数十台を連ねる大ツアーだった。
行先はもちろんピラミッド。
私の隣の席に座ったのが若い女性だったので、いろいろと話をしてみた。
聞くところによると彼女は看護師で、いったん勤め先を辞めてこの船旅に来たそうである。
帰ったらまた別の病院に勤めることが決まっているという。
看護師って潰しがきくのだな。
その理由はわかる。
しかしこの状態はすぐに終わった。
バスが郊外に出始めると日本では考えられない交通状況が次第に明らかになってきた。
まず第一に道は一般道だがバスはゆうに時速100キロを出している。
そして恐るべきことに前のバスとの車間距離は5メートルくらい。
かなり怖い。
少なくとも50メートルくらいはいるところだ。
眠くても緊張して眠れない。
さらに沿道には放置された事故車、故障車の山。
こんな運転なら交通事故も多いのが当たり前である。
中国や東南アジアアジア諸国でもここまでではない。
また信号もほとんどない。
カイロ市内もそうである。
カイロは古いビルの多い石作りの町だった。
色はかなりくすんでいる。
昨年より内政の混乱が続いており、この時期は小康状態であった。
それでも重要施設の前には警備の軍が配置されていた。
これは車載用のソ連製カラシニコフ機銃だと思われる。
こういう光景が多く見られた。
さてそうこうしているうちに車窓よりピラミッドが見えてきた。
ピラミッドはカイロの町の中にあるのである。
ピラミッドが良く見えるところにある昼食のためレストランに入った。
レストランの食事はたいしたことなかったが、日本にはよくいるセイゴ(スズキの子)の揚げ物がでてきた。
非常になじみがあった。
ヨルダンのほうが断然よかった。
その後ピラミッドに行った。
ピラミッドはいつも写真やテレビで見ているものと同じであった。
しかしこの場所何か場違いだと思いませんか。
ピラミッドといえば世界で1,2を争う観光地です。
それなのにこの駐車場舗装がされていません。
バスが適当に止まっているという感じです。
そもそも駐車場の体をなしていない。
警備の警官がいた。
ラクダに乗っていてこの場には適していて、愛想もよく「ハロー」といった。
しかしその後がいけない。
「ワンダラー」と言った。
「出すわけないだろうバカ」と答えた。
後いたるところでチップを請求するこのワンダラーと言う言葉をよく聞いた。
警官からしてそうだから後は推して知るべしである。
制服からして警察だが、AK47ソ連製カラシニコフ自動小銃を持っている。
AK47は7,7ミリだから米軍の5,5ミリのM16より大きめなのだろう。
10年ほど前にルクソールの観光施設で爆弾テロがあったくらいだから、重武装で警戒するのは
当然だろう。
ラクダに乗ってみた。
しかしこれは写真を撮るだけ。
ラクダは後ろ足から立つから注意しろと言われた。
ラクダはその後、これから1年後中国の敦煌でたくさん載ることになった。

