前回のナポレオンの絵画はプロパガンダとして大成功しましたが
その少し前のブルボン朝王妃マリー・アントワネットの場合はそうはいきませんでした。
何をやっても悪いほうに転んだ悲運の王妃
マリー・アントワネット
「薔薇を持つマリー・アントワネット」
エリザベド・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン画
1783年・ヴェルサイユ宮殿美術館
女流画家として有名なルブランが描いた豪華な衣装を着た
美しい王妃マリー・アントワネットの代表的肖像画です。
ところが、この絵にはその前に描かれた同じポーズの作品がありました
「ガリア服を着たマリー・アントワネット」
エリザベド・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン画
1783年・ワシントン・ナショナルギャラリー(アメリカ)
王妃は贅沢三昧をしているという非難をかわすために、ガリア(フランス
の古代名)風の質素なドレスで肖像画を描き、当時すでにあったサロン
(フランスアカデミー主催の展覧会)に王妃の肝いりで出品したのですが
「王妃がシュミーズ姿になっている破廉恥だ!」と散々な評判でした。
(陰の声:「シュミーズ」って何?・・・昭和生まれの方は知ってるよね
そこで、前の豪華な青いドレスの肖像画を描かせたのですが
「ほら、見ろ!やっぱり贅沢三昧な格好をしている」とまたまた非難の嵐でした。
(陰の声:マリーちゃんとしては「どないしたらいいねん!」という心境だろうね
また、こんな肖像画を発表すれば・・・
「地球儀を見るマリー・アントワネット」
「女のくせに地球儀なぞ見て政治の世界に口を出している!」などど
言われ、何をしてもボロクソでした。
これはいかんと、イメチェンのためにこんなアットホームな
作品も描かせました
「マリー・アントワネットと子供たち」
エリザベド・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン画
アントワネットの子供たちはマリー・テレーズ王女、ルイ・シャルル王子
ルイ・ジョセフ王子、ゆりかごの中はソフィー王女の4人です。
この作品はそれなりに好感はもたれたようですが・・・
しかし、もう手遅れで革命の足音はすぐそこまで迫っており、歴史の歯車は
止められませんでした。
こうして折角のイメチェン戦略も効をそうせず
とうとう1793年に国王ルイ16世に続いて処刑されてしまいました
「処刑されるマリー・アントワネット1793年10月16日」
ウイリアム・ハミルトン画・1794年・フランス革命美術館
もっと早くからフランス国民の母としてのイメージ戦略が必要だったね
元マーケティング・プランナーのごっこスーラに依頼してくれれば何とかしたかも・・・
(陰の声:ごっこスーラのようなヘッポコプランナーでは無理だと思うね
なぜ、マリー・アントワネットはフランス人に嫌われたのでしょうか?
次回もアントワネットの小話を続けてこの問題を考えてみたいと思います。
<受売り美術小話:2-1マリー・アントワネットの肖像画・了>
スーラ・ウタガワの
私撰:関西名所図絵・美術館のご案内
このブログの各ページで個別に発表した、スーラ・ウタガワ作品の
名所絵を場所別に集め「美術館」と称して再度アップロードしています。
第1室:大阪南部の名所図絵 開室中
第2室:大阪北部の名所図絵 開室中
第3室:大阪湾岸部の名所図絵 開室中
第4室:神戸地区の名所図絵 開室中
第5室:京都地区の名所図絵 開室中
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以上、ご案内申し上げます。 館長:スーラ・ウタガワ