一月最後の劇☆
『金閣寺 The Temple of the Golden Pavilion』
@神奈川芸術劇場
観劇から2週間もたってしまった。。( ゚∀゚;)タラー
上演3日目に観たのに、KAATでの公演は残すところ3日、まぁ地方公演はこれからですが。
上演中のネタバレを気にしてとかそういうことでは一切なくw、単に仕事が忙しくてブログ書く心の余裕が無かったというだけです、ハイ。
KAATの杮落とし、三島文学の金字塔、KAATの芸術監督 宮本亜門の演出、主人公を演じる森田剛(V6)、著名なその他の共演者などなど、この公演を観に行く観客の目的はそれぞれあるでしょう。
自分はといえば、岡田あがさを観に行ったわけですw(;・∀・)
大小どんな舞台でもそうですが、観る人の目的や、見識によって大きく評価が分かれるであろうことは観る前から想像に難くありませんでした。
三島作品は戯曲や小説をいくつか読んだ。。。正直に言うと途中で投げ出した。。。ことはありましたが、金閣寺は読んでいなかったので、良い機会とばかりに読んで観劇に臨みました。
さらに正確に言うと、読了したのは観劇後でしたがw、事前に読んで観劇に臨んだ結果、良かった点とそうでない点がありましたw
まずは、作品紹介 powered by Corich (長いよw)
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日本文学の限りない可能性にチャレンジする。
神奈川から世界へ向け、
日本オリジナルの世界基準の舞台作品
その第一弾は三島由紀夫の「金閣寺」に決定!
今を生きる私たちのあらたな舞台芸術のクリエーションのテーマとして、私たちは「日本」に焦点をあてました。その第一弾といたしまして、日本文学の金字塔である三島由紀夫の『金閣寺』の舞台化に挑みます。
小説『金閣寺』は世界各国の言語に翻訳され、その文学世界は不動の存在となっております。そして、この『金閣寺』は何度か映画化が試みられております。そ
の中のひとつとして1958年に巨匠市川菎監督に『炎上』というタイトルで発表されました。本作品は名優市川雷蔵(当時26歳)の初の現代劇出演というこ
とも話題になりました。これは日本映画史における重要な作品のひとつとして、日本映画の代表として、いまなお世界中の人々に愛され続けています。
あなたにとっての「美」は何ですか?
この小説は昭和二十五年七月二日に起こった金閣寺放火事件が素材となっています。三島由紀夫は、この事件を詳細に調べた上で、質の高い観念小説に昇華させ
ました。主人公溝口がなぜ自分自身が「この世で最も美しいもの」として、信仰に近いまでの憧憬の念を抱いていたものに火を放ってしまったのか、そして戦中
戦後という急速に変貌した環境と人々の価値観の変換の流れに取り残され、吃音という身体的なハンディキャップを抱えた主人公が、「生きていく」ための拠り
所としていた「美」というもの。主人公溝口にとっての「金閣寺」は私たちそれぞれがその形、あるいは言葉を変えて心の奥底にあるものかもしれません。誰も
が世俗的価値観から、隔ててくれる崇高なものを欲するならば、溝口にとってそれは、金閣寺だったのです。三島が描き出した、放火という犯罪を犯すまでに至
るその心理描写は実にスリリングで且つ、内的表現として優れたものです。主人公を単なる犯罪者にせず、世間、社会の中で生きる繊細な男の葛藤を実に巧みに
描いています。絶対に犯してはならない行為まで至らせてしまう彼にとっての「美」とは。そして、私たちの「美」とは何なのか。この世界の中で生きていくた
めに必要なこととは。舞台版「金閣寺」は人間の魂の本質に深く迫ります。
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さて、長い引用終わりw
まずは素晴らしかった点から!
とにかく劇場の設備が素晴らしい。
3時間観ても疲れないシートには驚き!w
そして劇場スタッフもとても教育が行き届いている印象で、警備員のおじさんまですべてのスタッフがお客様への意識が高く、気持ちよく帰ることができました。
って、それ劇の感想じゃないね。。。まぁまぁ( ゚∀゚;)タラー
演出面でいうと、大劇場でしかできないこと!
照明、映像、装置などは、興味深かった
中でも照明の使い方は見事でした。
照明ひとつで、時間、場所、心理描写など、さまざまなものを演出していました。
ミュージカルを得意とする宮本らしく、音楽にのせた身体表現で状況やト書きみたいなものを演出していたのもさすがといった感じでした。
あと、ホーメイ歌手として活躍する山川冬樹の起用と彼を使った演出!
これは素晴らしいアイデアでした。凡人には思いつきませんw
俳優の演技で印象に残ったのは、高岡蒼甫。見事!
そして、著名な出演陣の中で、与えられた役をきっちりこなしながらも、それだけにとどまらず彼女らしい存在感を漂わせ、しっかりと観る者、そして劇自体に爪跡を残した岡田あがさ。さすが☆
決して贔屓目ではない!。。。多分w
それから難点w
小説の舞台化の難しさというのを痛感しました。
劇用に書かれた戯曲と違って、小説を舞台化するというのは一般にも難しいと思う。
それが三島のように非常に緻密に書かれた小説とあっては、その難しさは想像できない。
さらに、金閣寺はエピソードとそれに伴う主人公の心の動きが重要で切っても切り離せない。
そうなると、一部のエピソードだけで戯曲化することは難しくなる。
結果、エピソードを順番に網羅するようになるが、「それなら舞台でなくても」というような意見があるのも頷けるからです。
最初に観客の目的や見識により、評価が分かれるだろうと書いたのは、ひとつにはこういう点。
自分はといえば、総じて満足でした。
それは岡田あがさで満足!w とかではなくて、作品全体として興味深かったということです。
小説の戯曲化ということについても、三島の、さらに金字塔といわれる金閣寺という緻密な作品にチャレンジするという点からいっても、識者からはいろんな意見があると思いますが、「つまらん」とは思いませんでした。
しかし、原作を読んだ人間として、主人公の溝口の心理表現がちょっと物足りない印象がありました。
これは、原作の緻密な描写をどう表現するかという一番難しい点ではないかと思います。
それには、たとえば今回の舞台ではなかったような演出のアイデアとか(自分にアイデアがあるわけじゃないぉw)、俳優のスキルだったり、いろんな高いハードルはあると思います。
主人公の溝口を演じる森田の演技は、正直上手い!とまでは言えないのですが、この役が非常に難しいこともとてもよく分かり、頑張っているな!という印象でした。
自分が観たのは上演3日目だったので、その後の進化を期待したいところです。
どんどん良くなる地方公演の方はお楽しみにw