相合い傘で……無言のまま雨降る中を歩くふたり。
このシーンの元ネタになっているのが、この作品らしい。

『男はつらいよ・寅次郎相合い傘』(1975)
シリーズ15作目で、マドンナは浅岡ルリ子。
浅岡演じるリリーは、最終作など計4回も登場する人気マドンナでした。
数ある寅さんシリーズの中でも人気が高い『寅次郎相合い傘』。
雨の中、寅さんが柴又駅にリリーを迎えに来て、相合い傘で‘とらや’に帰っていくシーン……たしかに『時かけ』の相合い傘のシーンと重なるものが!
そういえば寅さんと涼太……恋愛に不器用な点も似ている?!
不器用な恋愛しか出来ない寅さんを象徴するような、とても切なすぎるシーンがあります。
とらやに居候してキャバレー勤めをするリリー。
おいちゃん、おばちゃん、さくら達はリリーが寅の結婚相手になってくれたら……と希望を抱き……。
そしてさくらは恐る恐るリリーにこう尋ねます。
「リリーさんがお兄ちゃんのお嫁さんになってくれたら素敵だろうな」
寅に好意を寄せていたリリーは嬉しそうに「いいわよ、私みたいな女でよかったら」
まさかの答えにとらや一家は大喜び。
と、そこに寅さんが帰ってきて……。
「おい、寅!喜べ!リリーさんがお前と結婚してもいいと言ってくれたぞ!」
本当は飛び上がるほど嬉しいはずなのに、寅さんは……
「え?リリーが俺と結婚?馬鹿言っちゃいけないよ!冗談に決まってんだろ!な?リリー」
この言葉にリリーは、ふっと寂しげな表情を浮かべた後、笑って……
「そうよ、冗談に決まってるじゃない」
「ほ~らな!冗談なんだよ。馬鹿だね~おいちゃん達は真に受けて」
「なんだ……冗談か……」
ガックリのおいちゃん、おばちゃん。
リリーは「他のキャバレーで働くことになった」と嘘をつき、とらやを出ていく。
寅とリリーの気持ちが痛いほど分かるさくらは、
「お兄ちゃん、すぐ後を追いかけるべきよ!リリーさんの気持ちは冗談なんかじゃない!」
しかし寅は……
「リリーは賢くて強い女よ。たとえ結婚したって俺とじゃうまくいかねえさ」
グッとくる名シーンでした!