花のある暮らし。

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 今日もとても暑かった福岡です。

 もう日が十分傾いてから仕事場を辞したにも関わらず、地面からもわんと熱気が上がってきて、ああもう春とは言えないなとしみじみ思いました。
 ところで、今年も母の日の季節になったのでアレンジを義母に贈りました。
 義母へ贈る花は、いつも『ブーケ・ド・フルール』さんと決めています。
 今年は珍しい色合いでした。



 夫が好きだったのはこちら。
 別の時に贈ったものです。


 こちらの方もかな。


 女性好みの、どちらかというとロマンチックな花を作られる方です。
 実際、アーティストの島田さんのお仕事はウェディングブーケが多いようですし。

 この季節ともなると、義母の庭にはたくさんの花が咲いています。
 しかし、花屋さんの作る花はそれらとは少し違うと思います。
 色々な国からきたものや、新しく品種改良されたものなど、色とりどりの花は、家庭の中にはないものです。
 ある意味、非日常的な風を吹き込んでくれるというか・・・。
 ええと、別腹?
 
 毎日をせわしく過ごしていると、なかなか花を飾ることができません。
 自分のためにならなおさら。
 だからこそ、特別な日に花を贈りたいと思うのでしょうね。

 
 


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力量次第。

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 絵本を改めて読み直すようになって思うことは、物作りはそれに関わるひとたちの力量次第なのだと言うことです。
 子供向けの作品は、どこかの民話の再話がけっこうあります。
 前回紹介した『おなかの皮』も然り、『オテサーネク』などもそうですね。
 民話を元に話を作る人、挿絵を描く人、そしてさらにそれらを日本語訳するひとたち。
 全員の力がうまく合わさって初めて、素敵な作品が出来上がります。

 今回紹介するのは、『きょうは よいてんき』。
 ナニー・ホグロギアン 作  あしのあき 訳。
 ほるぷ出版。 

きょうはよいてんき/ナニー ホグロギアン
¥1,631
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 オレンジ色の狐と黄色を基調とした色使いも暖かな表紙です。
 キツネが見るからにごきげんで、リズミカルに四本の足を動かしているその音や、草花の匂いも感じ取れそうな、素敵な絵だと思います。
 アルメニアの民話を元に作られたのだそうで、『おなかのかわ』同様、出来事や登場人物が主人公の台詞の中にどんどん積み重ねられていく、繰り返し物語です。
 表紙をめくって見返し部分はうっそうとした森の中をキツネが進んでいくのがちらりと見えます。
 次に、見開き題字部分は真鍮のミルク壷を手に歩いている腰が曲がったおばあさんの絵。
 そして讃辞部分はキツネの後ろ足から尻尾にかけてのみと、黄色くいかにもかんかん照りな太陽。
 更にめくるとようやく話が始まります。
 この時、すでにキツネはへとへとの顔。
 なぜなら、良い天気を通り越して太陽の熱に焼かれたキツネはのどかとらからだったのです。
 そしてページをめくると薪拾いに夢中のお婆さんの後ろでキツネが壷を通してミルクをぺろぺろなめている図が。
 次の場面ではもうキツネの尻尾はお婆さんの手に。
 キツネは半泣きで見上げたものの、怒り心頭のお婆さんを前に小さくなるしかありません。
 仲閒に馬鹿にされるから尻尾を返してと泣きますが、ミルクを返してくれたらねと、にべももなく。
 さっそくキツネは牛に交渉開始。
「ねえうしさん・・・」
「きみがほしくさをくれたらね」
 次は原っぱへ飛んでいきます。
「ねえ、きれいなはらっぱさん」
「わたしに水をくれたらね」
 小川へ走っていき頼みますが、「水差しを持ってきたらね」。
 そしてきれいなむすめが水差しを持っていることに気が付きます。
「かわいいおじょうさん、ぼくにそのみずさしくださいな」
「青いガラス玉を持ってきたらあげるわ」
 更に進んで運良く行商を見つけ、営業トークを始めました。
「あそこにいるかわいいむすめさんにガラス玉をあげたらきっと喜びますよ」
 しかしキツネの物言いは逆効果で、ちょっと不快に感じたであろうその男は無愛想に首を振り、無料では出してくれません。
「たまごをもってきたらな」
 仕方ないので次はにわとりに頼みます。
 しかし、にわとりまでも「こむぎをもってきたら」と言う。
 なかなか物事がうまく運ばないことにだんだん不安と情けなさが募った狐は、粉ひきのおいじいさんをみると、おいおい泣き出しました。
 その説明台詞は出来事の積み重ねもあって今までで一番長いのですが、なんとなく半狂乱の風情です。
 その必死さに心優しいおじいさんは同情し、何も要求せず、だまって小麦を分けてくれました。
 あとは順繰りに巻き戻り、お婆さんへ辿り着きます。
 もう太陽が沈みかけている中、機嫌を直したおばあさんは笑みを浮かべて尻尾をきちんと縫い付けてくれ、キツネがそそくさと森へ逃げ帰る場面で終わります。
 この絵本の一番面白いところは、キツネが相手ごとに話し方を変えていることです。
 若い娘と行商には媚びた感じで、おじいさんに対してはもう身も世もない嘆きぶり。
 繰り返し説明する台詞ですが、相手を見て様変わりさせているという点がとくに、とても現実味を帯びて読む人に親近感を与えるのではないでしょうか。
 挿絵ともども狐がとても愛らしく、本棚に欲しい一冊です。
 翻訳本を読む時はいつも、これは原作の持ち味なのか、それとも訳者のアレンジが良いのかと迷います。
 面白い本に遭遇すれはなおさらのこと。
 今回はカルデコット賞を受賞している絵本であることと、他にも多くの絵本を翻訳されているあしのあきさんということで、両方の力が良い感じ合わさったのだと考えています。
 この本も読み聞かせに向いているのでは・・・と思ったのですが、実験台にした夫の感想は、開口一番、「しっぼをちょん切るなんて、なんて残酷な!!』でした。
 ・・・前回同様、ソコかい!!と内心突っ込んだのですが、感想も十人十色だからこそ本は面白いのだと思いますし・・・。
 ・・・まあいいか。

 機会がありましたら、是非、このキツネの悲喜劇をお楽しみ下さい。





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二次元ポケットなおなか。

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 昔話と絵本の中で、古典と言われるものにはパターンがありまして。
 出来事をどんどん台詞に重ねていくのが多くみられます。
 言葉の繰り返しを、子供と楽しむためにあるのかな・・・と思うのですが、どうでしょう。
 節回しもよいのが特徴です。
 特に、前に取り上げた『オテサーネク』のように、出会うものを片っ端から平らげていく話はその王道と言って良いでしょう。
 それらのなかで、いかに面白みがあるかによって、記憶に残る本となっていくのだと思います。
 挿絵しかり、文章しかりです。 

 あり得ないものをどんどん飲み込んでいく『ぺろり』絵本で、一番印象深いのがこれです。
 『おなかのかわ』。
 瀨田貞二さんが再話という形で文章を手がけ、村山知義さんが挿絵をされています。
 猫とオウムが互いに接待し合い、調子に乗った猫がオウムもろとも出会うものすべて平らげて、あとで懲らしめられる話。 

おなかのかわ (こどものともコレクション2009)/瀬田 貞二
¥840
Amazon.co.jp

 瀨田貞二さんの綴る言葉が、本当に面白くて。
 猫のお調子者ぶり、オウムの几帳面ぶりがとても良く現われているのです。
 「ところがねこはひどいけちんぼでした」
 ・・・その一言が、妙に笑いを誘います。
 そして、最後に猫のお腹から出てきたオウムの描写がまた面白くて。
 「だって、オウムは はじめからクッキーがふたつあれば十分だったのですからね」
 始まりはイソップのネコとツルの話に似ています。
 取り決めでネコが先に招くけど、ほんのちょっとしかごちそうをださなかった。
 しかし常識家のオウムは招くからにはどっさり料理を用意していた。
 それをブルドーザーのようにネコは平らげていくのです。
 このあたりは前に紹介した『おちゃのじかんにきた とら』に似ています。
 ただし、『おなかのかわ』のネコはどちらかというと育ちが悪く、すっかり平らげたにも関わらず文句を言います。 
 さすがに腹が立ったオウムは「もっと食べたいなら僕でも食べれば」と売り言葉を言ってしまいます。
 それをすかさずお買い上げのネコ。
 お言葉に甘えてオウムを丸呑みにしてしまいました。
 もうこうなると止まりません。
 ふくれたお腹を得意げに突き出して、出会うものすべてをぺろごっくん、ぺろごっくんと飲み込むのです。
 ・・・二次元ポケットなのか、このネコのお腹は。
 なんと、お腹の中の様子もおもしろおかしく描写してあるのでこれも必見です。
 しかし最後に飲み込んだ者からの反撃で、生きている者は全て出て行ってしまい、自分でお腹を縫うはめになったというオチです。
 とにかく、瀨田貞二さんの文章が大変素晴らしく、話のナンセンスさも楽しくなってしまいます。
 どの登場人物もイキイキとしていて、個性が光ります。
 そして、何よりも楽しいのが、 シンプルで絶妙な挿絵。
 緑の帽子を被っていてもどことなくリアルなネコの表情に、挿絵を担当された村山知義さんは猫を飼われていたのではないかと想像させられます。
 確か実家にあるはずですが、久々に読みたくなって図書館で借りてしまいました。

 ところでたしか、ネコがどんどん飲み込んでいく話はもう一つ心当たりがあります。
 それは、最後に月を飲み込んで、太陽を飲み込んで・・・でした。
 もしも私が児童文学を学ぶ大学生なら、ぺろりごっくん系の話を集めて卒論一本やるなあ・・・と、ちょっと想像してしまいました。
 七匹の子ヤギとか、赤ずきんもお仲間ですね。
 本当に多いのですよ、ぺろり系。

 ちなみに、夫のこの絵本を読んで聞かせた感想は、「ネコを悪者にするなんて!!」・・・でした。
 どうやらネコ馬鹿には不評のようで。
 なんだか憎めないヤツなので、これは面白くていいと思ったんだけどな・・・。

 文章は長めです。
 しかし、その長さを感じさせない、楽しいぺろり絵本です。

 

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