ツバキもち病菌 Exobasidium camelliae Shirai
2021.04.15 小田原市入生田
未熟な果実に寄生し、大型のゴールに成長したツバキもち病。写真の白い部分は子実層が形成されているので、粉をまぶしたような様子に見える。ゴールの直径はおよそ20-30㎜。下の写真は同じ時期に生成されていた未熟果実で、表面はクチクラで覆われた光沢のある状態。果実の直径はおよそ5-7㎜。
種子は不稔。
担子胞子は落下24時間後で発芽し、発芽管を出して分生子を形成するタイプ。発芽管の成長に伴い、担子胞子は自己溶菌しているので担子胞子の外形は不明瞭となった。この担子胞子では4隔壁が形成され、それぞれより発芽管が伸長。発芽管より分岐した菌糸あるいは分生子も観察された。
PDA培地上で48時間以降は分生子が出芽を繰り返し、酵母様コロニーを形成。粘稠性がある。菌糸体を形成しない。色はくすんだピンク色を示す。写真は培養31日目のもの。
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農林水産省ジーンバンクのデータベースにはツバキもち病として交配種チャツバキに発生したもち病も掲載されている。
Exobasidium gracile (Shirai) Sydow & P. Sydow
文献 山田憲吾:日植病報 84(3):208, 2018
備考 チャツバキ(C. sinensis × C. japonica) で発生。
チャ(Camellia sinensis)を種子親,ヤブツバキ(C. japonica)を花粉親とする種間雑種‘チャツバキ’に,もち病様の症状が発生した.