「俺みたいな人ってなあに?顔が?性格が?」


「うーん、、、両方、ですかね。」


そう言ってしまった手前、上手い具合に話を繋がなければならない。やっぱり言わなければよかったと、内心焦りっぱなしだ。


「へぇ。そんな人いるんだ。」


「まぁ、」


「…告白しないの?」


「えっと、、まぁ、、ゆくゆくは?」


「お、いいじゃん。相談ならいつでも乗るよ。」


「恋愛経験ないのに?」


「ふはっ、言うねぇ!」


…なんとか乗り切った、と思う。

ワークを全て運び終えたあと、櫻井先生は「はい、お礼。」と僕にお菓子をくれた。といっても、個包装になっているチョコレートだけど。


なんだか、櫻井先生の恋愛事情まで聞けてしまって、僕ってば本当に順調に距離を縮められてるんだな。




ーーー




S side


今世の潤は、「俺みたいな人」が好きらしい。
そんな人間存在するのかと思ったけど、ただ単に誇張して例えているだけっていう可能性も十分ある。


…今世の潤に未練がないのかと聞かれれば、答えは断然NOだ。俺が愛していたのは紛れもなく前世の潤だけど、でも、自分のすぐ傍にその愛した奴と同じ名前で同じ顔の奴がいるなら、どうしても重ね合わせてしまう。


けれど、今世の潤には今世の潤の人生がある。道がある。普通に結婚して幸せな家庭を築いてほしいというのが願いだ。


なのに、潤ったらやけに熱心なのが厄介だ。前世の彼の中学校での様子を知らないから分からないけど、前世でもこんな質問たくさんしてたのかな。めっちゃ熱心で良い生徒じゃん。
そう。なせだか分からないけれど他の生徒よりも確実に距離が縮まっている。彼が質問してくるというその行動だけで。だから俺も、どうしても情が移ってしまって。潤に対しては甘くなってしまう。彼が俺のことを気に入っているのは確かだ。


だからつい手伝いをお願いしてしまった。そして色々と深い話をしてしまった。
「恋人いないんですか?」って聞かれた時には流石に焦ったけれど、なんとか乗り切った。それっぽい言葉ばかりを並べて、潤もその話をしっかり信じてくれたようだし。

でも、、本当のことではあるよな。だって俺が愛した前世の潤には、もう二度と会えないんだから。これは事実だ。










「失礼します。3年2組松本潤です。櫻井先生に用事があってきましたぁ。」


ある日の放課後。コンコンコンと職員室にノックをして入ってきた潤は、俺の方を見ながら声高らかに言った。


「どうぞ。」


にこやかに返事をすると、潤は嬉しそうにこちらに早足でやってくる。


「どした?」


「あの、ちょっとお願いがありまして、、」


「ん?」


「放課後、マンツーマンで授業してくれませんか?」


「え?」


というのも、そろそろ考査の2週間前だ。テストでいい点数を取るためにこうしてお願いに来たのだろう。


「んーーー、いつがいい?」


「えっ、いいんですか?」


「もちろん。可愛い生徒の頼みだからね。」


「え、あ、じゃああの、今週の金曜日か、来週の月曜日か、、、」


「じゃあ金曜日。場所は?教室でいい?」


「はい、、!ありがとうございます!」


ぶん!と勢いよく腰を折ってから「失礼しました!」と職員室から出ていった。すかさず俺は手帳に予定を追加する。


ほんっと、熱心なことで。他の教科の先生にもお願いしてるのだろうか。それとも、