兵庫県というまとまりは何だろう。
これは意外と語られていない。
その前に兵庫というのは神戸市内にある一つの地名。
JR兵庫駅もある。
なぜ県の名前が神戸県ではないのか。
それは神奈川県、横浜ともその事情は全く同じである。
江戸時代には神戸、横浜は小さな村だった。
しかし1858年の日米修好通商条約では兵庫、神奈川の港を開き、その後にこの地に人が集まった。
明治初年の廃藩置県の際の県名の決定はその時の実情をふまえたものだった。
後の知恵では神戸県、横浜県としたほうが妥当であったか。
この時点では神戸、横浜の大発展は想定外だった。
兵庫県の場合はさらに複雑な事情を抱えている。
この県は形は妥当だが、その中は六つの国があり、全国一の多数国連合県である。
北から但馬国、丹波国(西半分)、摂津国(西側部分)、播磨、淡路、そして備前国(東南隅のごく一部)。
どういう事情だったかは知らないが、こういう県はほかにはない。
多くても三か国である。
クイズ問題になりそうだが、東大王の伊沢君なら多分全部言えると思う。
自分が言いたいのは、今振り返ってみればの話だが、日本海側の但馬国が兵庫県というのはおかしい。
但馬国、豊岡、浜坂などで話される言葉は関西弁ではない。
中国地方の言葉である。
また県庁所在地の兵庫(神戸)に行くのには、山を越えなければならない。
従って但馬は連合して鳥取県でよかったはずである。
鳥取市だと県庁には横にすっきりと行ける。
こうした各県の連合、解消は明治初年にはたくさんあった。
また今のことだが、鳥取市内のスーパーの駐車場には姫路ナンバーの車がやたらと目立つ。
これは鳥取県と隣接する兵庫県北西部(但馬)の温泉町、浜坂、村岡あたりから来たものと思われる。
ナンバーが但馬とか豊岡だったらわかるが、瀬戸内の姫路ナンバーだというのはどういうことだろう。
自分もこれを最初に見たときは不思議だったが、まあ実際に乗っている人は姫路ナンバーなら気分的には悪くないだろう。
いかなごのくぎ煮は要するに小魚の佃煮のことだが、春先の家庭料理だ。
今でも盛んに作られ食べられている。
神戸に限らず、明石でも淡路でも作られスーパーでも売られている。
でもこの数年間はいかなご自体が不漁らしい。
自分も明石の魚の棚商店街で買って食べたことがあるが、要するにご飯の友、佃煮だった。
ぼたん鍋は丹波篠山の郷土料理でイノシシ猟が解禁される冬の一時期のものらしい。
イノシシは野生の豚だから、多分肉は豚肉とあまり変わらないだろう。
神戸市内にもイノシシの出没のニュースをよく聞く。
自分は伊豆でぼたん鍋を一度食べたような記憶がある。
ぼたん鍋は縄文時代から食べられていたといわれ、日本最古の料理となるだろう。
兵庫県の地産食品とグルメ料理
・いかなごのくぎ煮 ぼたん鍋(イノシシ鍋)(郷土料理百選)
・玉ねぎ(淡路島) 黒豆(丹波地方) 栗
・松葉ガニ(香住、浜坂など) たこ(明石) 塩(赤穂)
・但馬牛 神戸牛
・酒(灘) ヒガシマル醤油(竜野) 揖保麺(竜野) 各種ソース
・出石そば ステーキ(神戸) 姫路おでん フジッコ ケンミン麺
・玉子焼き(明石) かつめし(加古川)(以上B1参加) そばめし(神戸)
・ホルモンうどん(作用) にくてん(高砂) ホルモン焼きそば(小野)
・鶯ボーロ 神戸のパン
兵庫県は人口が集中している南部地方にいろいろなものがある。
関西食文化を支える酒、薄口しょうゆ、ソース、塩などの基本素材がこの県には多い。
ヒガシマル醤油は兵庫県でもかなり岡山県に近い竜野市に昔からあるが、関西風の色の薄い味付けのもとである。
自分は高校のころこの竜野市に工場のあるヤンマーラーメンというインスタント袋めんが好きで、毎日のように夜食として食べていた。
それが今はイトメンのチャンポンと名前が変わり、東京でも置いてあるところがある。
たまに買って食べているが正直、よく似ているとはいえ昔のヤンマーラーメンのほうがおいしかった。
兵庫県も地産品が多い。
それもある程度全国的に知られているものである。
灘の酒と神戸牛(但馬牛)は全国一位か。
また知名度では揖保乃糸も全国一位か。
黒豆とカニは高級で、タコは普通、でも国産のタコだ。
たこ焼きの原型である明石玉子焼きの中に入っている。
淡路島の玉ねぎは大きいことで有名だ。
播磨地方にはB級グルメ品が多いのにも驚く。
これも多分一日に二つくらいに絞らないとなかなか食べて回れない。
兵庫県はやはり関西都市圏で大阪や京都に埋もれてあまりないような印象を受けるが、大阪のものでも実は兵庫県産であるというものが非常に多いというのが率直な感想である。

