好きなら問わない(通常盤)>オリジナルフルアルバム>タイトル:好きなら問わない>アーティスト:ゲスの極み乙女。>リリース日:2018年 8月 29日>記事作成日:2018年 11月 4日




聴きました!
ゲスの最新作。ぼくの中ではいつの間にか、「新作が出たら自動的にチェックを入れる(=ハズレなし)」というくらい信頼感のあるバンドになっていますが、さて今回は。


『オンナは変わる』。川谷さんが歌う女心には、何故か心がザワザワしちゃうんだけど…(笑) 女性コーラス陣との掛け合いも相変わらず絶妙なうえに、リズム隊のアグレッシブなプレイも聴けるので、頭(歌詞)だけでなく耳(サウンド)で存分に楽しめる曲。急に『運命』だし(笑) 遊びまくってますね。
これまでのゲスに無かった感じの感傷が香る、『はしゃぎすぎた街の中で僕は一人遠回りした』。ブラス勢もストリングス勢も加わった、総力戦といった感じの編成…なのにそんなにゴリっとしてない辺りに、ゲスの個性を感じます。ストリングスもブラスも居たら、それをもっと全面に出しまくるアレンジをしたくなりそうなものだけど。そして、えつこさんの声に癒されます。
何だか意味深なタイトルの、『イメージセンリャク』。本作、端々で「川谷さんが見える」気がする…川谷さんのあの一件を思い起こさせるようなミスリードが、歌詞やタイトルのあちこちに…。そのミスリードが偶然の産物とは思えないけど、後半にまで進むとちょっと食傷してしまう感じも無くはない。
単純にメロディラインが好きです、『もう切ないとは言わせない』。次々に繰り出される言葉とメロディ、そしてそこに絡んでいく流麗なピアノ。それらを中心にして、全体的にソリッドでクールなサウンドがいいですね。
シンセがバーンと華々しく鳴り渡る感じには初期の作風を思い起こします、『戦ってしまうよ』。中盤のピアノは、ちゃんまりさんのスキルが光ってますねぇ。ドラムスもガツガツいってるし、ベースも奔放。各パートのエモーショナルなプレイに、大満足の一曲です。
ヒリヒリするような鋭利な冷たさが刺さってくる『sad but sweet』。ヒトの、本能的に持っている怖さのようなものに圧倒されます。川谷さんのボーカルも、本作中で特にラップしていると感じました。
これはちょっと、どーゆー気持ちで聴けばいいのか…『僕は芸能人じゃない』。ぼく(この記事を書いているワタクシ)は確かに芸能人じゃないけど…こういう一般人の視点の歌ではないですよね。メディアからカネを貰ってるわけじゃないのにお茶の間を賑わしちゃった人視点の歌詞…これ、一般人に聴かせる必要あった???(笑) いやぁ、もしこの見解をソングライターである川谷さんにぶつける機会が奇跡的に出来たとしたって、おそらくあらゆる角度から「作品として収録するのが妥当であった理由」をプレゼンされるんじゃないかと思うんだけど…どんな理由を提示されても、しっくりくる自信がない。「悪目立ちした人を過度に叩きまくる風潮」を風刺したかったんじゃないかとは思うけど、だとするともうちょっと表現方法に工夫が欲しかったなぁ。
それに比べ、タイトルからしてもう面白い『颯爽と走るトネガワ君』はとてもいい!普通タイアップって、タイアップ先の世界観をトレースしつつもあくまでオリジナルを貫くパターンが多いのに…もう、タイトルにまでトネガワ君とあるし(笑)この潔さは、ゲス的に新しい気が。確かに颯爽感のある、2分強のトラック。でも、スタイリッシュな感じはなくて、泥臭くてどこか下世話な感じすらする…アニメの空気感を生かした雰囲気の「がっつりタイアップ」な曲ではあるけども、曲単体としても十二分の聴き応えを感じられる曲。
一転して、ドロリとした黒さを感じるシリアスな曲『ゲンゲ』。孤高のピアノ、地を這うようなベース、危うい色香を放つドラムス…なんともアダルティな曲。音数が少ない分、個々のプレイスキルの高さが伝わってくるんですよねぇ。ビロードのような艶かしさと、炎を前にした動物が感じるような本能的な畏れの念と…そういうものが混ざり合ったような雰囲気の曲。
『私以外私じゃないの(PARKGOLF Remix)』。「リミックスバージョンとはいえ、なぜ今改めてこの曲を収録!?」と思ったんだけど、『あなたには負けない』のカップリングに収録されていて、MVまであるんですね。
ラウドなギターとうねるリズム隊の絡まり具合がいいですね、『招かれないからよ』。何をどうすれば、こんなアレンジの曲が思いつくんですかね(笑) 才能や発想力っていうのは、やはり先天的なものなんだろうなぁ。
そして、またしても「なぜ今になって収録!?」な『ホワイトワルツ(adult ver.)』。ウッドベースかな、ジャジーでアダルティな雰囲気のベースラインにサックスも絡んで、しっとりしてるんだけど物凄く艶っぽくもある曲。
ラストは『アオミ』。ミドルテンポでセンチメンタルな曲。演奏とアレンジは引き続き大人っぽく、ストリングスなんかも絡んでどこか知的にも聴こえる。


そんな、計13曲。
アレンジと演奏的には、変わらずハイセンス。ほんと、「巧いなぁ」という感嘆の気持ちで圧倒されます。
リリックに関しては…どうしました?ここへ来て、一連の騒動を思い出させるような雰囲気のものが多くなかったですか??いや、直接的に何かを言及してたりするわけじゃないし、ちゃんと読み込むと「作品」「フィクション」として独立したものになっているとは思うんだけど…意図的にミスリードを誘発しているような。本作収録の『あなたには負けない』なんかは、文春の会社の建物で撮ってるらしいですしね。なんか、どんなに話題になろうがバッシングされようが我関せずといった感じで飄々と作品作りをするところにプロ意識を感じていたので、なんかちょっと本作のその辺は好きになれませんでした。
あとはまぁ…もうちょっと、耳にガツンと来るキャッチーな曲が欲しかったかなぁ。いや、これはこちらの耳と感受性の問題なんですけどね。ゲスのオリジナリティ溢れる作風に近年では耳が慣れてきてしまって、「もうちょっと!」「もっともっと!」という感覚に…ある種の麻痺が起こっちゃってる感じで。流行なんかに左右されない独自性は「シーンに対するカウンター」として異彩を放っていたけれども、作品を重ねるごとにゲスの作風自体がメインストリームの一角を担うまでに成長していって。それ自体は喜ばしいんだけども、そうなるとちょっと、別の刺激が欲しくなるんですよねぇ。ほんと、これは聴き手の問題でしかないんですけど。




お気に入りは、#04 『もう切ないとは言わせない』#08 『颯爽と走るトネガワ君』#09 『ゲンゲ』




この作品が好きなら、・『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』/クリープハイプ・『藍色ミュージック』/indigo la End・『THE KIDS』/Suchmosなどもいかがでしょうか。




iPod classicには入れておきたいレベルf^_^;)










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