イカニンジンも知らないだろう。
ただ何年か前にケンミンSHOWでカミングアウトしたこともある。
福島県最北の梁川地区(伊達市)が史料に残っている限りでは、起源とされている。
福島県の中通は何故かこうした郷土料理が少ない。
今は福島市に郡山市という地方の大都市がありながら、スーパーや道の駅に並ぶ伝統的な地産食品は、このイカニンジンが唯一である。
しかし残念なことにイカニンジンは農林水産省の伝統郷土料理福島県代表には入っていない。
福島県のものは会津地方のこづゆとこれも会津のにしんの山椒漬けである。
イカニンジンはニンジンとイカがコラボした冬用の漬物である。
福島市内のスーパーには地元の業者が作ったイカニンジンが数種類並んでいた。
赤いのですぐにわかる。
大袋(500円くらい)から小袋(200円くらい)まで。
そして見た目はみんな一緒のように見える。
全体が鮮やかなニンジン色だ。
イカニンジンは江戸時代からこの地方では食べられていたが、今からほぼ200年くらい前に、一時北海道の松前藩がこの地に領地替えになった時に、これを見つけその後松前に戻されたとき、松前漬けの元になったと言われている。
このスーパーでは作っている業者が同じイカニンジンと松前漬けが、隣り合わせに並んでいた。
そしてイカニンジンの方も松前漬けと表示されていた。
さっそく二種類のものを買った。
先ほどの松前漬けのイカニンジン。
当店手作りと書いてあるが、イカニンジンは家庭料理であり、冬、正月のご飯のおかず、酒のあてである。
細長く切った人参のこれも細長いイカの切り身を加え、酒、みりん、醤油など日本料理の一般的な味付けをするものである。
食べてみると、まずはニンジンのこりこり感がしてくる。
中に芯の通った歯ごたえの良いものである。
噛んだ時に音が出そうである。
味は一言でいえば中庸だ。
少し甘く、塩、醤油の味もしているが薄味なので、食べやすい。
そして何か全体を包むまろやかさがある。
昆布は入っていないので、ねばねば感はない。
これは各家庭によって味付けは違うだろう。
日本の伝統家庭料理にはそのようなものが多い。
この商業用イカニンジンも一般に食べやすいように各業者がアレンジしていると思われる。
しかし食べてみると分かるが、イカニンジンはどれも入っているイカの量が少ない。
細長く切ったごぼうとあまり区別のつかないイカが、探せば見つかる程度しかない。
完全にこれはニンジン漬けだ。
イカは調味料のようなものなのだろうか。
イカ料理だと期待していると外れてしまう。
ニンジンの漬物と考えたほうが良いと思う。
200円くらいのものを二つ買ったが、車の中で両方とも食べてしまった。
※ やはり全体的に写真の色が暗い。絞りを小さくしたままの固定モードだったのだろうか。






