障害者総合支援法は、障害のある人々が地域社会で自立した生活を送るために、必要な支援やサービスを提供することを目的とした法律です。正式名称は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」で、2013年4月に施行されました。この法律は、障害者自立支援法を改正したものです。


1. 障害者総合支援法の目的

   - 自立と社会参加の支援: 障害のある人が住み慣れた地域で、自立した生活を送ることを支援することを目的としています。

   - 必要なサービスの提供: 障害の種類や程度に応じた適切なサービスを提供し、日常生活や社会生活を支援します。

   - 包括的な支援の実現: 医療、福祉、教育、雇用など、さまざまな分野での連携を図り、障害者に対して包括的な支援を提供します。


2. 対象者

   - 身体障害者: 視覚、聴覚、言語、そしゃく機能、肢体不自由、内臓機能障害などを有する人。

   - 知的障害者: 知的な発達に障害があり、日常生活に支援が必要な人。

   - 精神障害者: 統合失調症、うつ病、双極性障害などの精神疾患を有する人。

   - 難病患者等: 特定の難病やその他の病気によって、日常生活に支障がある人も対象となります。


3. 提供されるサービス

   障害者総合支援法では、障害のある人々に対して様々なサービスが提供されます。これらのサービスは、日常生活の支援、就労支援、医療、相談支援など、多岐にわたります。


   - 居宅介護(ホームヘルプ): 自宅での生活を支援するため、ヘルパーが訪問して食事、排泄、入浴などの介護を行います。

   - 重度訪問介護: 重度の障害を持つ方に対して、日常生活全般の支援を行います。

   - 行動援護: 知的障害や精神障害のある人に対して、外出や行動における支援を提供します。

   - 就労支援: 就労移行支援や就労継続支援(A型・B型)など、障害のある人の就労を支援するサービスが提供されます。

   - 相談支援: 障害のある人やその家族が、必要なサービスを適切に利用できるように、専門の相談員が支援します。

   - 自立訓練: 日常生活や社会生活を送るための訓練を提供し、障害者が自立した生活を営むための能力を向上させます。


4. 障害支援区分

   - 障害支援区分の判定: 各種サービスを受けるには、「障害支援区分」の判定が必要です。これは、本人の障害の状態や支援の必要度に基づいて、区分1から区分6までの6段階で判定されます。この区分により、利用できるサービスの種類や量が決まります。


5. サービス利用の手続き

   - 申請: サービスを利用するには、まず市区町村の福祉窓口に申請を行います。

   - 調査と判定: 申請後、担当者が訪問調査を行い、必要な支援の内容や程度を評価します。医師の意見書なども参考にされます。

   - サービスの決定: 調査結果をもとに、提供されるサービスの内容が決定されます。

   - サービス利用計画の作成: 相談支援専門員などが、本人や家族と相談しながら、具体的なサービス利用計画を作成します。


6. 利用者負担

   - 障害者総合支援法に基づくサービスは、原則として利用者に応じた負担が求められます。ただし、負担額は所得に応じて軽減される場合があります。また、生活保護受給者は無料でサービスを利用できることが一般的です。


7. 法改正や施行の流れ

   - 障害者総合支援法は、定期的に見直しや改正が行われています。これにより、新たなニーズに対応したサービスの追加や、既存のサービスの改善が図られています。


8. 障害者の権利擁護

   - この法律は、障害者が自分らしく生活し、社会に参加する権利を守ることも目指しています。差別の禁止や、障害者の権利擁護のための措置が取られています。


障害者総合支援法は、障害のある人が地域で自立し、充実した生活を送るために重要な法律です。サービスを利用する際には、地域の福祉事務所や専門の相談員と連携し、利用者に適した支援を受けられるようにすることが大切です。



プロフィール

 


高次脳機能障害があり、器質性精神障害と左半身にも麻痺があります。現在は、障がい者作業所の利用者として働いています。

 

資格

社会福祉士

 

福祉住環境コーディネーター2級

 

福祉用具専門相談員

 

ほめる達人検定2級

 

障がい者ピアサポーター

 

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