今は、ベトナム中部のフエという都市にいます。

ハノイからバスに13時間乗り、やっとたどり着きました。


ここは阮朝(19世紀ころ)の都で、町並みと郊外のいくつかの遺跡が、UNESCO認定の世界遺産です。


早速、阮朝の王宮跡に足を運びました。


中国の影響が大きかったせいか、この王宮は、北京の紫禁城を思わせる造りです。

ただし、紫禁城に比べるとはるかに小さい。


阮朝の面影を探しにいったが、意外にも違う印象を受けて帰ってきました。


中を歩いているうちに、王宮内の壁がひどく汚いことに気づいた。

近くに行って見てみると、無数の穴がある。

弾痕だ。


フエは、冷戦中の南北境界線のすぐ南に位置し、ベトナム戦争の要衝だった。

1966年のフエの攻防は、ベトナム戦争でもっとも激しい戦いのひとつだった。

歴史の教科書に出てくる、いわゆるテト攻勢

ホーチミン率いるベトナム解放戦線は、ここを数日間制覇したが、

アメリカが空爆を開始し、北ベトナム軍は大きな打撃を受けた。


ここの王宮の建物の多くは、米軍の容赦なき空爆によって破壊され、

芝生の中に、その瓦礫がむなしく残っている。

壁には、無数の弾痕が残っている。


ベトナムの独立国家であった阮朝の王宮内に、時代は違うが、米軍が残した傷跡を見るのは

いかにも皮肉な感じがした。


この王宮の隣に、ベトナム最高のフラッグタワーが聳え立つ。

真っ赤な背景に黄色い星を載せたベトナム国旗が高々と風になびく。

フランスや日本の植民地支配、ベトナム戦争といった数々の困難を乗り越え、

過去に縛られることなく、毎日を必死に生きているベトナム人の象徴のように感じた。



明日はホイアンという町に行きます。