お待たせしました。

 『長い冬』についての続きです。

 北の豪雪地帯と言われる地域に住んでいる友人が幾人がいるのですが、皆さん、それぞれ今年の積雪にはずいぶんと悩まされているようです。
 しかし、旅行以外で福岡から出た事のない私には雪の凄さを理解できていないところが多々あります。
 確かに今はテレビがリアルタイムでその模様を伝えてはくれるけれど、それを解っているというのはおこがましいような。
 子供の頃はほとんどテレビなど見ていなかったので、雪のある暮らしというものを知る手段はやはり本でした。
 中でも、実体験を元に書き上げられた『大草原の小さな家シリーズ』は、アメリカの広さと自然の凄さを色々と想像して楽しむのに一番だったと思います。
 本当は順を追って紹介したいところですが、冬の間に是非とも紹介したいのが『長い冬』なので、これからいきましょう。

長い冬―ローラ物語〈1〉 (岩波少年文庫)/ローラ・インガルス・ワイルダー
¥840
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 ご存じの方も多いかと思いますが、このシリーズは主人公のローラ・インガルスを中心とした開拓者家族の物語です。
 働き者で良識家の開拓者である父チャールズと、開拓者の妻ながらどこか淑女前とした母キャロライン、そして少女期に猩紅熱で視力を失った聡明な姉メアリーと、大人しくて引っ込み思案な妹グレイス、最後にこの時はまだ幼女だった末妹グレイスの6人家族が、中西部を中心に土地を求めて移動し、サウスダコタ州のデ・スメットという土地にたどり着いたところから『長い冬』は始まります。
 この一家の泣き所は、六人の家計をチャールズひとりで支えねばならない点にありました。
 実は男児が授かった事もあったのですが、いくらも育たないうちに亡くし、男手は皆無。
 そこで、小柄ながら活発なローラが自ら買って出て、父の収穫を手伝ったり、町の仕立屋で下働きをしたりしてみるものの、それはほんの少し先を照らすろうそくの明かりのようなものだったと思います。
 そんな中、農作業中に父娘はジャコウネズミの巣を発見。
 長年自然を見て回った父が驚くほどの壁の厚さで、「今年の冬はきついぞ」と物憂げに漏らす。
 しかも、近くの沢に降りるはずの渡り鳥たちが休息なしに通り過ぎてしまったり、10月なのにブリザードが吹いたり。
 色々な土地を転々とし、多くの事を知っているインガルス夫妻ですが、寒気と風雪で草食動物たちが地面との間に氷で吸着されて息が出来ない状態になるのは、さすがに初めての体験でした。
 不安がますます加速していったところに、インディアンの長老が町に現われます。
 彼が言うには、七年おきに寒い冬がやってきて、とくに三度目の冬がもっとも厳しいと。
 今年はその21年目に当たるから気をつけねばならない。
 寒い冬はこれから七ヶ月続く、とも付け加えて去っていきます。
 居合わせた町の男たちは半信半疑でしたが、動物たちの異変を目の当たりにしているチャールズは、すぐに掘っ立て小屋に近い造りの農地の家から町へ住まいを変える事を決断します。
 その頃、デ・スメットの町は急速に発展していました。
 (私の勘違いでなければ、インガルス夫妻がデ・スメットの最初の入植者だと思います)
 いくつかの商店とホテル、教会、そして学校。
 キャロラインが教員経験者だったせいか、インガルス家は教育熱心ではありますが、チャールズの風来坊的性質が災いして一所に落ち着いた事がなく、子供たちは学校教育をきちんと受ける機会が少なく、独学に近い状態でした。
 そんな中、冬の間は町の学校へ通えるようになり、ローラとグレイスはそこで色々な人に出会う事になります。
 学校生活を楽しみ始めたのもつかの間、インディアンの予告通り、冬の厳しさはいっそう増していき、とうとう鉄道が通る事が出来なくなり、町全体が孤立状態となってしまいました。
 こういう時痛感するのは、農家である限り、男手があるか否かが生命線だという事です。
 町へ越冬移住した入植者たちの中で、一番物資の蓄えがないのはインガルス一家でした。
 収穫量が少ないので食料の蓄えもなく、金銭もなく、燃料もありません。
 それらを夫妻は知恵でなんとか乗り切ろうとし、ローラは一生懸命男子の代わりを務めようとしました。
 吹雪で閉じ込められている時は歌ったり学んだり手仕事をしたり、なるべく毎日を朗らかに過ごそうと皆で努力しましたが、町全体から食料が消えた時、限界を迎えます。
 インガルス家が一番危ないと気が付いたのは、隣家のワイルダー兄弟でした。
 ローヤルとアルマンゾは有能で裕福な若者で、この冬の中をのんびり毎日ホットケーキを焼き、それを好きなだけ食べて暮らせる余裕がありました。
 しかも、弟のアルマンゾは壁の中に来期のための種麦をこっそり備蓄していたのです。
 その隠し麦倉に気が付いたのはチャールズで、ある日、彼らしからぬ強引さで種麦を買い取ります。
 日頃インガルス氏を尊敬している兄弟はそこで初めて事態の深刻さを理解したように思います。
 実際インガルス氏の外見ははすっかりやせこけて、家から一歩も出ていない娘たちはとうとう飢えのために食欲がなくなる事態にまでなっていたのです。
 その頃、町ではこんな噂が飛び交っていました。
 町の東南に一人暮らしの男が町へ移住せず、自作農地で麦をたくさん抱えて越冬していると。
 アルマンゾは考えます。
 もしも、自分の麦を解放しても、この長い冬は越えられないと。
 麦を貰いに来た時にインガルス氏はそこへ自分が探しに行こうかと思うと漏らしていた事も、気になっていました。
 正直なところ、すっかりやせ細った彼に雪の中を旅する力はもうなく、自殺行為である事は目に見えています。
 そこでアルマンゾは、キャップ・ガーラントという若者の二人で麦を探しに行く事にしました。
 この時おそらくローラは13歳。
 アルマンゾは年譜で行くと10歳上の23歳で、キャップはローラと学友なので、おそらくまだ十代半ばと思われます。
 ちなみに、それは物凄い賭でした。
 誰もその男にあった事がないので正確な場所がはっきり解らないし、デ・スメットの町に小麦を売ったものがいないからあるはずだという曖昧な話なのです。
 しかし、アルマンゾとキャップはロフタスという商店主に交渉して金を預かり、吹雪の中の大草原へ馬を繰り出しました。
 本当にこれは自殺行為だと思うのですが、天は彼らに味方し、なんとかその農場へたどり着かせ交渉の末に、無事に小麦を持ち帰る事に成功したのには、読んでいて驚いたものです。
 ほぼ勘で農場を目指し、途中で遭難しかけ、凍傷になりかけながら、12石もの小麦を町に届けました。
 
 しかも、結末が格好良すぎます。
 翌日、出資者のロフタスが買い取った小麦を二倍三倍の値段で売りに出し、町中の人たちの反感を買います。
 売り手の権利を譲らないロフタスの態度に暴動が起きかねない状態になった時、インガルス氏が仲裁に入りました。
 「若者二人が今回の報酬を請求していたなら、私はこの値段に文句は言わない。しかし彼らの手元に金は一切入っていないだろう」と。
 二人に払うつもりでいたのに断られたんだと反論すると、アルマンゾとキャップは金が欲しいから行ったわけではないと冷たく返し、最後に折れたロフタスは一切の利益を放棄し、結局インガルス氏の仕切りで元値支払いでそれぞれの食料事情に応じた配分制に決まります。
 よその家はジャガイモなりなんなり代替品があったようですが、本当にまったく食料のないインガルス家が一番小麦を買い取った事になるのではと、この時思いましたがどうでしょう。
 アルマンゾは一粒も買わず、そばにいたインガルス氏がとりあえず4斗買ったものの、すでにその小麦を普通の男がひょいと肩にあげる動作が出来ないほど弱っている事に気が付いた彼は、「これは骨の折れる動作ですよね」と横から手を貸し、男のプライドを慮ってさりげなくその場を辞しています。
 ・・・最後の最後まで格好良いアルマンゾは、言うまでもなく・・・。
 ローラの未来の夫です。
 まだ先の巻のネタバレはどうかとも思ったのですが、そもそも作者名で解る事なので・・・。
 夫をこれほど格好良く描いてしまったあたり、ローラの愛の深さが見えますね。

 いつまでもいつまでも長く厳しい冬が続き、さすがのインガルス氏の忍耐も切れる頃、ようやくロッキーおろしが吹きます。
 夜中それは吹き続け、次の朝にはなんと町から雪がなくなりました。
 冬の終わりです。
 時は五月。
 ようやく鉄道が通り、彼らの元に届いたのは親しいものたちから贈られたクリスマスの樽でした。
 一気に春めいたなか、家族でクリスマスのごちそうを食べ、再会した友人たちと無事を祝って物語は終わります。


 「長い冬」の冬も長いけれど、私の解説も、ものすごーく長かったですね。
 これでもかなりはしょりましたが、興味を持って頂けたらうれしいです。





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由緒正しき食材。

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 福岡には遺跡が多数あります。
 そもそも本州に比べればアジア圏との行き来がし易い場所の上に、住みやすい気候と地形だからでしょう。
 掘ればなにがしかが出てくる、という状態なのだと思います。

 その中でも多いのが、貝塚。
 博多湾は物凄くアサリ貝が育ちやすい地形なのかなと思います。
 なので・・・。
 この季節から大潮の日には貝掘りをする人々の姿がちらほらと見えるようになります。
 その中の一人が私の母です。
 彼女は幼少期を長崎方面の海沿いの町で過ごしたので、貝掘りに対する執念は一言で言い表せないほどすさまじい・・・。
 もちろん伯母も同じで、こちらに遊びに来た時に貝掘りがセットになる事が多々あります。
 三つ子の魂なのか、DNAがそうさせるのか、とにかくこの二人はアサリ貝シーズンなら暇さえあれば掘っています。
 そんなわけで、今年初のアサリ貝が我が家へやってきました。

 ・・・まだ二月の浜辺が寒くないかなんて、愚問です。
 (水が冷たいにに決まってるだろう!!と、夫が悲鳴を上げました)
 熱いハートさえあれば二月の海も何のその。

 こういう時、自分よりも母の方がずっと長生きするだろうとしみじみ思います。
 でも、いつまでも親が元気いっぱいで健康であるというのはありがたい事です。
 この勢いをずーっとキープして下さいとこっそり祈る私はインドア派・・・。

 で。
 例によって仕事ついでに父が最寄りの駅までその初物を運んできてくれました。
 アサリ貝二キロ。
 プラス海水1リットル。
 ついでに柚とふきのとうを少々。

 ・・・ありがたいけれど、ものごっっつ重かった。
 しかし、貰う立場ですから、ごにょごにょ・・・。

 持ち帰ったそれを洗い桶に広げて、海水を入れてみたら1センチくらい上のひたひた状態だったのですが・・・。
 数分後には全部吸い上げられて海水がない状態でした。
 なんでも、移動中はちょっと貝が緊張して体内に海水があまり含まれない状態だそうで、海水を補充して静かな暗い所に置いてあげると海水を思いっきり吸うのだそうです。
 もちろん、水に浸していないと砂を吐き出してくれないので、潮水を足す必要があります。
 母が言うにはそもそも人工的に作った潮水よりも、本当の海水の方が活き活きと潮を吹いてくれるのだそうで、だからこその海水1リットルを父に持たせたのだそう。
 ・・・ご苦労様でした、父よ。
 話を戻しますが潮水の足りない分はもちろんすぐ作ります。
 私はブリタで濾過した水1リットルに対し30グラムの塩を溶くのですが、これが一番ちょうど良い濃度のような気がします。
 水道水を直接使うと、時々うまくいかない事があるので水には気を遣う方かな・・・・。


太陽の東、それから月の西。-アサリ貝


 それにしても、見て下さい、この潮吹きっぷり。
 うれしいけれど、ちょっと、ち、ちょっと・・・。
 怖いです。
 獣と鳥以外の生物が苦手なので、ちょっと・・・。


太陽の東、それから月の西。-アサリの水煮


 それから、水煮したものを容器に詰め、三日間は貝汁祭りでした。
 夫はアサリ貝は好きなので、この期間はご機嫌でした。
 ・・・両親に感謝。

 とはいえ、口は二つしかないのに二キロは三日かけても食べきれません。
 私が小出しにしすぎるのか、そもそも小食だからなのかわかりませんが、とにかく1キロ分くらい残りました。
 なので、それらはむき身にして冷凍。
 汁ももちろんジップロックに入れて平たくして冷凍・・・。
 そうしたら、冷凍庫がぱんぱんになりました。
 ああ、なんてこと。
 まずいわ、生協の配達が目前なのに。

 そんなわけで、今夜はおでんです。
 冷凍庫で一番場所をとっていた手羽を使い切って作りました。
 ついでにがんもとか、きんちゃくとか・・・小物がはけて満足です。
 ・・・しかし、あまり空間が出来なかったのは何故だろう。

 なんでも冷凍庫に依存するのを辞めたいこの頃です。





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 すでに一週間前の事ですが、福岡にも雪が降り、久々に積もりました。

 私の子供の頃は12月初旬に必ず一度は積もったりしていたように記憶しているけれど、どうだったか・・・。
 ちょうど夫の実家へ行こうと支度している間にみるみる積もっていったので、慌てました。
 都市高速はもちろんストップ。
 そうなると普通道が渋滞するのですよね・・・。
 以前、関東地区出身の友人が福岡の雪に対する弱さに驚いていたのを覚えています。
 ・・・多分、積雪は考慮しないで設計していると思うのですよね・・・、あの高架・・・。
 スリップしたら真っ逆さまですから・・・。
 さて、車の中から撮った雪景色をせっかくだから記念に残します(笑)。
 北海道の友人か見たらきっと笑うでしょうけれど、これくらいの雪でも福岡では事件なのです!!

 
太陽の東、それから月の西。-ゆきのひ2


 土曜日の午後に降り続いて、気温が低いままだった翌日までそれなりに残っていました。
 ミニミニ雪だるまくらいなら作れたかもしれません。

 ・・・その代わり、今日、車を見たら物凄く汚れていました。
 夕方に買い出しに出た折に、出先の駐車場で夫が隣に駐車していた黒い車を見て、『うわ、この車凄く汚いな!!もしかして雪の日に止めてそのままなのかな!!』と叫んでいましたが、降りて自分の車をまじまじと見たらそんなに変わりませんでした。
 要は、目立つ色の車かそうでない車かの差だったようで・・・。
 来週末くらいには洗車しないとね・・・。







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