1,手根管症候群
2,肘部管症候群
3,頸椎疾患
1,手根管症候群とは?

手根管症候群の症状としては、中指、薬指の中指側、人差し指、親指のしびれが特徴です。特に中指のしびれが多い印象があります。また知覚障害(さわった感じが異常)があることがあります。しびれは特に朝方に強くなる傾向があり、手を振ると少し楽になる(Flick sign)ようです。
長期にわたってしびれを我慢していると、母指球筋(親指のつけねと手首の中間の筋肉)がやせてきます(萎縮といいます)。母指球筋はものをつまむのに大切な筋肉ですので、萎縮が進んでしまうと、ものがつまみにくくなります。

↑のように親指と人差し指、中指、薬指で○をつくってものをつまむことがやりにくくなります(または力が入らない、パーフェクトO(オー)ができない)。
このためものをつまむときは親指の横側を使ってものをつまむようになります(サイドピンチ)↓。パーフェクトO(オー)ではなく涙(ティアドロップ)のように見えるのでティアドロップサインと呼ばれています。

なりやすい方ですが、中年から老年期の女性が圧倒的に多いです。
また妊娠中や授乳されている女性(ダッコで正中神経を圧迫する姿勢をとるため)、さらに手をよく使う職業(PCを使う方にも多いです)、血液透析、糖尿病の方にも多いです。
検査は上記の症状があった場合、ファーレンテスト(Phalen test↓)が行われます。これは手関節を1分間掌屈させ、手指のしびれが増悪する場合、陽性とします。

治療は、しびれが軽度で母指球筋の萎縮がない場合は、手根管内に注射をしたり、装具で安静を保ったりもします。
手術は母指球筋に明らかな萎縮を認めたとき、しびれのために日常生活や睡眠障害が出る場合、長期にわたるしびれの場合、手術治療がお勧めできます。
手術治療は手根管より指がわに2~3cm程度の切開を加えて、原因の一つである横手根靱帯を切離する方法です(小切開法、約15分くらい)。また、母指球筋の明らかな萎縮があり、Perfect O sagnができず、lつまむ力が弱い場合、別な件を移行して再建する場合があります(腱移行法)。

上記、横手根靱帯を切離します。母指球筋の再建は主に長掌筋腱と手掌腱膜を使った方法がありますが、詳細は割愛します。最近は内視鏡を用いた治療も行われています。
(その2に続く)
志賀リウマチ整形クリニックHPへ