会津の白虎隊の「ならぬことは、ならぬもの」という話。

====================

1、年長者(としうえのひと)の言ふことに背いてはなりませぬ。
1、年長者にはお辞儀をしなければなりませぬ。
1、嘘言(うそ)を言ふことはなりませぬ。
1、卑怯な振舞をしてはなりませぬ。
1、弱い者をいぢめてはなりませぬ。
1、戸外で物を食べてはなりませぬ。
1、戸外で婦人(おんな)と言葉を交へてはなりませぬ。

ならぬことは、
ならぬものです。

===================
PHP研究所社長の江口克彦さんが、Facebookで白虎隊のことを書いていたなかにあったものですが、

これは「什の掟」といって、白虎隊のグループリーダーが守るべきルールだったようです。

現代に当てはめて、すべてが正しいとはいいがたいものもありますが、

胸に手を置き、考えてみたいことでもあります。

 

白虎隊のリーダーは、このルールをやぶると、仲間外れや、火鉢で手を焼かれたり雪に埋められるといった制裁があったらしいので、

もはやこれは暴走族とか暴力団並みの組織だったのではないかと想像してしまったりもしますが、

「論語」を熟読して、歯をくいしばって、努力に努力を重ねていたんですね。若い青少年たちが。

でも、リーダーになるということはそのくらい、覚悟が必要だということでもあるのだと思います。

 

さて、28歳の青森市議の話です。

彼はTwitterに裏アカ(プライベートな別のアカウント)を作り、そちらで差別発言をしたことが発覚しました。
市議になって最初の仕事が謝罪会見だったというわけです。

彼は、年配の人たちを侮蔑する書き込みをしたり、弱者と言われる立場の人たちについて高圧的な意見を書いたと言われています。

驚いたことに、インドを旅してまで、その高圧的な考え方に変化はなかった、というか、さらに増長したかのようにも思えました。

 

市議というのは、市町村民の代表として、庶民の生活を考えていく立場にある職務のはずですが、

そうした自覚のなさというよりも、むしろ育ってきた環境や教育によって培われたものがあるのかもしれません。

 

私は、たとえば、かつて2年も刑務所に入っていたことのあるITベンチャー社長で、

若者たちに多く支持され、ネットの社会では大変有名なポジションにいる、あの方に、

この28歳の若者は似ているなと思いました。

 

たとえ犯罪を犯したとしても、有名になって、金持ちになっている人には尊敬を抱く若者が多いのは、

世の中がおかしくなっている証拠だと思います。

 

そもそも国を動かしているトップと言える人たちが悪いことをしていて、

結局、なにも罪に問われずにいたりすることが度重なれば、

まじめにこつこつと仕事をして、徳を積むことなどがばからしくなる人もいるでしょう。

(そういえば、オリンピックだって、裏金がどうのこうと言いながら、結局うやむやですね)

 

青森市議は辞職はせずに、仕事を続けるそうですが、

年収1000万円近くもらえるのですから、これを棒に振るよりもしがみついているほうがいいと計算したのでしょう。

 

若い人たちがみな、この青森市議のように、表はいい子ぶっていながら、

裏で、老人や障がいがある人を下げずんだりしているわけではないと思いますが、

彼の行動はいろいろな意味で罪深いものを感じます。

 

同じ20代の人たちは、彼のことをどう見るでしょうか。
内心「よく言った」という人もいるかもしれません。

 

年寄りについて「ジジイ」「ババア」と言っても許される人がいます。
その代表が毒蝮三太夫さんです。

あるいは、ビートたけしさんや有吉弘行さん、カズレーザーさんも毒舌で有名ですが、
彼は(たぶん)裏表なく、そして、言っていることが「正論」であり、弱い者いじめではないことが

青森市議とは違うところではないでしょうか。

 

自分が若いころを思い返してみると、

私の家には絶対君主的祖母がいたので、

「おばあちゃんが一番エライ」「おばあちゃんの次にはお父さんがエライ」というルールがありました。
(その分、母が苦労したのだと思います)

 

「おばあちゃんの知恵」が生きない時代になって家庭に伝統料理がなくなり、

仕事のやり方が電子化されると職人的な仕事がなくなり、

目上を尊敬しない文化が生まれた、と言われています。

 

また、「年寄り」の側にも責任があり、

卑屈になったり、依存したり、努力を怠ったりする人もいるのでしょう。

 

でも、

誰でも年をとります。
また、いま若くて元気であっても、

事故や病気で、突然、いまと同じではなくなることもあります。

 

若くて、健康であることは永遠ではないと考えたら、

お年寄りは「明日の自分」でもあると、私は思っています。

 

「論語」はいささかリーダーシップにおいてはがまんの連続のような気がするので、
私は「老子」の自然体のほうがリーダシップにはよいテキストになると思います。

 

青森市議もまだ28歳ですから、

これから知見を広めて、立派な地域のリーダーに育っていってほしいと思います。