…   …   …   …   …
 心を天気にたとえて言うと、どうも僕らには、すきま風もなく
暴風雨も起こらない状態が「理想」としてあるんですね。
そして、そういうことが可能だと思っている。

 

でも、暴風雨など、全部こみで、天気が成立しているわけで。

 太陽が照っている時を「良い天気」と言って、
良い天気が多いほど良い、と思いこんでいるのだけど
日照りばかり続いたら「良い」とは言えないでしょう。
でも、それほど僕らのイメージは固定している。

 

 心の天気も、人はみな雨の降らないことを願っているんでしょうね。
―――どこかに「良い天気」ばかりを生きている人間がいると、
みんな錯覚しているんじゃないかな。
そして、その人に比べると自分は残念だと思っているわけだけど、
そんな人はいないんですね。

 

(中略)
 

暴風雨こみで「天気」だというものなのだと実感すれば、そ
れなりに自分で対応することになる。
雨なら傘をさすとか、嵐なら雨戸閉めるとか。
自分自身はそういう対応をせず、もっと周囲が変わればいいのに、
と思うんだったら、生きてる面白味がない。
自分がやらないとね。まわりばかり変わったんでは「生きた」と言えない。
…   …   …   …   …
〔新版〕こころの天気図 PHP研究所 P34 より抜粋)

 

聞き手に答える形で、口語体で書かれた本です。
河合隼雄さんのニコニコしたお顔が目に浮かぶようですが、
~「生きた」と言えない。~には、「覚悟して仕合わせなさい」と言われたような気持ちになりました。

 

いつもお読みいただき、ありがとうございます。
一期一会の今日という日を、どうぞしあわせにお過ごしください。

 

〈ライター:斉藤知江子