ごめんなさいアリョーシャ 1986.3.6 | ギンレイの映画とか

ギンレイの映画とか

 ギンレイ以外も

 どこにも自分勝手な男はいるもので、インカに子供を生ませた男は、いわゆるプレイボーイみたいで、現に友人のアリョーシャがはるばる彼を探し当て、会いに行った先でも幾人かの女性と一緒にいるところだった。

 

 アリョーシャがインカと彼女の子どもと関わりを持つことになった経緯が面白い。倒れている女性を病院に連れて行ったら、妊娠していた。となると連れていった男(アリョーシャ)は、当然ながら父親であるとみなされる。違うから否定する。でも信じてもらえない。そうこうするうちに、夜も更け、疲れて寝入ってしまう。

 

アリョーシャを演ずる人が、いかにも若く学生っぽいのでよけい哀れに思えてしまう。調べに来た係官がかなりしつこく、かつ先入観を持った上で調べているのだから、いっそ逃げてしまえばいいのに、と思うでしょ。ところが彼、きっと良い子なんだろうね。今時こんな純な子っているのかな。でも、この後の彼の行動といったら、すごい。八面六臂の活躍を見よ!

 

彼のとても素直な正義感がとても好ましいものに思えてくる。でも、それをあえて声高に訴えることはなくて、何か信念の下でやっているようだ。アリョーシャの家族が出て来るのだけれど、彼らのそれぞれの反応が違っていて面白い。姉の騒ぎようと、父親の動じない様子の対比が実に面白く良い。姉がくどくどと連れて来た赤ん坊を返せ、と言うのに対し、父の言うことはとても鷹揚だ。

 

これはアリョーシャに良いところが遺伝しているな、と思った。物事の解決は、大抵、時がしてくれるものだし、何とかなっていくものです。それにしても、人為的に何かをしていかなければ、良い方向には事態は親展しないことも又事実である。人事を尽くして天命を待つ、ということです。

 

結局のところ、アリョーシャの心からの行動がインカを動かした。父親が誰であれ、母は他ならぬ自分(インカ)なのであるから。それにしても、アリョーシャのような青年って本当にいるのかな。一見頼りなく見えて、でも芯はしっかりしている、正義感がある。いなさそうに思えて、案外いるようにも思える。又いなくちゃいけないよ。いい加減なことは許さない、という毅然とした態度は大切なことだと思う。僕も彼のようにしたいけど無理だろうな。

 

監督 イスクラ・バービッチ

出演 イゴール・マリチェフ、オルガ・コチェトコワ、フョードル・スホフ、ウラジミール・アンドレーエフ

1984年