(「村上さんのところ」より)

 

早稲田大学に、村上春樹さんの図書館ができたそうです。

村上春樹ライブラリー

 

このプロジェクトは、

村上春樹氏が小説作品の生原稿・執筆関係資料・書簡・インタビュー記事・作品の書評、さらには海外で翻訳された膨大な書籍、蒐集した数万枚のレコード等を、本学に寄託・寄贈いただくことが契機となって生まれた画期的な試み

だそうで、

村上氏と縁の深い坪内博士記念演劇博物館に隣接する4号館で、建築家・隈研吾氏(本学特命教授)によって斬新なリノベーションを施し

ということが

「村上春樹ライブラリー基金」のHPに書いてあります。

 

村上春樹さんといえば、

私が20代のころに、そもそもは翻訳家としての作品をいろいろ読んだことがきっかけだったような気がします。

「風の歌を聞け」を発表されたばかりのころ、

私はフリーの編集者として小学館や集英社の仕事をしていて、

仕事をお願いしているデザイナーさんの事務所が千駄ヶ谷にありました。

近くに村上春樹さんの経営する喫茶店『ピーター・キャット』があって、

よく通っていたのですが、

村上さんはわずか1、2年しかそこには居なかったようなので、

私は貴重な体験をしていたのでしょう。
店内は静かなジャズが流れていて、

村上さんはいつもカウンターで本を読んでいました。

会話はまったくしたことがなく、

領収書は何枚も書いてもらったはずなのに1枚も手元にありません。

よもやそんなにすごい人になられるとは

そのときには思ってもいなかったのです。

 

私はどちらかというと初期の作品が好きで、

それよりもなによりも、

レイモンド・カーバーの翻訳がとても好きでした。

しかし「初期の作品が好きで」というほど読みこんでいるわけではなく、

世間で評判が高くなればなるほど、冷めていくタイプであることは先のブログでも書いたとおりです。

 

近年の村上さんの作品のなかで私的に好きなものといえば、

村上さんのところ」につきます。実は3冊持っています。

何が好きって、イラストレーターのフジモトマサルさんの絵が好きなんですが、

残念なことに若くしてお亡くなりになってしまいました。

それだけに本当に残念。

まあこの本は「作品」ではないかもしれませんが、いろいろな人の質問に村上さんが答える。

それが「村上春樹」と言う人となりを感じるものでもあります。

 

話が戻ります。

作家の方々が困ることは、作品や資料がどんどん増えてしまうことで、

それを保管する場所や管理をすることがとても大変で、

没後、作品を集めた博物館や美術館などができることがありますが、

それもまた継続していくことが大変なこととなります。

漫画家さんでも、手塚治虫記念館や、石ノ森(章太郎)萬画館などがありますが、

鎌倉の大仏次郎さんは生家が売りに出されている状況ですが、

調べてみたら大佛次郎記念館が横浜にあり、「ねこ写真展」の写真を公募していました!

話がどんどんそれてしまいました~

とにもかくにも、資料や本をどうするか。

図書館でもいまはなかなか引き取ってもらうことが難しいし、

大作家となればなおさらのこと。

 

「じゃあ、大学に寄付しちゃうってどうかしら」

と、村上さんが思いついたのかどうかわかりませんけれど、

ナイスアイデアだと思います。

 

そして、古くて改修しなくちゃいけない状態の校舎を図書館に。

話題にもなるし、寄付も集められるし、

蔵書やコレクションもおいておけるし、

いいことづくしです。

 

で、その費用12億円を寄付したのがユニクロの柳井正さん

日本一の資産家で、フォーブスでも世界41位(2020年)

早稲田大学経済学部OBで、村上春樹さんと同級なのだとか。

 

建築をデザインした隅研吾さんは早稲田大学の特任教授でもあり、

卒業生や関係者がみごとなフォーメーションとなってできたライブラリーといえそうです。

 

私は正直なところ、ユニクロについては思うところいろいろあり、自分自身では買い物は控えています。

(でも、妹や姪は大好きなので、彼女たちの「おあがり」をもらっています)
隅さんの建築についても、ちょっと浮ついた印象(あくまでも私個人の感想)
 

でも、こういう形で、日本に文学の拠点ができるのはいいことだと思いました。

きっかけをつくってくれた村上春樹さんはやはり素晴らしいと思います。

コロナが収まったら、私も足を運んでみたいと思っています。

(タイトルにある「株」というのは、私のなかでのカブ(評価)のことです。株式相場の話ではありません)

 

そして、追伸。

村上春樹ファンのみなさん、村上龍ファンのみなさんには賛否両論あると思いますが、

私が大好きな「負け田負け代

無料で読める尾形未紀先生の連載です。

村上愛がほとばしっています。ぜひご愛読を!