Alexandre Tansman | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Alexandre TansmanPoland生れの作曲家。

ChopinSzymanowski,Lutoslawski,Penderecki,Georeckiといった優れた

作曲家をPolandは輩出している。

そんな中でもTansmanは自分にとって特に好きな作曲家の一人だ。

Poland出身の作曲家は他にも「乙女の祈り」を書いたBadarzewska

Scharwenka、超絶技巧のWieniawskiがいる。

ピアノを習い始めた頃に、叔母が「乙女の祈り」という曲を弾いてくれた時

に自分もこんな風に綺麗なメロディの曲を上手に弾けたらと思ったものだ。

自分がクラシックを一番聴いていた時期は多分その頃だろう。

世界各国の有名な作曲家の名曲集みたいなのを飽きるほど聴いていた。

その後、小学校に入学する頃になると、殆んどクラシックは聴かなくなって

しまった。

そしてPunkやプログレを聴いていた頃に、映画「エクソシスト」で使われた

Polandの作曲家Pendereckiと出会う。

そして無調の世界を知って現代音楽を手当たりしだいに聴くようになった。

それにしてもPendereckiトーン・クラスター使いはPunkだ。

Poland近代の作曲家は強い個性の持ち主が多い。

エキゾティックでミステリアスな魅力Symanowskiや無調と調性の間を

自由自在に泳ぎ回るLutoslawski、尖ったGorecki

こういった個性の強い作曲家たちの影に隠れてしまいがちなTansma

パリに学びヒトラーの迫害を逃れ、アメリカに渡った後もパリを愛し続けた

異邦人Tansman

Polandの作曲家らしい土着性フランスのロマンティシズムやエスプリ

絶妙にブレンドされた作風がTansmanの魅力だ。

 TansmanChopinSzymanowskiの間に埋もれがちな作曲家だ。

しかし、ある種の懐かしさ爽快さ清澄さ感じさせるTansmanの音楽は

自分にとっては不思議な魅力があるのだ。

それはパリへ留学してRavelLe Groupe de Six六人組)のHonegger

Milhaud学んだ経験によるものが大きいと思う。

さらにボストン交響楽団世界各国を演奏旅行したりするなどの経験。

常に様々な洗練された作曲スタイルを採り入れながらもPolandの民族性を

忘れなかったところにTansmanの魅力がある。

それは洗練、洒脱や粋さや、軽妙さを持つフランス6人組の音楽の影響を

受けながらも、生真面目さと、無骨さや、生命感に溢れるPolandの土着音楽

の良さを、必ず作風に感じさせるところ。

凝った和声と、多調感によって展開される万華鏡的世界の中で、崇高さすら

感じさせる美しい旋律が必ず現れたり、どこか哀愁を感じさせるエスニックな

部分が顔を出す。

けっして頭でっかちスノッブなお洒落に終止せず、一定の距離を置いている

ようなTansmanの異邦人の視点が好きだ。

ある意味で、Polandの土着性にも、フランスの新古典主義にも一定の距離を

置いた独自のスタンスをとっているところが、どっちつかずとも取られてしまい、

コアな人たちには理解されていないかもしれない。

しかし、そこが自分にとってのTansmanの一番の魅力なのである。


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