確認します。
靱帯損傷が高度の場合には、ストレスをかけてX線写真を撮影します。
予防と治療
1度捻挫と2度捻挫では、応急処置の基本と同様にRICE処置をおこないます。
3度捻挫では、RICE処置をおこない、さらに2~3週間の固定をすることがあります。
また稀に、不安定性の強いものには、手術をおこなうこともあります。
2,変形足関節症(へんけいせいそくかんせつしょう、へんけいせいあしかんせつしょう)
足関節は脛骨(けいこつ)、腓骨(ひこつ)、距骨(きょこつ)から構成されています。
また様々な靱帯で連結されています。
外傷(ねんざ、骨折)などで、靱帯が機能不全になったり、骨折によって、骨どうしのバランスが悪くなったり、軟骨を痛めたりすると、長時間たつと、足関節の軟骨がすり減る、変形性足関節症になることがあります。
治療は保存療法と手術療法があります。
保存療法では注射、装具(足底板、サポーター)、リハビリなどがあります。
手術療法では足関節固定術が主流です。
人工足関節全置換もありますが、長期成績に安定感がありません。
足関節の固定とは脛骨と距骨をくっつけてしまう手術です。
場合によっては距骨と踵骨を固定を追加することもあります(距骨下関節の変形性関節症を伴っていたり、リウマチの場合など)。
固定したら足首が動かなくなると思ってしまいますが、実際は足部の関節(Chopart関節、Lisfranc関節)などで代償されるため、可動域は半分くらいになる方が多いようです。
していえば、長靴を履くときとても苦労します。
骨をくっつける手術なので、入院は比較的長めです。
3,アキレス腱断裂
症状
受傷時には、「ふくらはぎをバットでたたかれた感じ」とか、「ボールが当たった感じ」などの衝撃を感じることが多く、「破裂したような音がした」など断裂した時の音を自覚することもあります。
受傷直後は受傷肢に体重をかけることができずに転倒したり、しゃがみこんだりしますが、しばらくすると歩行可能となることも少なくありません。
しかし、歩行が可能な場合でもつま先立ちはできなくなるのが特徴です。
アキレス腱が断裂していても足首(足関節)は動かすことは出来ます。
原因と病態
アキレス腱断裂は、踏み込み・ダッシュ・ジャンプなどの動作でふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋) が急激に収縮した時や、着地動作などで急に筋肉が伸ばされたりした時に発生します。
腱の退行性変性(いわゆる老化現象)が基盤にあると考えられています。
30~50歳のスポーツ愛好家に多く、レクリエーション中の受傷が多いのが特徴です。
診断
アキレス腱断裂部に皮下の陥凹(へこみ)を触れ、同部に圧痛がみられます。
うつ伏せで膝を直角に曲げた状態でふくらはぎを強くつまむと、正常では足関節は底屈します (Thompson テスト)。
アキレス腱が断裂するとこの底屈がみられなくなります。
ほとんどの場合、通常のX線(レントゲン)検査では異常を認めません。

↑Thompson テスト
予防と治療
治療は、手術を行わずにギプスや装具を用いて治療する保存治療と、断裂したアキレス腱を直接縫合する手術治療があります。
それぞれに長所、短所があるので、治療法は整形外科担当医とよく相談して決めることが大切です。
治療開始後4ヵ月程で軽い運動は可能となりますが、全力でのスポーツ活動ができるのには短くても6ヵ月はかかります。
パンフレット「アキレス腱断裂」
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