きました。
久しぶりの舞賀家シリーズ
昨日の深夜テンションで書いた悲しいお話です。
(バッドエンドとか、そういうんじゃなくて。)
文字数足りなかったんで、2話構成となってます。
(15:00 1話目アップ。 15:15 2話目アップ。
って感じ。)
お話で取り扱うとあることに大して、もしかしたら、不快な思いをされる方。
嫌なことを思い出してしまう方がいるかもしれません。
無理だ、読めない。
となったら、遠慮なく閲覧をお控えください。
あと、このお話を書くために、詳しい年齢を表記しなければならないので、勝手に考えたやつのっけときます←
(現在の年齢)
舞賀 一郎→23
舞賀 二郎→21
舞賀 三郎→20
舞賀 四郎、五郎→19
いちろーさんメインのお話。
一郎 side
かーさんととーさんは、とても仲睦まじい夫婦だった。
子供の俺にでも分かった。
仕事に行くとーさんのネクタイを、毎日選んでしめてあげるかーさん。
「自分で出来るって。」
「いいのよ、これぐらい。」
とーさんが呆れたように毎日言うも、顔はニマニマと笑っていて嬉しそうで。
かーさんもかーさんで、毎日幸せそうにしていた。
いいな。
俺も誰かと結婚したら、とーさんとかーさんのような夫婦になりたいな。
既に4人の弟がいた長男の俺。
6歳ながら、そう思ったんだ。
…かーさんは、いつもニコニコしていて、周りには花が舞っているんじゃないかって、感じのフワフワとした雰囲気の人だった。
弟ができるまでの2年間。
その間は、俺に1人に抱えきれない程、とってもたくさんの愛情を注がれたと思う。
誰が見ても分かるほど、幸せに暮らしていた。
ーーー
つい昨年だ。
かーさんが、この世を旅立ったのは。
あまりにも突然だった。
とーさんは単身赴任で、かーさんと男5人で暮らす日々。
当時は最近、よく頭痛がすると言っていた。
心配だったけど、どうせすぐ治る。
そういう風に考えていた。
それは弟達も同じで。
ごろが唯一、頭痛薬をそっとかーさんに渡していたけだけ。
そしたら、予想通りに頭痛は治ったんだ。
「五郎の頭痛薬のおかげね。」
なんてかーさんは嬉しそうに言っていた。
丁度反抗期真っ只中で、見た目からグレ始めていたごろから、頭痛薬を貰えたのがよっぽど嬉しかったのだろうか。
長い髪に金メッシュを入れたごろは、
「別に、、、安売りだったから、買ってきてあげただけだし。」
って、照れくさそうにしている反抗期の末っ子を見るのは、兄4人にとっても、かーさんから見ても、とっても微笑ましいもので。
こんな生活が幸せで、これからもずっと続いていくって、疑いもしなかった。
ーーー
でも、次の日に、かーさんが倒れた。
いつものように、かーさんはキッチンで鼻歌を歌いながら料理をしてたんだ。
俺はリビングで釣りの情報雑誌を読みながら、それに小さく合いの手を入れていて。
「ちょっとなによー。」
って、かーさんと笑いあって。
ふと、鼻歌が止まって、大きな物音がしたと思ったら、いびきをかきはじめた。
「かーさん?なんでいびきなんて、、」
笑いながらキッチンの方を見たら、かーさんの立ち姿はそこに無くて、急いでソファーから立ち上がって見てみたら、キッチンの床で、いびきをかきながら倒れているかーさん。
「え、」
思わず顔がヒクヒクと痙攣した。
どゆこと、、、?
「、、かーさんっ、、、?かーさんっ、、!?!」
よく分からなくて。
混乱していて。
肩を力強く揺すって、かーさんを呼び続けた。
そしたら、タイミング良く、ごろが学校から帰って来た。
反抗期中のごろは、いつもなら、すぐに自分の部屋にこもってしまうけど、今日は俺の叫ぶようなかーさんを呼ぶ声を聞いて、走ってこちらにきた。
「っ、なにして、、?」
カバンを片手に持ったごろが、ただならぬ気配を感じて、俺らを見下ろす。
「かーさん、、かーさんがっ、倒れて、」
「、っ!いびきかいてんじゃん!!!救急車呼ばないと!!!!!!!」
「、ぇ、?」
感情がぐちゃぐちゃになっていて、いつの間にか俺は泣いていた。
滲む視界で、ごろが焦ったように電話を掛けている。
しばらくすると聞こえてくるサイレンの音。
ごろと一緒に、かーさんを乗せた救急車に乗って、、、そこからあまり記憶がない。
救急車に乗せられて、その次の記憶は、寒々しい病院のベッドに寝かされたかーさん。
身体から色んな管が伸びていて、痛々しくて。
医者に、死を告げられた。
隣にはごろ。
なんか、分からなかった。
「、、、うぅ、、、っ、う、」
ごろが小さく泣く声が、病室にやけに大きく響いて聞こえる。
涙は、出なかった。
その時はまだ、感情が追いついていなかったんだと思う。
死を告げられた数分後に、バイト先から急いで駆けつけて来たじろとさぶ。
それから、しろが学校帰りに急いで来た。
「、、母さん、、、、?」
すっかり生気の冷めた顔をしているかーさんに、じろが近づく。
「母さんっ!!!!母、さん!!!!なんで、、っ!なん、、で、!」
さぶは、管のたくさん伸びた母さんの身体に、突っ伏して泣いていた。
「、、、、っ、」
しろは、死んだかーさんのその姿を見ると、キッと下唇を噛み締めて、病室の外へと出て行った。
ーーー
線香臭いこの場所。
幸せそうに微笑んでいるかーさんの遺影。
花に囲まれて、化粧も施され、綺麗な顔で棺の中で眠っているかーさん。
かーさんの死を惜しみ、涙を流す人たち。
さぶの泣き腫らしたような目に、じろの冷めた顔。
しろの表情の消えた顔に、ごろの眠れずに充血している目。
これらを見ると、いよいよかーさんの"死"というものに、実感が湧いてくる。
とーさんは、人目も気にせずに涙を流し続けていた。
そりゃーそうだよな。
あんなに幸せそうな夫婦。
今までに見たことないもん。
とーさんは、とても挨拶になんか回れそうにないから、代わりに俺が回る。
淡々と繰り返す言葉。
涙を流す親戚や、かーさんの友人やらを見ていると、まだ、かーさんが死んでから1粒も涙を零していない俺でも、とめどなく涙が溢れてしまいそうになる。
別に泣いていいのは分かってるよ。
でも弟4人も、喪主であるとーさんも、あんなになってるのに、俺まで泣き喚いていたら、「舞賀家」は、なんも機能しなくなっちまう。
当時22歳。
人生で、悲劇と言っても過言では無い出来事を味わった。