奄美市の野良猫3000頭駆除計画に対する公開質問 | 地域猫から社会猫へ・人と猫の共生を図る対策会議 公式ブログ

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奄美市環境対策課長
奄美大島ねこ対策協議会会長殿

奄美市は、野良猫の食害からアマミノクロウサギを保護するためと称して、奄美大島における野良猫の数を7000頭と推計、10年で3000頭を駆除する計画を立てています。

ところが、アマミノクロウサギの現状は絶滅を危惧しなければならないどころか、現地エコツアーガイドによる実感では、20年前と比べて、数は逆に数倍に増えているとのことです。

一方、今回の駆除計画に至るまでに環境省が捕獲した猫の数は僅かに13頭。つまり、過去においてアマミノクロウサギの絶滅が懸念される原因を作ったのは、実は野良猫ではなかったということになります。

アマミノクロウサギの絶滅と増加の背景には何があったのか。

僅か13頭しか捕獲されなかった野良猫とは違って、マングースの駆除はこの15年間で数万頭に及んだそうです。つまり、アマミノクロウサギの問題に深く関係しているのは野良猫ではなく、マングースだったのです。

ところが奄美市は奄美大島における野良猫の数を7000頭と推測、アマミノクロウサギが増えた今になって野良猫の駆除に乗り出しました。7000頭と推計した根拠について市は従来、メッシュ調査によるものと説明してきたそうですが、今般どうぶつ基金の追及により、その主張は虚偽であり、実際には市が把握している飼い猫の数の2~3倍と見積もったとのことです。野良猫の数と飼い猫の数との間には、何ら相関関係はありませんので、7000頭という数字は根拠を失います。

つまり、アマミノクロウサギ絶滅の問題と野良猫の存在との間には、どのような関係も存在しないということになります。

それにも拘わらず、奄美市はいかなる根拠もなく野良猫の数を7000頭と過大に推計、一方アマミノクロウサギの数は増えているのに、15年前の古い統計を用いて2000~4800頭と低く推計。補食する野良猫が7000頭で、捕食されるアマミノクロウサギが2000頭だとすれば、アマミノクロウサギの絶滅は時間の問題ということになります。
マングースの捕獲に目処がついた今、次の駆除対象は野良猫ということで、科学的な根拠もなく恣意的に数字を操作し、世論を誘導・工作したと断ぜざるをえません。

行政は客観的な統計によって施策を講じなければなりませんが、データは恣意的に改竄あるいは操作されていたのです。
統計は行政によって独占されているわけですから、何も知らない市民・国民を欺いていたことになり、ことは悪質、責任は重大ということになります。

以上により、10年で野良猫を3000頭駆除するという現在進行中の捕獲計画は、施策としての根拠がありませんので、これを直ちに凍結し、地域猫の方法、つまり捕獲、不妊・去勢手術、リリースによって、人と猫とアマミノクロウサギの三者が共生する新たな対策を講じるよう強くお願いし、回答を求めます。

なお、奄美と沖縄の世界自然遺産への登録は、動物愛護の考えに立ち、全国民の支持の下に追求されんことを期待致します。

人と猫の共生を図る対策会議
代表 内田明

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000033795.html