Not A World On It/Pete Carr | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Pete CarrFlorida州Daytona Beach生まれのギタリストで、Muscle Shoals Rhythm Sectionの一員として知られている。AlabamaFAME Recording StudioMuscle Shoals Sound Studioで数々の名作に参加してきたCarrは、Rock、Soul、Blues、Country、Folkと様々なジャンルのRecordingでAcousticとElectricを使い分けたその名人芸を披露してきた。The Staple SingersJoe CockerWilson Pickett、 Bob Seger、 Paul SimonWillie NelsonBoz Scaggsといった名だたるMusicianと共演してきたCarrであるが、自身の作品となると、意外なことに少ない。70年後半に残された2枚のソロ・アルバムを手に入れることは出来たのだが、自分が期待していたものとは違った音楽性だったこともあって、実はレコード棚の隅にずっと眠っていたのであった。本日ご紹介するのは76年Big Tree RecordsからリリースされたPete Carrの1stソロ・アルバムである。10代の頃にDuaneとGreggのAllman兄弟と出会って一緒にHour Glassといバンドを組んで、そこで本名のJesse Williard Carrの名でベースを弾いていたこともあり、The Allman Brothers Bandに加わるという可能性もあったそうだが、Recording StudioでのSession WorkEngineeringProduceの方により興味があった事もあってMuscle Shoalsで独自の道を歩むこととなった。Muscle Shoals Rhythm Sectionで脱退したEddie Hintonに代わってLead GuitaristとなったCarrは3614 Jackson Highwayで10年間、ほぼ全てのSessionでギターを弾いたと言われている。そんな中で発表された本作には鍵盤にChuck LeavellThe Alabama State TroupersClayton IveyTim Henson、ドラムスにMuscle Shoalsの腕利きRoger Clark、ベースに、後にLeBlanc & Carrを結成することになるLenny LeBlancというメンツ。

 

 『Not A World On It』はPete Carr76年にリリースしたアルバム。時代的にJeff Beckの『Blow By Blow』が脚光を浴びていた時期ということもあって全曲インストで固めたギター・アルバムとなっている。

アルバム1曲目はCoolなエレピをバック泣きのギターが炸裂する“Tuscumbian Lover”。歌いまくるPeteのギターは当時のJeff Beckを意識したものであろう。

Foxfire”もMysteriousなピアノから始まるFunkyなインスト曲。ここでも歌いまくるCarrのギターが印象的。Lenny LeBlancのベースもFunkyで結構イケる。Muscle Shoals Horns/The Fame GangのHarvey ThompsonSaxソロもイイ感じ。

Journey With The Breeze”はReggae調のお気楽なナンバー。エレピStrings Ensembleが時代を感じさせてイイ感じ。後半のSynthesizerとベースのみになる展開が心地良い。

On Lucifer's Knee”もアルバム1曲目同様Jeff Beckを意識したで、こちらはFunky Rock。Percussionが鳴り響く中、Emotionalな泣き節で迫るCarr。

Theme From Sparkle”は大らかなノリで重ねた2本のギターが唸りを上げ、高らかにMelodyを歌い上げるAllman Brothers Bandの“Jessica”路線。Hammondソロもご機嫌である。

Funkyに転がるエレピがご機嫌な“Trapped In A Bubble”。Saxソロもご機嫌なFunkyなナンバー。

Broken Stone”はRockな勢いのあるナンバー。こういう路線で来るのかと当時は反発していたが、ピアノが結構イイ感じ。

Race Of The Computers”はPercussionが気持ち良く響くご機嫌なFunky Rock.。

アルバム最後をシメるのは“Twisted Hair”。これまた2本のギターが歌い上げるSouthern Rock王道である。

(Hit-C Fiore)