宮脇俊三さんの著書「鉄道2万キロ」。このタイトル「2万キロ」は、日本中の鉄道全部の距離で、この本はそれを全部乗り尽くすという旅行記なわけだ。すぐに想像がつくことだけど、北海道から九州までを新幹線で行けば、いきなり2千キロ以上をクリアするけど、問題はローカル線だ。1日数本の鈍行列車を乗り潰していくのは、めちゃくちゃ効率の悪い計画にならざるをえないよな。そんな全線走破の偉業を達成した気分はというと、「ううう、もっと乗りたい」だって・・・。これ、分かるような気がする。明日から何を目標に生きていけばいいの?って心境になるんだろうな。宮脇さんは路線バスという新たな目標を設定して、嬉々として日本中を旅したようです。バスも乗り尽くしちゃったらどうするんだろう?というのは、きっと余計な心配で、こういう人はきっと何か新しい、より過酷な目標を見つけるに違いありません。

 

 僕ら市民ランナーにとって、大きな目標の1つがフルマラソン完走ですが、完走したらしたで、次はサブフォー、つまり4時間切りとか、その次はサブ3.5とか、とにかく満足ということを知らないんだよな。そんなランナーたちの中に、「ウルトラマラソン」愛好家がいます。ウルトラマラソン、ご存じだろうか?フルマラソン42.195kmの実に約2.5倍にあたる100kmレース!世界記録保持者は日本人なんだよな。以前勤めていた学校に、60代でウルトラマラソンを走る先生がいました。「直井さん、青梅はせっかくなら10kmじゃなくて30kmに出なくちゃ。フルは走らないの?ウルトラ出ようよ」等、よく誘ってくれました(笑)。過酷なほど達成感が大きいってのはわかるけど、こういうのってキリが無いよな~。

 

 エベレストに登頂するって、めちゃめちゃ凄い偉業だけど、「単独」とか「無酸素」とか、より難しい条件をつけて登る人が出てくる。カレーのココ壱で、1300gを20分で完食するのでも、それをわざわざ6辛でやるとか、きっと無酸素と同じ感覚なんだろう。

 

 さてピアノでも、やっぱりいました。エチュード10-1をテンポ176できっとノーミスで弾けたんだろうな。心にぽっかり穴が開いて、「もう次はラ・カンパネラしか無い。カンパネラ弾けるようになったら、私はどうしたらいいの?」って悩んでいる人のために、ゴドフスキーという人がなんと、ショパンエチュードの難易度アップ版を作ってくださった。それがこちら↓

 

 

最初の2曲が10-1です。10-1って右手だけ忙しいってイメージがあったけど、この2曲は左手も一緒に参加型の10-1。私もチャレンジ精神をくすぐられま・・・せん(笑)。

 

とかいう私も似たような編曲をやったことがあるな。吹奏楽版「宝島」の練習番号「H」は、トランペットトロンボーンの8小節ソリで、他のパートは無理やり笑顔作って手拍子させられるくらい暇なので、全員参加型超絶技巧で、4倍の32小節に伸ばした「宝島スーパーH」というのを書きましたが、結局、木管が難し過ぎて、本番で1回使っただけでオシマイでした(泣)。世の中すべての人が、より過酷な挑戦を望んでいるわけではない、ということがわかった(笑)。

 

 私の場合、ランニングにしても楽器にしても、努力が進歩につながることは楽しいから、目標をクリアしちゃうことより、クリアに向かって一歩一歩進んでる時が楽しいよな。つい最近だと、バイオリン高段者のお宅を訪ねて、バッハの「2本のバイオリンのための協奏曲」を挑んでボコボコにされたけど(笑)、ボコボコだからこそ次なる目標がたくさん見えるので、「はいよくできました、ブラボー」じゃつまらないんだよな。今日のピアノレッスンは、「別れの曲」でボコボコ(笑)。いや~、けっこう練習を積んで行ったつもりだったし、その成果は出せてたと思うんだけど、更に細かい指摘を受けまくってボッコボコ(笑)。ちょっと「別れの曲」期待しててください。1か月後くらいには、感動的な演奏に仕上げられそうな気がしてきた。バイオリンもピアノも、ほんと楽し過ぎる。