火葬場にて。 | 独り旅のススメ

火葬場にて。

マニカルニカ・ガート


その名は、バラナシを目指す者が避けては通れない。
今日は火葬場の話を。

私もこのガートのことは充分に予習をして臨んだ。
なんせここインドでの『死』は、私たちには想像もできない形で送られるのだから。
インドの人々は墓を持たない。
『生』を全うした者は、鮮やかな布でぐるぐる巻かれ、ここガンガーに担ぎ込まれる。そして、ガンガーの聖なる水に浸されたあと、煌煌と燃え上がる炎のに包まれて灰となり、ガンガーへと帰ってゆく・・・。
もって生まれた業を全うし、形を残さず回帰し、また新たに生を受けるのを待つ、というのであろうか?
マニカルニカガートはさすがヒンドゥー教の聖地なだけに、次々と運び込まれる遺体と遺族、火葬職人、そして各国からその異文化を一目見ようと集まった観光客とでごった返す。

2・3時間かけて灰になる間、職人たちは見守る遺族にはお構いなしで、薪の中をぐりぐり棒でかき回す。火の通りを良くするためのその作業は、かなりリアルに我々に肉体の消滅を見せつける。
その異様なまでに赤裸々な火葬のシーンをよそに、すぐ隣のガートでは子供たちが無邪気に水遊びをしている。

ここでは、争い事も多いという。 インド各地から死を悟ってやってくる人々の中には薪代が払えなくて火葬してもらえない貧しい人たちもいる。その人々が観光客に薪代をせびったり、写真撮影が禁止されているのを知らずにカメラを向けた観光客に莫大な罰金を課せたり。
頼みもしないガイドをして、これまた膨大なバクシー(喜捨)をねだったり。
数あるガートの中でも、ここだけは特別危険である、とか。

ここまでが私の日本での予習。
果たして実像は・・・?  続。