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エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『2LDK』


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【出演】
野波麻帆、小池栄子


【監督】
堤幸彦




“この女にブチ切れ!”




2LDKのマンションでルームシェアをしている同じタレント事務所のライバル同士、なかなか芽が出ない自称映画女優の先輩・橘ラナとデビューしたてのB級グラビアアイドルの後輩・松本希美。


表向きは仲が良い二人だったが、内心ではお互いのことをメチャメチャ嫌っていた。

同じ映画のオーディションを受けて結果発表を翌日に控えた夜、ふとしたキッカケでうわべだけの関係が崩れ、普段からの嫉妬とライバル心によるフラストレーションが一気に爆発!


ちょっとした口論から、武器を使った殺し合いに至る鬼気迫る女のバトルが2LDKのマンション内で繰り広げられる。


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最後の最後まで予断を許さないその対決の行方はいかに!?


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限られた空間・2LDKのマンション内で女ふたりが壮絶な殺し合いを繰り広げる姿を描いたサスペンス・ホラー。


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緊迫した心理戦→感情剥き出しの強烈な言い争い→果てしなく続くあらゆる武器を使った壮絶バトル……と際限なくエスカレートしてゆく二人。


はじめは穏やかに会話しているものの、心の声では罵倒しまくり。

映画女優としてメジャーになりたいと強く願っているラナに対し、希美は演劇志望。

「ナイロンとキャラメルが好きなんですよ。あとカムカムや阿佐スパも最高ですよね」
「知らねーよ。小劇団ってさ、ビンボー臭くて嫌い」
「…………(この女、刺す!)」

完全に水と油の二人は、些細すぎることが発端となり、遂に怒りが大爆発!

「私のコラーゲン、黙って飲みましたよね?」
「あんたこそ、私の化粧水を勝手に使ったじゃない!」

そしてラナのこの一言で、佐渡島出身の希美はブチ切れる!

「日本海で顔洗って出直してきな!」


お互いのフラストレーション爆発し、これまで溜まりに溜まってきた嫉妬とライバル心、不満や鬱憤が堰を切り、そこからは互いが互いを潰し合う壮絶バトル開始!

おもいっきりビンタ、アイアンクロー、部屋にケチャップをぶちまける、トロフィーで頭をガツン、女レザーフェイスばりのチェーンソー攻撃、小判を投げる、日本刀対十手、消火器で泡まみれ、水責め、ドライヤーのコードを使って感電、ポットの熱湯を顔面に、カビキライを傷口に噴射、トイレのタンクの蓋で頭をかち割る、馬乗りになってパンチ……これでもか、これでもかと有り得ない闘いが延々と繰り広げられる。
(フツーならとっくに死んでます?)



2LDKという限られた空間に閉じこめ、その精神が崩れていく様、人間関係が荒立っていく様をあますことなく描写している。

主演の二人の演技は凄まじいの一言で、とりわけ精神が崩壊した後、お互いを殺し合う後半はまさに‘狂演’!


メイキング映像によると、撮影中に小池がインフルエンザに罹り、39度の発熱を押して撮影を強行したらしく、その朦朧とした完全にイッちゃってる目つきが狂気とマッチし、相乗効果でより凄味のある存在感を与える結果に。

ところが小池の熱が治まったら、今度は野波が39度の高熱を出してしまい……これまた凄い演技を生み出すことに!

二人の渾身の演技を支えたのは、なんとインフルエンザだったのだ!

一番ヤバかったのはラナが自室で狂ったように踊っている時に、希美がリビングでこちらも狂ったように叫ぶところ。
叫んでる時の顔がハンパなく、もう完璧にあっちの世界にイッちゃってます。


最終的には二人の顔はボコボコのお岩さん状態。

そして……ラストは派手に血が飛び散る超絶スプラッター!

60分間に渡って闘い続ける女同士の烈しすぎる姿は必見!

いつの間にか黒川芽以のブログがアメブロにお引っ越ししていた!


つーか、今日気付いたんだけど、2週間も前に引っ越してたんですね……(-_-;


ちなみに、いま放送中のドラマ・黒川芽以主演の『毒姫とわたし』かなり面白いです!


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公開中の『僕たちは世界を変えることができない。』でも、出演シーンは少ないながら印象強い役を~。



某シネコンにて『僕たちは世界を変えることができない。But, We wanna build a school in Cambodia』を鑑賞。


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【出演】
向井理、松坂桃李、柄本佑、窪田正孝、村川絵梨、黒川芽以、江口のりこ、黄川田将也、リリー・フランキー、阿部寛


【監督】
深作健太




“僕たちは世界を変えることができない……だから、みんなで笑顔をつくった”




2005年8月、医大に通う大学2年生の田中甲太は、同じ大学の友人、芝山匡史、矢野雅之とそれなりに楽しい日常を過ごしていたが、何か物足りなくも感じていた。

「大学に通って、バイトして、卒業して社会人になって……若いうちにしかできないことをやりたい!でも……何をやればいいんだ?」


彼女からは、
「別れよう。甲太を嫌いになった訳じゃないんだけどさ、何か物足りないんだよね。何が物足りないんだろうね?」
「……さあ?」


ありきたりの毎日を変える何かがないだろうか?
今の自分を変えることができるものはないだろうか?


そんなことを頭の隅で考えていたある日、ふと立ち寄った郵便局で海外支援案内のパンフレットに目がとまる。

‘カンボジアの子どもたちに屋根のある学校を。あなたの150万の寄付で屋根がある学校が建ちます!’

そのパンフレットを手に取った瞬間、甲太の明日は変わった!


すぐに知り合い全員にメールで「カンボジアに学校を建てよう!」と送信。

大半の友達が相手にしない中、芝山と矢野に加え、合コンで知り合ったチャラ男の本田や看護師志望の村山かおりが仲間に加わってくれた。

こうして‘そらまめプロジェクト’が立ち上がる。

「何でそらまめなの?」
「お前は、まめに空ばっかり見てるからさ」


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本田の発案で、学校設立のためのクラブでのチャリティーイベント行うため、夜のクラブでの慣れないナンパ、学校でのビラ配りなどで人集めに奔走し、何とか初のイベントも成功。


「ところでさ、カンボジアに行ったことあるの?」
「ないけど」
「え!ないの!?それなのに、カンボジアに学校を建てようとしてるわけ?」

‘そうだ!こうなったら、まずは行くっきゃない……カンボジアへ!’

こうして「単なるお金集めだけでは意味がない。カンボジアのことも知らなければ」と、今度は現地のリサーチをするためにカンボジアへスタディー・ツアーを敢行する。


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しかし、到着したカンボジアでは、彼らが想像していた以上の厳しすぎる現実が横たわっていた。

世界一多いHIV感染者の現実、貧困、ポルポト政権による大量虐殺の忌まわしい過去、未だに無数に埋められてある地雷、その地雷原で生活せざるを得ない人たち、学校に行きたくても行けない子どもたち……。


自分たちの悩みのなんと小さいことか。


農村の少年に「学校を建てる」と約束したものの、すっかり非力を感じて帰国した甲太たちに追い打ちをかけるような事態が日本では起きていた。


イベントに協力してくれていたIT企業の社長が株式の不正取引で逮捕され、サークルの評判はガタ落ち。

「偽善者!詐欺師!」


やがて、それぞれが生き方や恋愛や将来に悩み苦しむことで、衝突が発生し……遂には仲間割れを起こしてしまう。


果たして、甲太たちは目標額を集めることができるのか?


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カンボジアの子どもたちのために学校を建てることができるのだろうか?


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「生きる希望をありがとう」




普通の大学生たちが、カンボジアに小学校を建てるまでの奮闘を描いた青春トゥルー・ストーリー。


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「普通の大学生が学校建てたら凄くないか?世界で勝負するんだぜ!」

自分を変えるために何かをしたい甲太は最初はあくまでも自己満足のため、仲間たちは「なんか面白そうかも」……そんな軽い気持ちで立ち上げたプロジェクト。

ところが、実際にカンボジアの現状を目の当たりにした時、激しいショックを受ける。

「俺たちは甘すぎた。世界を変えるなんてできっこない」

でもカンボジアで出会った人たちの笑顔は、真実だ。

「世界は変えられなくても、笑顔をつくることはできる!」

ほんの小さな希望でも小さな幸せが生まれて、その積み重ねが少しずつ何かを変えていけると、甲太たちは気付くのです。


帰国後のチャリティイベントでスピーチをする甲太だったが、真剣に聞いてくれる人はほとんどいない。

するとやおら服を脱ぎ出し、時計やアクセサリー類を外し、パンツ一丁になって泣きながら訴えかける!

「僕は何も持ってません!ダメな人間です。本当にダメな奴なんですよ。でも、カンボジアの子どもたちに学校を建ててあげたい!人のために何かをしたことで、その人が希望を感じてくれたりする。そしてその人たちの幸せな笑顔に自分も希望をもらえる。人のために何かをする喜びが、自分のために何かをする喜びに勝るときがある。そう思うんです」

このシーンの向井理の演技には、泣かされた。


また、カンボジアの子どもたちを前にブルーハーツの「青空」を歌うシーンも涙モノ。(なぜ泣けるかは……映画を観て確認してくださいあせる



深作監督はドキュメントタッチのライブ感に拘ったようで、撮影現場では状況に応じて台詞の変更、アドリブ演技もさせている。

現地ガイドに(実際のガイドらしいのですが、この人がメチャメチャいい!助演男優賞級!)案内され話を聞くシーンは、演技ではなく完全にマジのリアクションです。

ポルポト政権時代の収容所跡を訪問するシーンなどは、役者陣のリアルな感情がそのまま映し出されており、観ている方も同じ感情を共有する事ができます。

カンボジアの悲しい歴史、辛い現実を描いているからこそ、彼らとカンボジアの子どもたちが最後に見せる笑顔が心を打つ!

「僕たちは世界を変えることができない……でも、あの日の子どもたちの笑顔は、僕たちの笑顔は真実だ」

ラストのこの台詞に、物語のすべてが集約されています。



登場人物が歩く後ろを手持ちカメラが追い、それが微妙に手ブレするあたりは、深作欣二監督のそれそのもの!
さすが親子だ。独特の演出のDNAをしっかりと受け継いでいる。



自分の無力さを実感し、恋や友情に悩む若者を演じる向井理の等身大の演技は秀逸。(年齢的に大学生役は、ぎりぎりセーフか?)

ただこの作品での向井理の演じる甲太は決してカッコよくない。むしろカッコ悪い、ちょっと情けない男である。

肝心な場面ではいつもオドオドしているし、ナンパも苦手で好きな女の子に告白もできない、しかもすぐ泣く。
プロジェクトのリーダーなのにリーダーシップも取れず、人に頼ること多し。

そんな彼の成長物語でもあるのだけど、だんだん男らしく精神的にも強くなっていくに従って、俄然輝き出す。
逞しい男の顔に変貌していくのです。
それから、子どもたちに向ける笑顔も抜群によい。

『パラダイス☆キス』の時のようなとにかくカッコイイ向井理を期待すると、ひょっとしたら肩透かし感を食らうかもしれないけれど、映画の後半からの向井理は、男から観てもカッコよくて人間くさくて、とても魅力的でした。



イケメン揃いのキャスティングですが(「ネズミに似てるね」と言われていた柄本佑は除く?)~~自分のお目当てはもちろん、黒川芽以ドキドキドキドキドキドキ
なんとデリヘル嬢役での登場!

無力感、失恋で心がボロボロになった甲太は、言いようのない淋しさを癒したくて自宅にデリヘル嬢を呼ぶ……が、カンボジアのことが頭に浮かび……。

「すいません……60分、胸だけ貸してください」
「え?……いいよ」

甲太は彼女の胸に顔をうずめ、ひざ枕されて子どものようにひたすら泣き続ける。
その甲太を優しく受けとめてあげるデリヘル嬢。

この時の黒川芽以は、母性愛を感じさせてとても美しい。


このデリヘル嬢が来て、服を脱ぎ始めるまでのくだりが妙にリアル。
ファッションも如何にもっぽいし(チェックの超ミニスカを穿いてるとことか)お店に確認の電話をかけている際の雰囲気、事務的な口調から、お金を受け取りお釣りを渡した瞬間に一転してくだけた口調に様変わりするあたりなど……漂ってる空気感が不必要なくらい超リアルなんですあせるあせる

唯一リアルでない点は、黒川芽以みたいにあんなに可愛いコは、そうそう来ないだろう……というところでしょうかね(笑)。

デリヘル嬢が到着するまでの間、やたらめったら異常に落ち着かない向井理の姿も……ああ、やっぱみんな同じなんだなぁと思わせて安心させるものが!?


もう一人のお目当て、江口のりこは無謀にも(?)彼氏である向井理をあっさりフッてしまう役!
逆なら分かるけど、あんたがフッてどうすんだよ的な(笑)。


あとバーのレゲエマスター役のリリー・フランキーが、かなりいい味を出してます。(『モテキ』を観たばっかりだから、どうしても墨さんのイメージが抜けなかったけどあせる



自費出版された現役大学生(当時)の体験記が基になっているだけに、ひょんなことから始めたカンボジアでの学校建設ボランティアを通して、自分自身と社会を見つめ直す姿がまるでノンフィクションのように活き活きと描き出されている秀作でした。