・あおたんさんが企画取り纏めをして下さっている、「大野智☆誕生祭」に参加させて頂いてます(*´ω`*)
まずはあおたんさんに大きな感謝を♡
(いやまじで翔潤担の私がほんとにもう…うああああ!!!←発狂するな)
・記念日話には「舞賀家シリーズ」が最も使いやすいので、今回も舞賀家のお話←
・一郎さんとごろくんメイン、1話完結です
・相変わらずじろさん節全開笑笑
・特に読まなくても大丈夫っちゃあ大丈夫ですが、もしかしたら読んでおいた方がいいかも知れない、今までの「舞賀家シリーズ」はこちら↓(なんやねん)
では、どぞー♡
五郎 side
「いち…?入るよ?」
ホットミルクの入ったマグカップを片手に、いちのアトリエの扉をノックする。
うちには、絵を描くのが大好きないちのために、いち専用のアトリエがあるのだ。
絵を描くのが好きすぎて、この前は旅にも出ていた。
「んー、」
そう小さく声が聞こえて、ゆっくりと扉を開ける。
扉を開けると目に入るのは、部屋中に置かれているキャンバス。
そして、独特な絵の具の匂いが鼻腔をくすぐる。
辺りには絵筆や絵の具が散乱していて、家の中でここだけはまるで別世界だ。
「どしたー?」
こちらには目も向けず、つなぎ姿のいちはキャンバスと睨めっこ。
時々手を動かして、、、油絵具だろうか。
ひとつの作品を描いているところだ。
絵の具まみれのつなぎ、いちの頬には絵の具。
それから、、、
「目の下、クマ出来てる。一昨日も寝てないのに、まさか昨日も寝てないの?」
「まあな。ふふ、なんだ、お説教?」
ふにゃりと微笑を浮かべるも、明らかに疲れているのがバレバレ。
「説教ではないけど、、、、笑っても誤魔化せないよ。いくら好きな事をするために寝てないとはいえ、疲れてるでしょ。」
「別にだいじょーぶ。」
「いちが大丈夫でも、俺が…俺らが大丈夫じゃない。いち1人の身体じゃないんだから、寝不足で倒れるとかやめてよね。」
「はは、、ごめんって。」
乾いた笑い声をあげて、持っていた絵筆を近くのテーブルに置いた。
「はい、これホットミルク。ちょっとは休憩ね。」
「ありがと。」
絵の具のついている手が、マグカップを受け取った。
「…今はどんな絵を描いてるの?」
「あー、うん。ごろが見ても分かんないんじゃない?」
ちら、とキャンバスを覗くと、、、
なんだろう…。
抽象画ってのは分かる。
でも、何をイメージしたんだろう。
「……。」
やっぱ絵って難しいな。
「んふふ、分かんないでしょ。」
絵を見て固まる俺を見て、いちが笑いながら言った。
「完成したら見せてやるよ。
…あ、そうだ、今度絵のモデルお願いしていい?」
「モデル?いいけど。」
「ヌードだけど、」
「ヌードっ!?!?」
「、、、え?」
明らかに俺といちの声ではない声が、扉の方から響いた。
「バカっ!声がでかい!聞こえるでしょうが!!」
「なんだよ!だってヌードだぞ!これは明らかに兄さんから五郎へのセクハラだろ!」
「兄弟にセクハラもくそも関係ないでしょうが!」
「、、、」
「…んふふ。」
思わず顔を見合わせた。
じろにぃだけかと思ったら、どうやらしろも居るようだ。
「……ちょっと、じろにぃとしろ!何してんの?盗み聞き?」
扉を勢いよく開けると、扉に耳をつけてもたれかかっていたのか、じろにぃがこちらに倒れ込んできた。
「っわ、!」
「…あちゃー。」
「いってー!!!!」
俺の足元に踞るじろにぃ。
思わずため息が漏れた。
「あはは、何してるのさ。」
「だってぇー。」
ムスッと唇を尖らせながら、立ち上がったじろにぃ。
シュンとして肩がさらに矢印に…なってないか。
元々が矢印過ぎて違いなんか分かんないよね←
「五郎がホットミルク持って兄さんのアトリエ入ってくから。一体どんな密会をしているのかと、、、」
「密会…。」
「そんな変なことしてないけど。」
「…しろは?」
「俺は…じろさんが気持ち悪い顔しながらここの扉に片耳を押し付けてるから、一体何事かと聞いたら…いちさんとごろくんが密会してるって言うから、つい、、、」
はぁ…呆れる。
じろにぃってば毎回こうだよね。
何でもかんでも変なことに結びつけてさぁ…ホント、変態みたい。
「…いちがアトリエに篭もりっぱなしだから。休憩にホットミルクを持ってきただけだよ。」
「ホットミルクって…五郎の出したてホカホカ?
あ、忘れてたけど、、、兄さん!!」
「んー?」
「なんだよヌードって!」
「ふふ、ヌードって言っても流石に局部は隠してもらうよ。」
「…それ以外は?」
「…出てるけど。」
「ずるい!」
「なんだよずるいって!」
カーッと耳まで熱くなるのが分かる。
「俺も同席していい!?」
「どーぞ!!」
「よっしゃあああああああああ!!!」
いちとじろにぃが、ガシッと力強い握手を交わした。
「…やっぱ俺、辞退しようかな。」
「なっ、、」
「…じろにぃに見られるのは、、、ねぇ、」
もう舐め回すように俺を見続けて、きっと鼻息荒くして、これ以上ないほどニヤニヤするに違いない。
「…うちのごろくんに変なことしたら、いくらいちさんとじろにぃでも許しませんからね。」
自然としろが俺の腰に腕を回した。
「だーかーらー!なんだよ、"うちの"って!」
「あー、うるさいうるさい。さぶさんみたいなキンキン声、出さないでください。」
「、、、、、(ムスーッ)」
「俺も混ぜろー。」
いちが立ち上がって、俺の腕に腕を絡めた。
「わ、いちまで、、」
「……そーだ、、、ごろくんって、、、」
しろが思い出したように口を開く。
「ごろくんって、兄弟の中でいちさんだけ呼び捨てですよね。ま、俺は双子だから置いといて。」
「…あ、確かに、そう言われてみれば。」
「えー、あぁ、、、まぁ、、、」
「んふふ、知りたい?」
「え?」
「なんで俺の事だけ呼び捨てなのか。」
「ちゃんと理由あるんですか?」
「まーね。」
「いや、いいよ、、、」
「それはねぇ…、」
あーあ、、、もう止めても無駄だ。
ちょっと…いやかなり恥ずかしいから、出来れば話されたくないんだけど…。
ーーー
一郎 side
しろは置いといて…兄を「じろにぃ」、「さぶにぃ」、って呼ぶごろ。
俺だけ「いちにぃ」じゃなくて、「いち」って呼んでる理由。
これ、マジで可愛いからな。
…4歳差の俺とごろ。
ごろが8歳、俺が12歳の時…。
………
「い、ちにぃ、、、」
「んー?どした?」
当時の俺が真面目に机に向かって勉強していたら、ごろがグズグズと鼻をならしながら来た。
「ぼく、、だけ、、、っ、」
今にも涙がこぼれそうなぐらいに目をうるうるにさせて、上目遣いで見つめてくるその姿は、じろだったら気絶確定もの。
「、、、どしたどした。」
何事かと思い、焦って手を止め、椅子から降りてごろの視線に合わせてしゃがんだ。
「、、っひぐ、、っ、あ、、ぅ、わああああーーーん!!!、」
大粒の涙が頬を伝っていく。
「えっ、えっ、」
急に泣き出す弟を目の前にして焦る俺。
えっ、どうしよ。
「どうしたごろ。大丈夫か?なんか怖いことでもあった?」
優しく抱きしめて、背中をさすってあげる。
ひぐっ、ひぐっと嗚咽を漏らしながら泣く我が弟、小学2年生。
…2年生でも、、、まだ泣くことはあるか。
「、ううっ、、、う、」
「どうしたの、ごろ。流石の俺でも言ってくれないと分からないよ。」
「ぼ、っ、、ぅうっ、、くだけ、、」
「、、、僕だけ?」
「なんでっ、、ひぐっ、、、っ、ぅ、、っ、ぼく、だけ、おとーと、、、いないの、?」
「……。」
一瞬固まる俺。
理解に少しの時間を要した。
…なるほど、そーゆーことね。
当たり前だけど、俺とじろ、さぶ、しろには弟がいる。
でも…末っ子のごろには兄だけで、弟がいない。
「ぼ、くも、おとうと、ほ、し、、っ、い、、ぅ、わぁぁぁぁああああん、っ、!!!!!」
「んふふ…落ち着けごろ。」
思わず頬が緩む。
いや、ごろは真剣なんだろうけど…なんでまた急に弟なんて、、、ね。
可愛いなぁ、んもう。
「そうだよな、ごろ。弟欲しいよな。」
「っ、ひぐっ、、ん、、」
俺の言葉に、こくりと小さく頷いた。
「じゃあさ、、、」
ごろの両肩を掴み、俺と視線を合わせる。
「ごろは弟欲しいんだろ?
、、、俺もさ、丁度お兄ちゃん欲しかったんだよ。俺、1番年上だからお兄ちゃんいないだろ?だから、ごろが俺のお兄ちゃんになってくれない?」
「、、ん、ふえっ、、、?」
「俺なんかよりごろの方がしっかり者で、よっぽどお兄ちゃんっぽいし。な?」
「、、い、ちにぃ、、、っ、?、、」
「あー、俺はごろの弟だから、"にぃ"って付けたらダメだよ。"いち"って呼びな?」
「…っ、ん、、、い、ち、」
「んふふ、そうそう。」
「、いち、、、おとうと、?」
「そ。俺はごろの弟。」
「いち、、、いちぃーーー!」
さっきとは打って変わって満面の笑みを浮かべ、俺にギューッとしがみついてきた。
良かった、機嫌は取り戻せたようだ。
…一体なんで急にこんなことを言い出したかは分からないが、、、
「いち、ぼくの弟。」
誇らしげにニマニマと笑っているその顔の目尻に浮かぶ涙を、そっと指で拭ってやった。
…その後。
「いち!ぼくの弟!」
「いちは、ぼくの、弟!」
「いちー!!!」
兄弟達に俺が弟だってことを言いふらし(本当は違うからな?)、俺の事を弟同然のように扱うごろ。
その愛らしさに、人知れず頭を抱えたのだった。
………
「ってことがあって、そのまま今も"いち"って呼ばれてる。」
「ごろくん、可愛すぎる。」
「うぐっ、そんな話があったとは、、、またひとつ、五郎のことを知ってしまっ、」
「あっ。」
「倒れた倒れた。」
「…どうせ萌え死でしょ。」
説明しよう!
萌え死とは、ブラコンすぎる二郎(五郎推し)が、五郎(兄弟)の可愛い話を聞き、萌えすぎて鼻血を出して倒れてしまうことである!
「にしても…そんな話があったとはねぇ、、、」
「マジで恥ずいんだけど。」
「いいじゃん、可愛いんだから。」
「そういう問題じゃないんだよ…。」
むすーっと、頬を膨らませる。
だから、そういうのだって。
ホント…無自覚。
「あ、じろが倒れてる間にごろの絵描いていい?」
「えっ?いま?」
「だってじろがいない方がいいんだろ?」
「まぁ、、、うん、」
「…俺は同席したらダメなんですかね。」
「しろは別にいいけど。」
「、なんだよその違いっ!!!!」
「うっわ、生き返った。」
「え、おいっ。"うっわ"って酷くね?ねぇ、ねぇ。」
「……ふふ、、」
揉み合いになっているじろとしろを横目に、再び筆をキャンバスに滑らせる。(明らかにじろが一方的に仕掛けた)
「ただいまーーー!!!」
ふと、玄関の方から聞き慣れた声がする。
「あ、さぶにぃ帰ってきた。」
さぶは急遽バイト先に呼ばれて出かけていたのだ。
「、、んー?みんななにしてんの?」
アトリエの開いた扉を見つけたのだろう、チラリと覗いてきた。
「おかえりさぶにぃ。」
「ごろちゃんただいまー。」
語尾にハートマークがつきそうな勢いで、ごろのことをギューッと抱きしめる。
「痛い痛い。」
加減のできない馬鹿力…そりゃ痛いだろう。
「…あ、絵の具、、、さて、ごろの話も終わったし…ごろ、出掛けるか。」
「えっ?」
「絵の具無くなったし…買いに行かないと。…今日の晩飯は決まったのか?」
「いや、、、これからスーパーに行って決めようと…。」
「じゃ、俺も行く。」
「あっ、うん。待って、準備してくる。」
アトリエから風のようにいなくなるごろに、目をぱちくりさせる他の3人。
「俺も行く!」
「2人で結構。」
「…(ガーン)」
「ま、仕方ないんじゃないですか?ごろくんって、あんまりじろさんと一緒に買い物に行くこと好んでないですし。」
「……え?」
あ、、、言っちゃったよ。
うん、確かにしろの言う通り。
ごろ曰く、"一緒に行ったら要らないものまで買わされるから"、だそう。
「いちー?行こ。」
準備を整えたごろが、アトリエを覗く。
「ね、五郎。ちょっと聞きたいことが、、、」
俺が返事をする代わりに、ごろに質問しようとしたじろ。
「ん?」
「あのさ、、、俺と買いも」
「よし、ごろ行くぞ。」
「え?あ、ちょ、、、」
じろから逃げるようにごろの腕を強く引いて、家を出た。
ーーー
「あらー、あの2人兄弟かしら。」
「2人ともかっこいいわね。
弟…?くんの方は、つなぎ着て絵の具だらけ。絵を描くのが好きなのかしら。」
スーパーでごろと並んで歩いてると、おばちゃん達がこちらを見ながらヒソヒソと話しているのが嫌でも目に入ってくる。
しかも…俺が兄なんだけどなぁ。
明らかに身長で判断されてる。
まぁ、、、でも、
「………ごろにぃ、、、か。」
「、、、ん?なんか言った?」
「…いや、なんでもない。」
あの日、幼きごろと約束したんだ。
ごろが俺の、"お兄ちゃん"だって。
終
え…終わったけど、せっかくのリーダーの誕生日。
こんなんで大丈夫なのかしら…(滝汗)
とっ、とにかく、みなさんお付き合い頂きありがとうございましたっ____○_(土下寝)