その85:極端なカロリー制限は、危険なダイエット法  | 肥満治療を行う外科医のブログ

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カロリー摂取を減らすと、人間の体は少ないエネルギーでも体を維持しようとします(代謝適応metabolic adaptation)。

食べる量を減らしても、徐々に体重が落ちにくくなるのはそのためです。

 

さらにカロリーを制限すると

一番エネルギー消費が大きい筋肉を削ろうとします。

骨もコラーゲンの新陳代謝が悪くなるため、もろい骨に変わります。

体重とともに骨密度も減ることになります。

 

 

食べることを我慢すると

  • 筋肉や骨が減ります➔基礎代謝が減って確実に痩せにくくなります
  • カロリー低めなダイエットが辛くなって、カロリー制限をやめると、リバウンドします
  • その時、増えるのは筋肉、骨ではなく体脂肪です

 

サルコペニア肥満という言葉もあります。Sarco(筋肉)penia(喪失)。

筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下している状態です。

筋肉が落ちて、肥満になりやすくなるわけです。

サルコペニア肥満は、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症、脳卒中、心筋梗塞のリスクにもなります。

 

また筋力の低下や骨粗しょう症は、将来的なロコモ(ロコモティブシンドローム;運動器(機能低下)症候群)の原因となります。高齢者の要介護や寝たきりのリスが高くなります。

 

カロリー制限は、将来的にサルコペニアロコモを招く恐れがある危険なダイエット法なのです。

 

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