『二平方メートルの世界で』という絵本の著者は、
難病を患う9歳の少女です。
彼女が病院のベッドの上で発見したことがつづられているのですが、帯にはこうあります。
 
「たくさんのだれかが、わたしに語りかけてくれた。
 ひとりじゃないよって」
 
二平方メートルとは、病院のベッドの大きさのことです。
9歳…小学校3年生の女の子が、入院中はその小さな世界で過ごします。
でも、1人じゃなかった。
顔も名前も知らない“たくさんのだれか”が語りかけてくれたことに気づいた時の、
その人たちとの仕合わせを発見した喜びが、この絵本には綴られているのです。
 
私自身は、入院といえば出産の時だけですが、
1人目出産後は高熱を出してしまい、しばらくの間授乳にも行けず、
生まれたばかりの子どもの顔も見られず、他の産婦さんにうつさないよう、
大部屋から個室にうつされて、1人ツラい想いを抱えていました。
 
そんなある夜、助産師さんが病室にきて、何かを置いていった気配がありました。
熱でもうろうとしていたのですが、次の朝ベッドテーブルを見ると、
子どもの顔のポラロイド写真に、
 
「ママ、早く元気になってね。待っています」とメッセージが。
もうね、泣きました。
子どもの顔が見られた嬉しさと、会えない悲しさとがごっちゃになって。
 
あの時、写真を撮ってあげよう、と思ってくれた人、
子どもを抱いてくれた人、
カメラを向けてくれた人、
メッセージを書いてくれた人、
病室に届けてくれた人(この方だけはわかったので、後でお礼を言えました)、
沢山の“誰かわからない人”が、私を励まし、支えてくれました。
 
きっと、生きているということは、いつもこんな風に“顔もわからないたくさんのだれか”に支えられている、ということなのでしょう。
これを読んでくださっているあなたもきっと、そんな“だれか”さんのお一人なのでしょう。
巡り巡ってお世話になっていると思います。いつもありがとうございます。
 
たくさんの、本当にたくさんの仕合わせに、改めて感謝したい。
そんなことを思い出させてくれた絵本でした。
 
今日も暑い日になりそうですが、どうぞ仕合わせてしあわせな一日をお過ごしください。
 
〈ライター:斉藤知江子
 
『二平方メートルの世界で』前田 海音 (著), はた こうしろう (イラスト)